世田谷区議会 > 2021-09-16 >
令和 3年  9月 定例会-09月16日-02号

  • "介護予防講座"(/)
ツイート シェア
  1. 世田谷区議会 2021-09-16
    令和 3年  9月 定例会-09月16日-02号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-03
    令和 3年  9月 定例会-09月16日-02号令和 3年  9月 定例会 令和3年第三回定例会 世田谷区議会会議録第十四号 九月十六日(木曜日)  出席議員(四十八名) 一番   神尾りさ 二番   佐藤美樹 三番   そのべせいや 四番   青空こうじ 五番   ひうち優子 六番   上川あや 七番   くりはら博之 八番   つるみけんご 九番   小泉たま子 十番   あべ力也 十一番  高岡じゅん子 十二番  金井えり子 十三番  田中みち子 十四番  下山芳男 十五番  加藤たいき
    十六番  河野俊弘 十七番  阿久津 皇 十九番  津上仁志 二十番  河村みどり 二十一番 いそだ久美子 二十二番 中山みずほ 二十三番 中里光夫 二十四番 江口じゅん子 二十五番 たかじょう訓子 二十六番 和田ひでとし 二十七番 上島よしもり 二十八番 菅沼つとむ 二十九番 高橋昭彦 三十番  岡本のぶ子 三十一番 平塚けいじ 三十二番 中塚さちよ 三十三番 藤井まな 三十五番 大庭正明 三十六番 ひえしま 進 三十七番 宍戸三郎 三十八番 真鍋よしゆき 三十九番 畠山晋一 四十番  いたいひとし 四十一番 佐藤ひろと 四十二番 福田たえ美 四十三番 羽田圭二 四十四番 中村公太朗 四十五番 桜井純子 四十六番 桃野芳文 四十七番 田中優子 四十八番 おぎのけんじ 四十九番 石川ナオミ 五十番  山口ひろひさ  欠  員(二名) 十八番 三十四番  出席事務局職員 局長     林 勝久 次長     井上徳広 庶務係長   星野 功 議事担当係長 水谷 敦 議事担当係長 長谷川桂一 議事担当係長 岡本俊彦 議事担当係長 菊島 進 議事担当係長 末吉謙介 議事担当係長 髙橋 亮 調査係長   佐々木 崇  出席説明員 区長     保坂展人 副区長    中村哲也 副区長    岩本 康 世田谷総合支所長        清水昭夫 玉川総合支所長        工藤 誠 政策経営部長 加賀谷 実 デジタル改革担当部長(政策経営部長兼務)        加賀谷 実 総務部長   池田 豊 庁舎整備担当部長        佐藤絵里 危機管理部長 菅井英樹 財務部長   工藤郁淳 生活文化政策部長        片桐 誠 地域行政部長 舟波 勇 環境政策部長 清水優子 経済産業部長 田中耕太 保健福祉政策部長        澁田景子 保健福祉政策部次長        有馬秀人 高齢福祉部長 長岡光春 障害福祉部長 須藤剛志 子ども・若者部長        柳澤 純 保育部長   和田康子 世田谷保健所長        辻 佳織 住民接種担当部長        久末佳枝 技監     松村浩之 都市整備政策部長        畝目晴彦 防災街づくり担当部長        笠原 聡 みどり33推進担当部長        釘宮洋之 道路・交通計画部長        田中太樹 土木部長   青木 誠 豪雨対策推進担当参事        桐山孝義 教育長    渡部理枝 教育監    粟井明彦 教育総務部長 知久孝之 教育政策部長(教育監兼務)        粟井明彦 生涯学習部長 内田潤一 総務課長   後藤英一     ────────────────────
    議事日程(令和三年九月十六日(木)午前十時開議)  第 一 一般質問     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  一、日程第一 一般質問     ────────────────────     午前十時開議 ○下山芳男 議長 ただいまから本日の会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 直ちに日程に入ります。 △日程第一を上程いたします。  〔井上次長朗読〕  日程第一 一般質問 ○下山芳男 議長 一般質問についての発言時間は、一人十分以内といたします。  質問通告に基づき、順次発言を許します。  一番神尾りさ議員。    〔一番神尾りさ議員登壇〕(拍手) ◆一番(神尾りさ 議員) 通告に基づき、質問します。  まずは、職育住近接のための政策についてです。  新型コロナ禍で生活が一変し、満員電車や長時間の通勤等が見直されるようになりました。当区では以前から、区外から働きに来る人や区内で働く居住者など、昼間人口の比率に増加傾向が見られました。また、今年度の区民意識調査の結果にも見られるように、コロナ禍においてテレワーク等働き方が変化し、昼間人口比率の増加傾向は続くことが予測されます。育児や介護がしやすくなるよう、区民が区内で働くことが一般的になっていくことも予測されます。  令和四年度から二年間を計画期間とする(仮称)世田谷区未来つながるプラン(素案)では、子どもを産み育てやすい環境の整備や、緑豊かな住環境の維持向上、産業基盤の強化などにより、持続可能で魅力ある世田谷を創出していく必要性を示しています。  人口推計の補正が示され、近い将来、生産年齢人口の減少も見込まれる中、職場の職と育児の育、住居の住の距離が近くなる職育住近接の環境を今以上に充実させていくための政策が必要であると考えます。まずは、区の見解を伺います。  次に、職場の職についてです。  職育住の距離が近くなると、企業にとっては、交通費の支給を抑えられることや、育児や介護がしやすくなることによる離職率の低下などの利点が考えられます。また、従業員にとっては、通勤時間の短縮や子育て環境の向上、ワーク・ライフ・バランスの維持等、様々な利点があります。区では現在、産業振興基本条例の改正に向けて検討を進めていますが、住居に近い場所に職場を設けることを目的とした区内事業者の支援や業態転換、新たな産業の創出や、区内における企業と求職者とのマッチングなどの支援をますます強化させる必要があると考えます。見解を伺います。  次に、育児の育についてです。  育児がしやすい社会を構築するためには、住居の近くで子育てに関して身近に相談できる場が必要です。当区の保育待機児童数は、二年連続でゼロになりました。一方で、保育の質の維持向上や、身近に子育てを相談できる居場所の整備、在宅子育て支援など、様々な課題も挙げられます。  今般示された今後の保育施策の取組方針では、保育定員の適正化や質の維持向上、地域に開かれた子育て家庭への支援の充実などを重点方針に掲げています。これまでの一時保育の要件を緩和し、保育園が地域の子育て拠点としての役割を担うことができるよう、環境を整えていく必要があると考えます。また、身近に子育てのことを相談できる環境づくりを進めるために、他関係機関等とのさらなる連携強化も求められますが、見解を伺います。  職育住近接の最後は、住居の住に関する政策です。  昼間人口の増加傾向もあり、豊かな住環境の必要性が増しています。また、若い世代を中心にテレワーク等の働き方も増えており、これらの世帯は、利便性や住環境、子育て環境などを重視しているとも考えられます。緑や公園を増やしたり、安全な歩行空間を確保したりするなど、住環境を豊かにするためにどのような取組が考えられるのか伺います。  一方で、良好な住環境を確保する上での課題として、空き家の対策が挙げられます。当区における空き家の数は九百六十六棟、空き室の数は五万二百五十戸と、適切な管理や利活用の面での対応が求められます。国土交通省では、立地が一部制限されている住居系の地域においても、地域住民を対象としたシェアオフィス等を立地させることに対する許可の運用について、技術的助言を通知しました。  区では今般、空き家の所有者等と事業者とをマッチングするシステムの提案募集を開始しました。職育住近接の観点では、空き家の活用法として、テレワークやサテライトオフィスコ・ワーキング・スペースなどの新たな働き方に対応した居住の在り方も求められます。空き家利活用の一案として、シェアオフィス等への転換を促すことができないか、見解を伺います。  次に、三軒茶屋と下北沢を結ぶ茶沢通りを軸としたまちづくりについて伺います。  広域生活・文化拠点である三軒茶屋駅周辺は、世田谷区基本計画において、下北沢とともに、文化創造の軸に位置づけられています。その二つの拠点を結ぶ茶沢通りは、交流の軸として、にぎわいと活気に満ちた魅力を兼ね備える一方で、公共的な滞留空間の不足や、歩道が狭いなどの課題を抱えています。  このたび、多様な主体がまちづくりに取り組むための基本計画となる(仮称)三茶のミライの素案が取りまとめられました。町のビジョンの実現に向けて示された交通利便性向上のための取組として、歩きやすい歩行空間の整備が挙げられていますが、そのためにはハード及びソフト面での取組が必要で、多くの時間と検討を要します。着実に進めていくためには、まちづくりの計画の中で、将来的な町の在り方を描きながら、合意形成を図りつつ進めていく必要があります。  茶沢通りは、道路の中心がまちづくり計画の境界線となっており、太子堂二・三丁目地区地区計画、太子堂四丁目地区地区街づくり計画、そして現在検討を進めている太子堂五丁目・若林二丁目地区まちづくりと、通りを分割する形で、三つの地区に分かれてまちづくりが行われています。  そこで、まずは、交流の軸である茶沢通りのまちづくりの状況について伺います。  また、さらなる歩行空間の充実や滞留空間の創出を促すための取組も必要です。三茶のミライという羅針盤を掲げ、茶沢通りという沿道単位で、商店街、町会、住人の方々が話し合ったり、活用したりするなど、まちづくりを進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。  最後は、生きづらさを抱えた若者支援の事業展開についてです。  ひきこもり歴三十五年の日本人の著者が、世界各国のひきこもりの方や支援者と対話し、その内容をつづった「世界のひきこもり」という本があります。数年前までひきこもりは日本独特の文化現象のように捉えられていたようですが、今では世界中の様々な国にもひきこもりの方がいることが分かっています。それらの方々との対話を通して問われるのは、ひきこもりは社会的状態の呼び名であり、いつの時代のどのような社会でも、人はひきこもりになり得るのではないかということです。そして、そこから導き出されるのは、ひきこもりであっても差別されず、もっと楽に生きられる社会をつくらなければならないのではという問題提起です。  当区の調査によると、ひきこもりになる背景の主な要因には、対人関係のつまずきや自己肯定感が低いこと、家族関係などが挙げられます。また、二十代の方が全体の五〇%、三十代の方が二六%を占め、家族が相談に訪れるケースが半数以上となっています。ひきこもりの方と向き合う際に大切なのは、個々人の尊厳を尊重し、ひきこもりであってもなくても、あなたの存在はすばらしいというメッセージを送り続けることではないでしょうか。  ひきこもりの方が生きやすい社会を構築するためにはどうしたらよいか、その答えを見出すためには、テクノロジーの力を借りる必要があるのではないかと考えます。テクノロジーの進化により、人と会わずとも情報を交換できる仕組みや、在宅でできる仕事等が増えつつあります。オンラインの居場所も普及しています。  先日、テレビでは、アバター出勤という仕組みが紹介され、家から一歩も出ることなく、また、人と会うこともなく、バーチャル空間で自分のマスコットとなるアバターを使い、才能を生かして仕事をしている方の様子が紹介されていました。  まずは、ひきこもりの状態であることを多様性として認め、その状態でも生活ができるよう、ICT化の取組の強化が必要ではないでしょうか。来年度のひきこもり相談窓口の一本化と合わせ、オンライン上での支援のアプローチや居場所などの工夫をすべきと考えます。区の取組について伺います。  また、たとえひきこもりの状態が続いたとしても、就労を希望される方ができる仕事の種類を増やし、提案していく必要もあると考えます。見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎松村 技監 私からは、職育住近接のための政策のうち、住についてお答えをいたします。  (仮称)世田谷区未来つながるプランにお示しをしたように、コロナ禍の外出自粛やテレワークの急速な普及など、職住近接の進展により、地域の関心が高まり、人々の働き方、暮らし方に変化をもたらしております。こうしたライフサイクルの変化に対応する都市における住まいや身近な生活空間の質の向上が求められていると考えております。  また、今回の人口推計におきましては、生産年齢人口は当面微増傾向で推移するとしておりますが、年齢別で見ますと、三十代から四十代の人口は減少傾向の推計となっております。区の昼間人口が増えているとのお話をいただきましたが、今後、この世代の方々に世田谷に住み続けていただくため、子育て環境を重要視した職育住近接の新たなライフサイクルにも寄与する環境の整備、魅力の向上も大変重要な視点となると考えております。  区としましては、こうしたことも踏まえ、多様な居住ニーズを支える暮らしづくりをはじめ、ゆとりある回遊性を支える道路や公園の整備、緑豊かな良好な住環境の形成、にぎわいの拠点づくりなど、様々な取組を参加と協働により進め、持続可能な都市、世田谷の実現を目指してまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、育も含めた食育住近接のための政策について御答弁いたします。  職住近接は、区民が通勤時間を他の時間に振り向けることができ、子育て中の方や障害者、高齢者などもより働きやすくなり、また、区内消費の拡大や地域コミュニティーへの関心が高まるなど、都市戦略としてメリットが大きく、基本構想のビジョンの一つとしても掲げております。  この職住近接に保育園や学童施設など、子育て資源と住まいの場が近くにある育住近接の概念を組み合わせた職育住の近接は、ライフスタイルが多様化し、働き方が変化する中、現代の子育て世代のニーズに合った考え方であると認識しております。  本年七月にお示しした人口推計の補正では、今後、年少人口の緩やかな減少を見込み、また、参考値として、十年後頃には生産年齢人口の減少も見込んでおり、職育住近接につながる取組の推進は人口構成のバランスを保ち、持続可能で魅力ある世田谷の創出につながる重要な視点であると考えております。  (仮称)世田谷区未来つながるプラン(素案)では、居住支援の推進や質の高い教育及び保育の推進等の関連する施策を位置づけております。職住近接のみならず、職育住近接の視点も踏まえ、より一層の環境整備を進めてまいります。  以上でございます。 ◎田中 経済産業部長 私からは二点、まず、区内での仕事、職についてです。  産業振興基本条例の改正素案では、豊かな区民生活を実現するための地域経済の持続可能な発展に向けて、起業の促進や多様な働き方の実現を基本的方針の一つとして掲げています。居住地の近くに職があることは、多様な働き方の実現に向けて重要な要素であることから、起業創業支援をはじめ、既存事業者の新たな挑戦である業態展開やハンズオン支援、SETAGAYA PORTでの多様な人材の交流等による産業活性化、区内企業と求職者のマッチング、区内中小企業のテレワーク導入支援おしごとカフェへのコ・ワーキング・スペースの併設などの取組を進めているところです。  現在検討している旧池尻中学校跡地では、職住近接のための多様な働き方支援を基本コンセプトの一つとして掲げ、起業創業や多様な働き方の支援、学びの場、区内産業の活性化などの具現化に努めてまいります。今後も地域の職の活性化や職の創出、区内で働きやすい環境整備に向けた取組を行っていきます。  次に、ひきこもりの方への就労についてです。  ひきこもりのお一人お一人の背景や要因は様々であり、御紹介いただいたような在宅でできる仕事をはじめ、就労を希望される方のニーズや状況に合わせた仕事のバリエーションを増やす取組を進める必要があります。現在取り組んでいるせたがやWork&Plusでは、短時間や短期間の仕事を切り出すなど、多様な働き方をお示ししているところですが、これらに加え、若者総合支援センターが現在取り組んでいるメルサポの中で、在宅でできる仕事を体験したり、せたがや若者サポートステーションでは、ユーチューブなどの動画編集の仕事やウェブデザイナーの仕事など、フルリモートでできる仕事を紹介するプログラムを今月から開始する予定です。  OriHimeなど、分身ロボットの活用など、テクノロジーの進展とともに新しい働き方が生まれる中、生きづらさを抱えた若者をはじめ、誰もが自己肯定感を高め、主体性を持って働くことができるよう、時代に即した仕事の提案を行ってまいります。  私からは以上です。 ◎和田 保育部長 私からは、職育住近接の育について御答弁いたします。  区では、保育待機児童ゼロの継続や子育て家庭からの身近な相談の場として、保育施設への期待が高まっていることなど、今後の保育施策の取組方針をお示ししたところです。取組方針では、三つの重点方針を定め、その一つに、地域に開かれた子育て家庭への支援の充実を位置づけ、保育施設が専門性を生かして、地域の子育て家庭を支援していくこととしています。  この重点方針に基づき、区立保育園の福祉的役割を強化し、子育てに不安のある地域の子育て家庭の相談に乗ったり、一時保育により、保護者が休息できるよう、子ども家庭支援センターなどと連携しながら、一時保育の利用条件を緩和した取組を検討しております。こうした取組を通して、保育施設が地域の子育て家庭の身近な相談先になるとともに、支援を必要とする家庭の早期発見と継続的な見守り、支援を行っていくなど、地域の子育て家庭への支援の充実に努めてまいります。  以上でございます。 ◎笠原 防災街づくり担当部長 私からは、職育住近接の住について、シェアオフィス設置のための空き家活用について御答弁申し上げます。  適切な管理がなされておらず、市場に流通しない空き家等の解消に向け、区では、空き家の所有者等と事業者をマッチングするシステムについて、民間企業等の皆様から官民連携によるテーマ設定型の提案を募集しております。  区の想定といたしましては、運営企業が区との連携協定に基づき、空き家の所有者等と事業者とをマッチングするインターネット上のシステムを構築し、複合的な問題についての相談を一つの窓口で受け付け、解決に向けた提案を複数提示して、所有者等が比較検討可能な仕組みとするものです。  空き家のシェアオフィス等への利活用については、選択肢の一つであるという認識を運営企業と共有してまいりますので、マッチングにおいて、関連する法令を遵守した上で、空き家の所有者等へ提案されるものと考えております。提案募集終了後は、マッチングする運営企業と協定を締結し、管理不全な空き家の発生を未然に防止するとともに、職育住近接をはじめとした町の環境を豊かにする提案ができるシステムとしてまいります。  以上です。 ◎清水 世田谷総合支所長 私からは、茶沢通りを軸としたまちづくりについて、二点御答弁いたします。  初めに、まちづくりの状況についてです。  茶沢通りは世田谷区基本計画において、既成の枠にとらわれない新しい文化を創造、発信する文化創造の軸に位置づけております。また、都市整備方針では、区内の地域間の交通を担い、主要な公共公益施設を結ぶバス交通網を支える主要生活交通軸に、沿道においては後背の住環境と調和を図り、住宅と店舗等が共存するとともに、延焼遮断帯を形成する防火性の高い土地利用を誘導する地区幹線沿道地区に位置づけております。  こうした位置づけの中、さらなるにぎわいの創出、ゆとりある歩行、買物空間の確保の観点から、一階部分の壁面後退を行うなど、三軒茶屋銀座商店街振興組合が、調和の取れたまちづくりを進めることを目的に、商店街における街づくり協定を締結し、まちづくりを誘導してきております。  また、区もこれまで太子堂二・三丁目地区地区計画や太子堂四丁目地区地区街づくり計画を策定し、それぞれの地区の特性に合った街づくりのルールはもとより、商店街の街づくり協定も踏まえたルールを定めることで、建築計画を誘導し、沿道で調和が図られるよう、まちづくりを進めてきております。  次に、(仮称)三茶のミライを踏まえて、茶沢通りを沿道単位でまちづくりを進めていく必要があると考えるが、その見解についてです。  区ではこれまで、三軒茶屋駅周辺まちづくり基本方針を踏まえ、区民や事業者、町会、商店街、大学等が参加するまちづくり会議等を開催し、まちづくりの基本計画となる(仮称)三茶のミライの策定に取り組んでおります。また、まちづくり会議を積み重ね、情報共有や意見交換を図ることで、町の未来像の実現に向け多様な主体が連携し、できることから始め、一つ一つの取組を継続し積み上げることが大切であることを共有してきました。  (仮称)三茶のミライでは、まちづくり会議でいただいた御意見などを整理し、導き出した未来像の中に、誰もが気軽に出かけられる町を描いており、その未来像実現のための取組の一つとして、通行環境の向上を目指した歩きやすい歩行空間整備を掲げております。  区といたしましては、交流の軸となる茶沢通りにおいても、今後も開催予定のまちづくり会議などの機会を捉え、地域の皆様方に御意見を伺いながら、既存のまちづくり計画も踏まえつつ、まちづくりの検討を進めてまいります。  以上です。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、生きづらさを抱えた若者支援の事業展開のうち、相談窓口の一本化に合わせた取組について御答弁申し上げます。  区では、ひきこもりの方などが個人の尊厳が尊重され、自分らしく安心して暮らし続けられる環境を整えることが重要であると認識しております。  メルクマールせたがやでは、今年度開設したホームページにウェブからの問合せ機能を備え、今年八月までに十五件の御相談を受けました。そのうち九件、新規登録数三十五件の四分の一に当たる方が利用登録に至っており、新たな窓口機能としてのオンラインでのアプローチに効果があったと評価しております。また、ぷらっとホーム世田谷では、LINEでの相談を受けるほか、就労準備支援事業では、オンラインでの対話や参加者が協力し課題に取り組むプログラムを開講しており、今後は、このプログラムで学んだスキルを活用した居場所やオンラインの居場所から、直接的支援へ移行する仕組みを検討してまいります。  来年度、双方の窓口を一本化する中で、アプローチの方法や、オンライン上での居場所支援を充実し、様々な事情を抱えるひきこもりの方などが自分らしく暮らすことができる地域づくりを目指してまいります。  以上でございます。 ◆一番(神尾りさ 議員) 経済産業部より、テクノロジーの進展を生かして、生きづらさを抱えた若者も含め、誰もが主体的に働ける仕事の提案をしていくと御答弁いただきました。来年度、ひきこもりの相談窓口が一本化されます。そちらで新たな働き方の提案もできるように体制を整えていくべきと考えますが、見解を伺います。 ◎柳澤 子ども・若者部長 再質問にお答えいたします。  若者総合支援センターでは、相談者が希望する社会参加を果たすまで、メルクマールせたがやと若者サポートステーションのこの二つの機関が一体となり、合同プログラムや居場所事業なども行い、心理的なサポートと就労支援を結びつけた事業を強みとして行ってまいりました。  一方、ぷらっとホーム世田谷においても、仕事、お金、心と体のことなど、身の回りの様々な困り事を一緒に整理し、一緒に解決策を考え、一緒に振り返る、伴走型の支援に取り組んでまいりました。来年度からひきこもりの方の相談支援窓口を一本化するに当たり、若者サポートステーションも同一建物内に移転いたしますので、今後は様々な相談に対し、一人一人の希望や適性に応じた対応がより一層丁寧にできるものと考えております。  今後、窓口を一本化することのメリットを生かしまして、相談のみにとどまらない多角的な事業連携をさらに進め、就労を希望する方には、年齢を問わず一人一人のニーズに沿った働き方、働き先を御提案できるよう、体制を整えてまいります。  以上でございます。 ◆一番(神尾りさ 議員) 以上で終わります。 ○下山芳男 議長 以上で神尾りさ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、八番つるみけんご議員。    〔八番つるみけんご議員登壇〕(拍手) ◆八番(つるみけんご 議員) 初めに、長期にわたり新型コロナウイルス感染症の対策に当たっておられる医療関係者の皆様、保健所やワクチン業務等に休む間もなく日夜取り組んでおられる区の職員の皆様、関係者の方々に心より感謝申し上げます。  それでは、通告に基づき質問いたします。
     今般の新型コロナウイルス感染症に対し、区は、医療体制や検査体制の拡充、地域経済や地域産業への経済的支援施策など、様々な対策をされているわけですが、長期間に及ぶコロナ禍において、区民の生活の中で起きている様々な心理的変化に対しても、生活的観点からきめ細やか、かつ多角的な施策の展開が必要です。地域のつながりの希薄化、感染症への恐怖によるひきこもり、閉じ籠もりの増加、高齢者の方の虚弱化や認知症の進行などの懸念があります。  一方、子どもについては、学びへの影響といった側面だけではなく、コロナ禍における閉塞感やストレスの増大、それに伴ういじめや不登校、鬱病や自殺の増加など、顕在化しにくいリスクの高まりも懸念されております。  昨日、他会派からも質問がありましたが、特に若年層の自殺の増加は深刻な問題であり、警察庁の資料によると、令和二年の十九歳以下の全国での自殺者数は、前年から百十八人増加し、七百七十七人。百人を超える増加は、直近二十年で一度も前例がありません。長期間に及ぶ新型コロナウイルス感染症の蔓延は、確実に区民の心と体の健康に多大な影響を及ぼしており、その対策は急務であると同時に、継続的な視点を持って展開していかなければなりません。  短期的及び中長期的な視点から、区民の心と体の健康への影響に着目し、区民の生活、子どもの成長、区民の心理的な変化等の実態を的確に捉え、具体的な施策、事業を組み立てていくことが重要であると考えます。区のお考えをお聞かせください。  次に、地域行政について伺います。  区長は昨日の招集挨拶において、地域行政について、まちづくりセンターでワンストップサービスを実現すると、力強い御発言をされました。つまりは、区民意識調査でも、長年課題とされてきた窓口でのたらい回し問題が、区長の強力なリーダーシップの下でいよいよ解決に向かうものと、大変大きな期待をしております。  そこで伺います。区が考えておられるまちづくりセンターにおけるワンストップサービスの実現とは何か。その実現に向けて、どのような課題があり、その諸課題をどのような手法を持って乗り越えていかれるのか、区のお考えをお聞かせください。  次に、公共施設の整備方針等について、二点伺います。  一点目は、世田谷区公共施設等総合管理計画(案)についてです。  九月三日のDX推進・公共施設整備等特別委員会で示された公共施設等総合管理計画(案)において、児童館の未整備地区については計画的な整備を行うとの方針が示されながらも、その具体的な年次計画については現時点では立っていないということが、特別委員会の質疑の中で明らかとなりました。  疑問です。年次計画なくして、計画的に整備を行うということが果たして可能なのでしょうか。昨年策定された世田谷区子ども計画(第二期)後期計画では、児童館は地区ネットワークの中核として位置づけられています。そうであるならば、一刻も早く未整備地区を解消し、どの地区に暮らしている子どもたちも同じようにその恩恵を受けられる育ちの環境を整備していくのは、区として当然の責務ではないでしょうか。  場所の確保や財政的観点からも容易でないことは推察いたしますが、今後、より一層厳しい財政状況が予測される状況であるからこそ、新設が困難であるとしても、複合化等を含め、あらゆる創意工夫によって実効性のある年次的な整備計画を早急に策定し、未整備地区の解消に向けた道筋を区民に明らかにすべきと考えます。区の見解を伺います。  二点目に、公共施設と参加と協働の関連性について伺います。  先日示された世田谷区未来つながるプラン(素案)においては、区民が主体的に地域を運営する住民自治の拡充を進めるために、参加と協働を軸にした取組を推進していくとの方向性が描かれています。区民にとって最も身近な参加と協働、住民自治の場である地域コミュニティーの活動を保障する基盤となるものが公共施設であり、今後ますますその重要性を増していくものと考えますが、区として、公共施設等総合管理計画と未来つながるプラン、そして区が掲げる参加と協働について、それらの関連性をどのように考えておられるのか、参加と協働の定義を含め、区の基本的考え方を伺います。  次に、教育ビジョンの新たな展開について、二点伺います。  まず、教育ビジョン・調整計画の位置づけと在り方についてです。  現在、教育委員会は、第二次世田谷区教育ビジョンの計画期間の最終の二か年における個別事業計画として、令和四年、五年度の調整計画を作成されているわけですが、この一年半、新型コロナウイルス感染症の影響により、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化してきました。子どもたちや保護者、さらには現場の先生方は、学びと育ちに対する大きな不安と向き合いながらも、それぞれの立場で様々な創意工夫と不断の努力を重ねてこられました。この困難を乗り越え、この経験を一人一人の学びと教育の質の転換につなげていくためには、この一年半にわたる創意工夫と努力、さらには新たに見えてきた課題をつぶさに分析し、それらを世田谷の教育の共通財産として捉え、調整計画に書き込むことが重要ではないでしょうか。  その上で、この調整計画の中で、ある意味では、事業計画としての枠組みを超えて大きく変化した教育現場の実態を捉え、現在の教育ビジョンの見直しに資するような全体像を描き、教育の再構築に向けた今後の展開と、これからの二年間の現場での具体的対応策について明らかにしていくことが、今、教育委員会に求められているのではないかと考えます。教育委員会のお考えを伺います。  続いて、教育ビジョン・調整計画における教育総合センターの展開について伺います。  今年六月の第二回定例会では、教育総合センターについて、教育長自ら、従来の計画の充実にとどまらず、センターの位置づけ、役割、今後の展開などを調整計画に組み込むとの御発言がありました。コロナ禍を踏まえ、従来計画の枠組みを超えた今後の展開が示されることに大変期待をしておりました。しかしながら、御提示いただいた調整計画を見る限り、残念ながらコロナ禍で非常に厳しい財政状況の中、教育総合センターが約二十八億円もの予算を費やして新設されるその意義と、予算以上の政策的効果が世田谷の全ての子どもたちに還元される展開が描かれているようには見てとれません。  教育委員会として、どのように区民の理解を得ようとされているのか、教育総合センターが核となって推進する新たな学びを世田谷の全ての子どもたち、一人一人の子どもたちにどのように実感してもらおうと考えておられるのか、その具体的方策をお聞かせください。  最後に、区の認知症政策について伺います。  認知症の損害賠償の補償制度については、今月も全国で複数の自治体がその取組を開始しています。本制度について、本年六月の定例会では、区長から、所管の調査と提案とともに、最終的に私自身がこれを判断してまいりたいと力の籠もった御発言がありました。その後の区としての進捗状況についてお聞かせください。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎辻 世田谷保健所長 私からは、新型コロナウイルス感染症が区民に及ぼす影響等についてお答えいたします。  令和二年九月に保健所が実施した世田谷区民の健康づくりに関する調査では、新型コロナウイルス感染拡大前と比較して、健康意識の変化については五九%の方が変わらないと回答しています。一方で、いわゆる新しい生活様式における健康面等の変化の回答では、会話する機会が減った、ストレスを感じることが増えた、運動の機会が減ったが上位を占めております。  この調査結果から、新型コロナウイルス感染症は、区民の健康づくりへの意識や行動に一定の影響を及ぼしておりますため、議員お話しの区民の心理的な変化等の実態を捉え、将来に向かって具体的な施策、事業を組み立てていくことが重要になると認識をしております。  引き続きあらゆる機会を捉えて、短期的、また中長期的に区民の実態把握を行うとともに、令和六年度から始まる次期健康せたがやプランを策定する中などにおいて、新しい生活様式を踏まえた具体的な施策、事業の検討を進めてまいります。  また、新型コロナウイルス感染症は、子どもから高齢者まで、あらゆる世代の心身に影響を及ぼすことから、関係各部と連携し、庁内で情報を共有しながら、実態把握や、それに即した具体的な対策を検討してまいります。  以上です。 ◎舟波 地域行政部長 私からは、まちづくりセンターにおけるワンストップサービスの実現について御答弁いたします。  まちづくりセンターにおけるワンストップサービスは、まちづくりセンターを訪れた方の問合せや、御相談への対応力を強化するとともに、より専門的な内容であった場合でも、DXによるデジタル化により、本庁や総合支所などの担当所管とつながり、区民がその場で求めるサービスの提供や解決がされる、またはその見通し等が示されることと考えます。  このようなサービスを実現するための課題といたしまして、多くの区民の方にまちづくりセンターを知っていただくことや、福祉の相談窓口による潜在的、複合的な課題の発見と、適切なサービスに結びつける機能の充実、さらには、まちづくりセンターと本庁や総合支所が迅速に連携する仕組みづくりが課題と認識しております。  こうした課題の解決に向けましては、まちづくりセンターが多世代に向けた情報発信を多様な方法で行う広報活動の推進や、最新の区政情報や地区の社会資源を把握する仕組みづくりと職員研修の充実、さらには、まちづくりセンターと総合支所、本庁とをつなぐデジタル環境の整備と、それを活用した業務の見直し等が必要です。  今後、(仮称)地域行政の充実に関する条例や推進計画の検討で具体化を図り、区民に信頼され、期待に応えられるまちづくりセンターの窓口の実現に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、二点御答弁いたします。  公共施設整備方針等に掲げる児童館の未整備地区の解消に向けましたロードマップの反映についてでございます。  児童館につきましては、令和二年二月に機能と再整備の考え方を取りまとめ、未整備の八地区については学校との複合化を基本とし、計画的な整備を行う考えを示し、公共施設等総合管理計画一部改定案にも反映をしてございます。  公共施設等総合管理計画に記載の施設類型ごとの具体的な取組は、年次計画として実施計画上でお示ししているところですが、児童館未整備地区の整備につきましては、現段階で具体的な取組が定まらず、(仮称)未来つながるプラン(素案)にも反映をできていない状況でございます。  児童館未整備地区の解消に当たりましては、学校等周辺の公共施設改築と合わせた複合化など、ハード面の課題を整理するほか、重複地区の対応も含め、職員の確保、育成及び運営体制など、ソフト面の課題整理も合わせて行い、年次計画を整理していく必要がございます。関係所管とも調整しながら、できるだけ早期に整備計画の方向性をまとめてお示しできるよう、検討を加速してまいります。  次に、公共施設等総合管理計画と未来つながるプラン、それから参加と協働についての関係性についてでございます。  区が掲げる参加と協働は、地域の主体である区民や地域活動団体等が情報を共有し、地域の課題解決を目指して、主体的に地域づくりに関わることであると考えております。地域にある公共施設は、区民等が日頃から顔を合わせ、関係性を深め、主体的に地域で活動する基盤を担っており、参加と協働の土台であると認識しております。(仮称)未来つながるプラン(素案)において、参加と協働を一層推進するとともに、多様な主体との協働や連携を土台に、その先も見据え、さらなる発展を目指す考えを示しております。  公共施設等総合管理計画の一部改定案の重点方針でお示ししております既存施設の区民利用機会のさらなる拡充は、整備費や維持管理経費の抑制を図りながらも、区民の参加と協働の土台である区民利用施設のさらなる有効活用を図り、区民の主体的な地域活動に寄与しようとするものでございます。  今後とも、地域にある公共施設を参加と協働の実践の場と捉え、地域コミュニティーの活動がさらに活発となるよう、両計画で整合を図りながら取組を推進してまいります。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは、教育ビジョン調整計画の位置づけと在り方についてお答えいたします。  今回の調整計画は、第二次行動計画を振り返るとともに、教育を取り巻く新しい課題をこの調整計画の中に的確に反映させ、次期教育ビジョンにつなげる重要な役割を担わせることといたしております。  コロナ禍や、近年頻発する大規模な自然災害の発生などから、教育現場を取り巻く環境が大きく変化しております。時と場所を超えたICTを活用した教育の進展や、子どもたち一人一人に応じた多様な学び方など、教育の在り方が大きく変化する中で、子どもたち自身がこうした変化に積極的に向き合い、受け止め、自らの未来を切り開く力を身につけさせることが現段階での大きなテーマとなります。さらに、教職員が新しい教育に積極的に向き合い、研究、研修を重ねるとともに、教職員の考えや意見が反映され、教職員自身が新しい教育の推進者となるよう、教育総合センターを核とした教育を教育ビジョン調整計画に取り入れてまいります。  今後、区議会等からいただいた御意見を踏まえ、案になる段階で全体像をお示しし、教育の転換期における教育ビジョン調整計画の位置づけを明確にし、その実現に向けて取り組んでまいります。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、総合教育センターの展開についてお答え申し上げます。  社会の変化が加速度を増し、コロナ禍により、オンライン学習の導入など、教育も大きくさま変わりをしてまいりました。急速に変化する時代の流れの中で、新しい視点を持って、その教育についての理解を進めることが重要でございます。このため、教育総合センターにおいては、未知の問題、課題に対して、数学、科学、技術などの枠を超えて、知識や考えを統合させて解決を目指すSTEAM教育や、段階的に考えを進める力、行動力などの基礎となるプログラミング教育などの講座を設け、この教育の必要性を教員、子どもたち、保護者、地域に伝えてまいります。  そして、この新しい教育の推進の核となるのが教育総合センターでございます。さらには、産業団体や大学、地域とつながり合うという新しい視点を加えて、教育の推進を図ります。  教育総合センターでは、この教育の新しい流れをつくるセンター機能を持たせ、教員が学びを進め、子どもや保護者が新しい教育に触れることにより、世田谷らしい教育の中心拠点となるような取組を展開してまいります。  新しい教育を推進する核としての機能を発揮させ、地域、企業、大学との連携を深め、新しい教育を推進する教育総合センターとしてのその役割をしっかりと確立し、理解を深めてまいります。  以上でございます。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、認知症の方の損害賠償の補償制度についてお答えいたします。  認知症の方の損害賠償責任保険事業につきましては、損害補償という事後対応だけでなく、地域の取組を補完する仕組みとして十分な議論が必要であると認識しております。本年七月、先行して損害賠償責任保険事業を実施している七十五自治体にアンケート調査を行いました。八月に実施した認知症施策評価委員会の中で、これまでの委員会及び部会での意見と、併せてその調査結果について、補償実績や補償状況の具体例、先行自治体が挙げている課題などを速報として報告いたしました。  また、世田谷区認知症とともに生きる希望計画に基づく四つの重点テーマ及びプロジェクトを進めていく中で、認知症施策評価委員会の部会として、地域の見守りネットワーク及び損害賠償責任保険事業も含めた認知症の方のセーフティーネット全体について検討する部会を設置することといたしました。  今後は、セーフティーネット部会の中で、地域の見守りに関するネットワークの実態把握及び損害賠償責任保険のアンケート調査結果の分析や、区としての課題を整理した上で、認知症施策評価委員会において議論を深めながら、区として検討し、認知症の方が安心して安全に暮らすことができる地域づくりを進めてまいります。  以上です。 ◆八番(つるみけんご 議員) 教育ビジョンと教育総合センターについて再質問いたします。  今の御答弁の中で、教育総合センターでは、世田谷らしい教育の中心拠点となるよう取組を展開していくということをおっしゃられたわけですが、そのためには、今の御答弁で言われたようなビジョンや考え方、取組の方向性が、教育委員会全体はもとより、世田谷中の子どもたち、保護者、教育現場の先生方をはじめとする全ての区民の方々に伝わっていくことが大切であると考えます。また、昨日からパブリックコメントによって、教育総合センターを含む調整計画素案に対する区民意見募集を行っているわけですが、この区民の皆様からいただいた御意見を踏まえて、区がどう考え、どのように教育総合センターの運営や展開に反映していくのか。そのことを十二月の開設までのおよそ三か月間で、全ての区民の方々に向けて、実務的にどのように伝えていかれるのか、そのお考えや、また、そこに向けての決意、ぜひお聞かせください。 ◎知久 教育総務部長 再質問にお答えいたします。  議員お話しのとおり、学校現場の教員をはじめ、世田谷の子どもたちや保護者、地域の方々など、広く区民に教育総合センターの取組を浸透させていくことが、新たな学びの推進のために必要であると認識しております。教育総合センターに関する区民からいただいたパブリックコメントについては、内容を確認しまして、運営に生かしてまいります。  さらに、区広報紙や、せたがやの教育、教育センターだより、センターホームページなど、様々な広報媒体を活用し、分かりやすい情報発信に努めまして、教育総合センターが世田谷区らしい教育の中心拠点として広く認知されるよう、事務局一丸となって取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆八番(つるみけんご 議員) 以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上でつるみけんご議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、三十三番藤井まな議員。    〔三十三番藤井まな議員登壇〕(拍手) ◆三十三番(藤井まな 議員) 質問通告に基づき順次質問をしてまいります。  まず、公契約条例についてお伺いをいたします。  世田谷区に公契約条例ができてから、様々な成果がもたらされておりますけれども、また、この公契約条例の分野も新型コロナウイルスの影響を様々受けています。公契約審議会や労働報酬専門部会の開催数も少なく、十分な審議時間の確保が求められるところです。  現在の労働報酬下限額は千百三十円で、一昨年に決められたものです。昨年は新型コロナウイルスの影響も大きく、金額が据え置かれたのは御存じのとおりです。そんな情勢下においても、好調な企業は株価を伸ばし、業績が上方修正される事例も多く報告されています。ますます格差の拡大が心配される状況です。  十月一日には、都の最低賃金が引き上げられます。上げ幅は二〇一九年に引き上げられた金額と同額の二十八円アップで、千四十一円となります。こういった流れを受けて、世田谷区でも労働報酬下限額の引上げが重要と考えます。  世田谷区は高卒初任給の時給換算額を達成したことで十分だと思っているかもしれませんが、この時給換算の計算には賞与が含まれておらず、純粋な時給換算でないことを忘れてはなりません。これらの状況を考え、来年度には最低でも二十円以上の引上げが必要であると考えています。また、何度も提言してきた職種別の労働報酬下限額の設定も行われておらず、こちらも早急に進めなければなりません。区の考え方をお伺いいたします。  また、公契約条例と切っても切り離せない入札制度改革ですが、先日議会に示された来年二月導入に向けた世田谷区建設工事総合評価方式ですが、我が会派が昨年から求めてきた建設キャリアアップシステムの登録などが盛り込まれており、大変評価できる内容となっていると考えます。  今後は、本庁舎整備の工事現場でも一〇〇%の導入を目指し、より周知していくこと、労働報酬下限額を現場で働く方にもしっかりと理解してもらうために周知カードを徹底して配ること、さらには抜き打ちで現場確認することなど、モデル事業となるように取り組むべきだと考えますが、世田谷区の考え方をお伺いいたします。  次に、障害者政策について、三点お伺いをいたします。  まず、東京リハビリテーションセンターについてです。  東京リハは、オープンしてから三年を迎えております。この間、区議会でも何度も議論が行われてまいりました。全く改善されていないとは言いませんが、いまだに利用者やその御家族から多くの改善要望をいただきます。担当がすぐ変わるといった、以前から取り上げている人材の定着のお話や、知的障害をお持ちで入所されている御家族からは、コロナ禍とはいえ面会できるように工夫してほしい、炎天下に外歩きをさせており負担が大きいように見えるといった、少し考えれば改善できる問題や、高次脳機能障害の家族の方からは、総合福祉センター時代のときに行っていた支援の約束が果たされていないと、そういった御意見などもいただいています。  三年がたち、なぜこれほどまでに問題が多いのか、いつになったら改善できるのか、区はどのように考えているのか、お伺いをいたします。  医療的ケア児について質問いたします。  これまでも医療的ケア児に関する多くの観点から質問してまいりました。共働き世帯の小学校入学により、働くことを諦めなければいけない問題など、まだまだ問題は山積しております。それでも要望してきたそれぞれの現場での看護師配置や蓄電池補助など、実現に至っている分野も多く、区の取組を評価いたします。  しかし、コロナが猛威を振るう中、医ケア児を自宅で見ている場合、コロナに罹患するなど、養育ができなくなった場合の緊急レスパイト枠の拡充などはさらに増やしていく必要があると考えます。また、コロナ禍に当たり、都補助金を使っている在宅レスパイト事業は、今年度までは回数制限が取り下げられておりますが、医ケア児の現状を考えると、来年度以降も回数制限なく、上限の九十六時間利用できるように、世田谷区から東京都に進言するべきだと考えますが、世田谷区の考え方をお伺いいたします。  次に、先日、事故で上半身に障害が残っている方とお話しする機会がありました。同じ障害を持っている方々と意見交換をする場があるということなんですが、他区のほうでは上半身に障害があっても移動支援があるそうです。障害によって支援の形は様々ですが、住んでいる区と隣接区でなぜ受けられる支援が違うのかと感じたそうです。確かにそのとおりです。その方は下半身の障害は認定されておりませんが、上半身の手術をする際に下半身の筋肉を移植した関係で筋肉量が少なく、事故前に比べると随分すぐに疲れてしまうと悩まれていました。この事例、区はどのように考えるでしょうか、お伺いをいたします。  次に、教員の働き方改革についてお伺いをいたします。  教員の多忙化についてはこれまでも様々な機会を捉えて提言してまいりました。昨今のコロナ禍において、タブレットを使用する機会も増え、今までになかった教員の負担が増えています。先日の文教常任委員会では、多角的な対応策が示されたところです。  我が会派が熊本市を視察し、ICT支援員のさらなる増員を求めてきた結果、支援員の数も二倍に増え、状況が改善されつつあると思います。今後はこの体制をしっかり継続していくことと同時に、現場の教職員の方々に負担が軽減されたのか、今後の心配はないのか、教育委員会には把握する必要があると思いますが、いかがでしょうか。  また、文教常任委員会で指摘させていただきましたが、研修を行うことは大事ですが、インフルエンサーからの講習などの項目は、誰にとって何のインフルエンサーなのかも分かりづらく、定義できる言葉を使い、対外的にしっかり説明できるように改めることが、教育をつかさどる教育委員会のあるべき姿だと思いますので、意見として付け加えておきます。  もう一つ、働き方改革で提言したい内容があります。学校内での集団集金に関することです。令和の時代を迎え、ネットバンキングも当たり前の世の中になりました。そんな中でも、教材費を業者と直接やり取りしている学校が多くあります。教材費を支払う日に業者が複数の学校を回ることも珍しくなく、業者が来るまで先生方は待っているということもあります。今どき現金を直接やり取りしていることも時代遅れだという観点、コロナ禍で直接お金のやり取りをするデメリット、対面するリスク、先生方の時間の浪費、これらを考えると、教材費などのやり取りはネットバンクで行うことで多くの改善がなされると思います。教育委員会は集団集金をどのように考えているか、お伺いをいたします。  最後に、ひとり親支援についてお伺いをいたします。  これまでもひとり親支援について提言してまいりましたが、提言した公営住宅への入居支援や、今年五月からは民間団体、ADR推進協会と協定を結び、離婚前家庭支援を行い、政策に取り組んでいる区の姿勢は評価できるものであります。ひとり親家庭支援の根底にあるのは、離婚した母子家庭と父子家庭の収入の平均に二倍近く差があることで、母子家庭の生活の安定のために取組が必要である現状があると思います。  なぜこのような数値になっているかの問題点の一つとして考えられるのが養育費と言われています。厚生労働省のデータでは、養育費の取り決めをしている母子家庭は四三%、養育費の受け取り状況では、現在受けているが二四%、受けたことがないが五六%、過去受けていたが一六%という数字になっています。これらの数字は曖昧な状態になってしまうのを防ぐための取組が必要であることを示していると思います。  そんな中、戸籍届出書の標準様式の改正に合わせ、離婚届にはQRコードで説明が見られるようになり、養育費分担の取り決め方法の下部には、公正証書の記載がなされるようになりました。養育費の取り決めを公正証書で行うことにより、曖昧になっていくことを防ぐことが期待されます。  世田谷区ではまだ旧式の離婚届の在庫があるため配付はされていませんが、この離婚届に変われば、世田谷区においても、今よりも格段に養育費の受け取りのための公正証書利用をすることが知れ渡っていくはずです。  豊島区では、ひとり親支援策の一環として、公正証書作成のための費用を自治体が補助するという政策を行っています。世田谷区には現在その制度がありません。ひとり親家庭が、さらに養育費の受け取りをしやすくなるよう、世田谷区でも公正証書作成のための費用を補助する制度を提案したいと思います。
     ひとり親家庭を支援する様々な制度が整えられていても、その支援を受けている人が少ないというデータがあります。これは支援内容を知らないという理由と、行政からの支援は恥であるという考えから、生活が徐々に厳しくなり、負のスパイラルに陥ってしまうという理由があります。離婚前の段階で、公正証書による養育費の取り決めを行うことで、ひとり親になってから、行政の支援だけは受けたくないと考えている人たちの生活を安定させることにつながるのは言うまでもありません。  区は、養育費に関する公正証書等の作成補助に関してどのように考えているか、お伺いをいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎工藤 財務部長 私からは、公契約条例について、二点、順次御答弁いたします。  まず初めに、来年度の労働報酬下限額と職種別労働報酬下限額についての御質問です。  令和三年四月一日からの工事以外の委託契約などの労働報酬下限額については、区職員の高卒初任給相当額である一時間当たり千百三十円で、令和二年度と同額となっております。  令和四年度の労働報酬下限額については、本年度に行われる特別区人事委員会の給与勧告などから、公契約適正化委員会の労働報酬専門部会での審議の上、意見書を頂く予定となっておりますので、この内容を十分尊重し、区の財政状況なども考慮した上で判断をしてまいります。また、委託業務の職種別労働報酬下限額については、本年二月に公契約適正化委員会よりいただきました答申に基づき、区の委託業務の実態把握を進め、その内容を基に労働報酬専門部会にて審議をいただいております。  区といたしましては、効果的な職種別労働報酬下限額の具体化に向け、引き続き十分議論が尽くされるよう、必要な資料提供や情報整理、会議の開催方法などの工夫に努めてまいります。  続きまして、二点目、公契約条例の実効性の確保についての御質問です。  本年二月に、公契約適正化委員会よりいただきました答申では、適正な労働条件などの確保に向け、下請負者を含めた公契約条例のさらなる周知及び実効性を担保する取組が求められております。区は、本答申を踏まえ、公契約に係る労働者への労働報酬下限額の周知カードの配付及び事業者への配付確認などの取組を新たに実施することとし、現在、公契約適正化委員会にて具体的な実施方法を審議いただいております。  こうしたことから、本庁舎等整備工事の施工者においては、下請負者との契約書に、労働者へ労働報酬下限額以上の賃金を支払うことを規定するなど、条例の遵守に向けた取組を進めるとともに、御質問の建設キャリアアップシステムの導入にも取り組んでおります。  区といたしましては、定期的に施工者への履行確認を行うとともに、周知カードの運用開始後は現場の労働者に随時受領確認を行うなど、条例の実効性を担保することで、本庁舎等整備において、下請負者を含めた労働者の労働環境の向上を図り、安全で高品質な施工を確保してまいりたいと考えております。  以上です。 ◎須藤 障害福祉部長 私からは、障害政策について、三点御答弁申し上げます。  まず、東京リハビリテーションセンター世田谷についてです。  梅ヶ丘拠点民間施設棟の障害者施設については、平成三十一年四月の開設当初、運営方法など、様々な御意見等を頂戴しておりました。区といたしましては、このことを重く受け止め、施設を訪問し、具体的な改善策の検討や、定期的な連絡会による協議を重ねまして、担当ケースワーカーや相談支援事業者などの関係機関との連携強化のほか、研修、マニュアルの見直し等による支援力向上、短期入所の看護師増員等につなげてまいりました。  また、長期にわたりサービス水準を維持し、拠点としての役割を果たしていくためのモニタリングを毎年度実施し、必要に応じた助言を行い、開設二年目以降、この苦情の件数は大幅に減少をしております。  今後も検討や改善を要する課題、意見はございます。新型コロナウイルス感染の防止対策を講じながら、個々の状況を確認し、施設への訪問やモニタリング等を通じて、障害福祉の中核を担う拠点としての役割を果たしていけるよう、引き続き検討、対応してまいります。  続きまして、在宅レスパイト事業について御答弁申し上げます。  在宅レスパイト事業は、重症心身障害児者等の健康の保持、家族の福祉の向上を図ることを目的に、居宅に看護師等を派遣し、家族に代わって医療的ケア等を行うものです。事業の実施に当たりましては、都の補助金を活用しており、看護師等の派遣は一世帯当たりで、年度内で二十四回を超えない範囲で、月四回が上限となっておりますが、今般のコロナ禍の影響によりまして、東京都からの通知により、令和二年度、三年度は特例として、年間で九十六時間を上限ということになってございます。今後、特例がなくなった後も同様の対応を継続する場合は、区単独の財政負担となるなどの課題もございます。  区といたしましては、障害者団体や利用者の声を踏まえ、柔軟な対応が図れるよう、事業の継続が望ましいというふうに考えておりますので、他区と連携しながら、都に対して対応を継続するよう働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。  最後に、上半身に障害のある方への移動支援についてです。  区では公共交通機関の利用が困難な在宅の高齢者、障害者の通院、買物などの外出を支援するため、タクシーを利用する場合に、福祉タクシー券等の福祉移動サービスを提供してございます。福祉タクシー券の対象は、医師の診断に基づいて発行される障害者手帳の区分や障害等級及び愛の手帳の度数により決定をしております。  対象となる障害区分については、お話のとおり、各区の判断により、対象は異なっております。世田谷区においては、歩行困難な障害の方や、単身で公共交通機関の利用が困難な方を対象としており、お話のように上半身のみの障害の方は対象となっておりません。  現在、対象となっていない方への福祉タクシー券の交付につきましては、対象を客観的に判断する必要があり、公平性を確保するために慎重な検討が必要であると考えております。  今後も移動困難な高齢者や障害者の外出支援向上のため、他区の福祉移動サービスに関する情報収集などを行いながら、関係機関と連携して取り組んでまいります。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、ICT支援員の取組についてお答え申し上げます。  ICT支援員は、授業でのICT機器操作の支援や、ICTの活用に関するアイデア提供を行うなど、教員の業務をより効率的に実現するためのパートナーとして活躍していただいております。  これまで、月に一、二回の訪問を九月から週一回に増加させることによって、全ての学校で教員のICT活用スキルを高め、円滑な授業が展開できるよう配置体制を強化してまいります。さらに、アンケートを活用することなどで現場の声を聞き取ることにより、効果を検証し、フィードバックすることで、サポートの質の向上につなげてまいります。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは、学校内の集団集金についてお答えいたします。  学校での保護者からの集金は、各種ドリルやテストなどの教材、校外学習の交通費や参加費等がございます。集金のほとんどは原則、保護者口座からの引き落としになっておりますが、年度当初の行事で引き落としが間に合わないものや、希望者のみが申し込む教材等、一部については現金による集金を行っております。  教育委員会といたしましては、事故防止の観点からも、極力現金での取扱いを少なくすることが必要であると考えております。  今年度より、学校の出入金業務について、インターネットバンキングを活用し、現金、対面での取扱いを縮減し、業務の効率化につなげております。今後とも、教員の負担軽減の観点からも、現金取引の縮減に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、ひとり親支援について御答弁申し上げます。  議員御指摘のとおり、養育費の確保に関わる支援といたしまして、他自治体で公正証書の作成費用の助成といった取組を実施していることは認識しております。区では、この間、ひとり親家庭等における養育費等の取り決めが確実に行われ、少しでも安定した子どもの生活が確保できるよう、子ども家庭支援センターにおける相談や土曜日または日曜日に開催している養育費相談会といった相談支援を行うとともに、ひとり親家庭のためのリーフレットや支援事業の周知チラシの配布など、多様な媒体を活用したきめ細かい情報提供に努めているところです。  また、今年度からは民間団体と連携し、離婚に向けた子どものメンタルケアや養育費等の様々な取り決めに関わる講座であるパパとママの離婚講座をひとり親メールマガジンなどにて周知するとともに、離婚届出書配布等のタイミングを活用し、国が作成した養育に関する手引と区のひとり親リーフレットをお渡しするといった、養育費の確保等に資する早期の情報提供を行い相談支援につなげていくなど、戸籍窓口など、子ども家庭支援センターとの連携強化を図ってまいりました。  今後もひとり親家庭が相談しやすく、必要な支援につながることができる仕組みの充実を図ってまいります。  以上でございます。 ◆三十三番(藤井まな 議員) 今、教育委員会の答弁だとなんか、本当に集団集金は一部みたいな感じですけれども、まだ結構のところでやっていますよね、多分。一回見に行ったほうがいいと思うんですけれども、例えば、先生方が業者が来るのをずっと待っていて、業者が来て、ようやくお金をやり取りして、もう帰れるなと思ったら業者にずっと営業トークされたりとか、本当に何か時間の浪費が激しいですよ。やっぱりそこは、もうはっきり、できる限りネットバンクでやるって今言ってくださいよ。どうですか、現場を一度見に行ったこと、見たことありますか。 ◎知久 教育総務部長 再質問にお答えいたします。  今年度から導入ということで浸透していない部分もございます。一度現場のほうを確認をさせていただいて、技術的な問題であればまずそちらのほうを支援して解決をさせていただきますし、まず現金取引を縮減するということで進めさせていただければと思います。  以上です。 ◆三十三番(藤井まな 議員) あと、ひとり親支援ですけれども、やっぱり離婚届って絶対取りに行かなきゃいけない部分があって、絶対お話しするんですよね。だからこそ養育費の取り決めを公正証書でできるようにすれば、補助するということになれば、お金がかからないで、お金が補助されるんだったらやってみようって、そこでもうその後の人生にすごく大きく関わる部分じゃないですか、養育費って。ぜひともこの豊島区でやっているような取組を世田谷区でもやっていただいて、離婚するときは養育費は大事ですからね、公正証書でつくってくださいね、今後の人生のためにもとしっかり言えるような体制をぜひともつくっていただきたいということを最後にもう一度申し上げて、公契約条例と障害者政策は決算特別委員会で続きをやりたいと思います。  以上で終わります。 ○下山芳男 議長 以上で藤井まな議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午前十一時九分休憩    ──────────────────     午前十一時十九分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  十三番田中みち子議員。    〔十三番田中みち子議員登壇〕(拍手) ◆十三番(田中みち子 議員) 質問通告に従って、順次質問してまいります。  子どもたちの健やかな育ちと学びを保障する体制整備についてです。  新型コロナウイルスの緊急事態宣言が延長になった十三日から、東京二十三区内全ての小中学校での一斉登校が始まりました。世田谷区としては、当初の分散登校から学校での対面授業か自宅でのオンライン授業か、各家庭の判断で選択できる対応に切り替えるなど、走りながら考える対応に追われている現状です。この間、学校も家庭も、どんなに大変だっただろうと察しています。しかし、どんな家庭環境にあっても、学ぶ権利、食べる権利など、一人一人の子どもの育ちを保障する十分な支援体制が求められます。  長引くコロナ禍では、学校現場でもこれまで以上にICTを推進することが必要となっていますが、自宅でのオンライン授業一つとっても、画像の問題や聞き取りにくさに加え、教師の指導上の格差など、様々な声が届いています。こうした課題を保護者や子どもから直接拾い上げる仕組みの検討、ICTサポート窓口の周知徹底や、ICT支援員の強化など、学校におけるICT環境の格差が教育格差につながることがないよう、迅速で丁寧な対応を求めます。見解を伺います。  自宅でのオンライン授業が困難であるといった特別な事情がある子どもたちには、登校日以外でも学校へ行くことができ、給食も提供できる体制にはなりました。しかし、こうした各家庭の配慮がかえって差別などのいじめにつながるおそれがあることは、誰もが危惧するところです。  夏休み中に食を提供する子ども食堂では、困難を抱えた子どもとつながるケースがあります。実例として、私が関わっている子ども食堂では、今日食べるものがないといった相談があり、対応しました。給食が一日の栄養源になっている子どもは存在していますが、大変見えにくいものとなっています。長引くコロナ禍の影響で、食事の回数や一回の量を減らすといった家庭があることが指摘されている中、市民力だけでカバーできるものではありません。学校給食は、子どもたちの健やかな成長に重要な役割があります。  感染防止対策として、学校運営に影響が出る場合であっても、学校に通う全ての子どもに対して栄養バランスの取れた食事が取れるよう、学校給食の体制について工夫を凝らし、食の提供を維持すべきです。見解を伺います。  また、教育委員会としての学校給食の役割や、今回の分散登校での食材納入業者への影響や、余った食材の対応についても、併せて答弁願います。  次に、人権教育としての性教育の推進についてです。  コロナ禍の影響で格差が拡大しています。非正規雇用者の解雇や減収が激しい状況下で、その多くを占める女性、特にシングルマザーの生活は困難な状況にあります。子どもに対する性的搾取は、家庭に居場所をなくし、夜の町に出ていく子どもたちばかりではなく、家庭内でも子どもの人権が無視されている場合が多々あります。だからこそ、構造的暴力や性別による差別、固定的性別役割分業など、あらゆる施策をジェンダーの視点で見直し、性暴力防止に向け効果的に対応できる相談・自立支援体制の構築やジェンダー・人権教育を幼児期、学童期、思春期と生涯にわたり行うことを求めてきました。  現在策定中の世田谷区第二次男女共同参画プラン後期計画では、性犯罪、性暴力の防止の被害者支援の充実を新たな課題とし、誰一人として性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないための取組を進めるために位置づけたことを評価します。残念ながら、まだまだ私たちの日常生活には、ジェンダーに基づく差別があります。全ての施策をジェンダーの視点で見直し、反映させるジェンダー主流化を定着させ、世田谷区から性犯罪、性暴力が根絶されるよう、実効性のある取組を進める必要があります。見解を伺います。  また、ジェンダー差別を取り除くには、幼い頃からの人権教育、誰もが平等で、誰もが自分の意思を表明できる力が持てるようになることが重要であり、互いの体の違いを理解し、互いを尊重する関係の中で生きる権利であるリプロダクティブ・ヘルス・ライツの啓発を進める必要があることは、これまでも何度も申し上げてきました。  世田谷区内には学校向けの図書や教材を制作、出版し、人権教育としての性教育を推進してきたアーニ出版があります。共同代表の北沢杏子さんは、日本で初めて性教育の絵本を出版された方で、ジェンダー平等など、人権教育としての包括的性教育を五十年以上実施するなど、現在もその一翼を担っていらっしゃいます。  先般、こちらの出版会社から世田谷区へ書籍や教材の寄附の申出がありました。コロナ禍で、外部講師による性教育が進まない中、大変喜ばしいことです。ただ単に寄附を受け取るだけでなく、イベントでの活用や、専用コーナーの設置、教育委員会と連携した有効的な活用を求めます。見解を伺います。  また、これまで求めてきたリプロダクティブ・ヘルス・ライツのリーフレットの検討状況についても、併せて答弁願います。  最後に、在宅みとりのできる地域福祉と医療との連携強化についてです。  私ごとではありますが、去る八月七日、父が他界いたしました。長くてもオリンピック開会式までとの主治医の見立てではありましたが、その閉会式前日まで命を全うしてくれました。今日、明日をも知れぬ状態の中、父の意思と悔いのない介護をしたいという家族の思いで在宅でみとることに決めたのですが、おかげさまで親孝行できる機会をいただき、子どもとして感謝の気持ちでその時を迎えることができました。元気な頃は、家族以外の方々の御迷惑にはなりたくないというかたくなな父ではありましたが、在宅訪問の医師や看護師、ケアマネや介護福祉士など、多くの皆様に温かく支えられ、日々感謝しながら眠るように最期を迎える姿に多くを学びました。  人生の最期は自宅で迎えたいという区民の割合は六割を超えていますが、そのときに自分が受けたい治療やケアなど、自ら決定できるプロセスの重要性への理解はなかなか進んでいません。  東京都医師会では、アドバンス・ケア・プランニング、ACPという、自分の最期の医療やケアを、自分の希望に沿って意思決定できるように、家族や親しい人と医療、ケアなどについてきちんと話し合い、自分の人生観や価値観を最後まで貫くことを目標にすることを提案しています。  世田谷区では、今年の三月に在宅療養・ACPガイドブックを発行していますが、専門職への周知にとどまっている現状です。一般区民へもその対象を広げて、講習会を設けるなど、効果的な活用を求めます。見解を伺います。  また、コロナ禍では施設や入院先から遺骨で御自宅に帰る場合も少なくないと聞いています。御遺族の複雑で深刻な心の状態を理解して寄り添うことで、回復のサポートをするグリーフケアへの理解を進める取組が求められます。訪問介護など、家族への支援者に対しては、グリーフケア研修を行うなど、支援者への対応力の強化も必要です。見解を伺います。  コロナ禍で、子ども、大人、高齢者も外出を自粛する中で、弱い高齢者や子どもはより弱くなっている事例があちこちで見られます。特にお元気だった高齢者でも、日頃の運動や社会的交流がなくなることで、明らかに身体や認知機能などの低下が見てとれるものの、中には、自分の状況を知ることさえ拒む例が少なくありません。誰もが安心して地域に住み続けられるために必要なサービスを受けられるよう、介護認定への効果的なアプローチを進める必要があります。見解を伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎知久 教育総務部長 私からは三点、順次お答えいたします。  まず、分散登校による給食への影響についてです。  学校給食は、児童生徒の体力の向上や健康の保持増進を図るとともに、教育の一環として重要な役割を担っており、九月三日からの分散登校による教育活動に当たり、児童生徒が指定された登校日に給食の提供が受けられるよう、各学校にて準備を進めてまいりました。  今回の分散登校を行うに当たり、給食用食材については、食材廃棄等の無駄を少しでも減らすよう、各学校へは食材納入業者と調整し、可能な範囲で発注を変更するよう指示したところです。その結果、今回は正確な食数把握は時間的に難しかったこともあり、発注量の調整はしたものの、必要な食数より多く食材を用意することとなった際には、その日の給食として調理し、子どもたちへ提供したケースはありましたが、大規模校を含めて、おおむね順調に事業者と調整できたことを確認しております。  二つ目でございます。配慮を要する御家庭との給食についてです。  学校給食は、適切な栄養の摂取により、児童生徒の体力の向上や健康の保持増進を図るなど、成長期にある子どもにとっては重要な役割を担っていると認識しております。今回の分散登校の実施に当たっては、家庭での学習や生活等が困難であるなど、特別な事情のある児童生徒には、登校日の割り振りにかかわらず登校を認め、給食を提供することといたしました。今後も家庭の事情や子どもが置かれている環境に応じた配慮を行うとともに、学校での教育活動を通して、栄養バランスに優れた手づくりの給食提供に引き続き取り組んでまいります。  最後に、学校における食の保障についてです。教育委員会としましては、学習や食、居場所等での課題を抱える子どもたちへの支援は大変重要であると認識しております。九月三日から分散登校を実施いたしましたが、家庭での経済的負担を軽減するため、分散登校により給食が提供されない場合、就学援助対象者へその日数に応じた給食費相当額を支給することとしております。また、学校を長期間にわたり休業せざるを得ない場合の対応といたしましては、昨年度に子ども・若者部と連携し、子ども配食事業を、新型コロナウイルスの影響により生活に困窮した世帯も対象とする対策等を行ってきた実績もあることから、食の支援を含めて配慮が必要な児童生徒への支援については、福祉領域の関係所管とも連携し、必要な対応を実施してまいります。  以上でございます。 ◎粟井 教育政策部長 私からは二点お答え申し上げます。  まずは、オンライン学習を実施してみての課題についての御答弁でございます。  二学期の開始に当たりましては、新型コロナウイルス感染症対策及び学習の保障の観点から、分散登校による通常の対面授業と家庭でのオンライン学習を併用して教育活動を進めたことで、一定の成果を上げることができました。  しかしながら、家庭でのオンライン学習におきましては、タブレット端末の操作が子ども一人では十分対応できない状況があったり、家庭での通信環境によって、配信された映像の不安定さや音声の途切れがあったり、様々な課題も明らかになってまいりました。  今後、教育委員会といたしましては、子どもや保護者の声を聞く仕組みを検討し、子どもや保護者から上げられた成果や課題を基に、学校と連携しながら、教育活動のさらなる充実に努めてまいります。  もう一点でございます。それではその課題に対し、どう対応していくかということでございます。  今回のオンライン学習で明らかになりましたその課題につきまして、子どもや保護者の声を聞きながら、学校現場と共有し、操作する上でのトラブルを解決するためのFAQを充実させるとともに、動画配信等を通じて、操作方法を丁寧に説明するなど、多くの子どもがつまずいている部分を解決できるように取り組んでまいります。  また、保護者からの問合せを受け付けるICTサポート窓口を五月に開設しまして、周知を行っておりますが、今回のオンライン学習を契機にしまして、学校緊急連絡情報配信サービス、すぐーる等によりまして再周知を行い、家庭でのタブレット端末の利用に際しての質問や懸案事項に丁寧に対応いたします。  教員へのサポートといたしましては、ICT支援員を活用いたしまして、授業のオンライン配信をスムーズに行えるように、迅速な支援を行うことで、自宅からであっても、全ての児童生徒に学びの保障ができるように取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、介護認定への効果的なアプローチについてお答えいたします。  区では、介護保険制度や高齢者福祉サービスを分かりやすくまとめた世田谷シルバー情報を三年に一度、六十五歳以上の方のいる世帯に配付する等、サービスの周知に努めております。また、あんしんすこやかセンターでは、介護の相談を受けておりますが、閉じ籠もりがちなどで実際の相談につながらない方々の状況把握のため、毎年、訪問調査を実施しており、把握した状況によっては、実際のサービス利用や地域でのネットワークを活用した見守り等、必要な支援につなげております。  住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現に向けて、必要なときに必要な介護サービスを受けられるよう、きめ細かく取り組んでまいります。
     以上です。 ◎澁田 保健福祉政策部長 私からは、ACPガイドブックの効果的な活用についてお答えいたします。  平成三十年の三月に、国の人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインの改訂により、ACPの取組の重要性が強調され、区といたしましても、ACPの普及啓発を図る観点から、本年三月に在宅療養ACPガイドブックを発行し、取組を進めております。  この間、医療職、介護職等の委員で構成されます医療連携推進協議会における御意見の中でも、在宅医療の認知度は七割を超えているものの、その仕組みがまだ十分に知られていないことや、ACPへの関心が低く、理解が十分ではないことなどが課題として挙げられました。区では、ガイドブックを有効に活用できるよう、今年六月には、区内の医療・介護関係者を対象に講習会を開催し、百七十四名の方に御参加をいただきました。  今後も引き続きACPガイドブックを相談窓口等で配布するとともに、在宅医療で効果的に活用されるよう、さらなる周知啓発に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、二点に、まず介護者、支援者へのグリーフケア研修の推進についてお答えいたします。  死別や離別等、大切な人やものを失うことによる大きな悲嘆を支援するため、区では継続的な支援につなぐグリーフサポート事業として、普及啓発、個別相談事業、関係機関とのネットワークづくりを行っております。  介護者、支援者へのグリーフケア研修につきましては、今年度からグリーフサポート研修を開始し、介護に関わる支援者や訪問看護師等から二百六十名の申込みがありました。受講者からは、残された家族への支援、支援者自身が抱えるグリーフと、セルフケア等について視点が広がり、職場でも活用できると評価をいただいております。コロナ禍においては、突然の別れに見舞われることも考えられます。今後もグリーフサポートの推進に積極的に取り組んでまいります。  次に、リプロのリーフレット作成についてお答えをいたします。  区は、思春期の子どもたちに対して、正しい性と生殖に関する健康や権利、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの知識を提供することにより、子どもたちが自分の健康に関心を持ち、多様な性を認め合い、妊娠、出産を含む将来を考える機会となるよう、リーフレットの作成に取り組んでおります。現在、世田谷保健所、生活文化政策部、児童館、教育委員会の職員から構成する検討会におきまして原案を整えたところでございます。  今後は、国立成育医療研究センターの医師等による監修を経て、令和四年度に区立中学校一年生全員への配付を予定しております。また、養護教諭等、子どもたちの相談を受ける関係機関等への周知と合わせて、区ホームページやツイッター等でも情報を発信し、正しい知識の普及啓発に取り組んでまいります。  以上です。 ◎片桐 生活文化政策部長 私からは二点お答えいたします。  初めに、性教育に関する寄附資料の活用についてです。  区では、性の違いを互いに理解し合うことが、男女共同参画社会を築いていく土台となるとの考えに立ち、人権教育としての視点を持って、年代に応じた性教育に取り組んでいるところです。お話のありましたアーニ出版は、一九六九年に創業以来、ジェンダー平等、性、エイズ、薬物乱用防止などの教材を制作し、性教育の一助を担ってこられましたが、このたび、これまで出版してきた図書や教材などを区へ寄附したい旨の申出がありました。  現在、男女共同参画センターらぷらすには、利用者への貸出用としてアーニ出版の書籍が二十冊程度ございますが、今回、寄贈いただく書籍などを加えることで、例えば、特設コーナーの設置や学校出前講座、イベントでの活用などのほか、教育委員会との連携についても検討してまいります。  次に、男女共同参画プランの実効性ある取組についてです。  区では、性犯罪、性暴力の防止と被害者支援の充実を第二次男女共同参画プラン後期計画の新たな課題として位置づけ、庁内の関係所管、警察や都の性暴力救援ダイヤル二十四時間ホットラインなど、関係機関と連携して、被害者支援の取組を進めていくこととしています。  また、周知啓発も重要であり、本年四月の若年層の性暴力被害防止月間にチラシの掲示や配布を実施するとともに、区立小中学校への情報提供を実施し、相談窓口の周知などに努めたところです。  区の施策推進に当たっては、あらゆる施策において男女共同参画の視点を反映させるジェンダー主流化に取り組んでいくことが重要と考えます。今後も全庁での男女共同参画プランの取組状況や課題の見直しなどを通じて、ジェンダー主流化の定着を促すとともに、性教育のさらなる推進に向けて、教育委員会や関係所管との連携協力を強化してまいります。  以上です。 ◆十三番(田中みち子 議員) 今、人権からも、性教育の推進というのをこれからしていくんだということを御答弁いただきました。そして、この間、リプロダクティブ・ヘルス・ライツのリーフレットというのも、やっと原案ができたということで、これから来年、令和四年度ですか、全中学校一年生を対象に全員に配付するということで、啓発にとどまっているということではなくて、ぜひとも教育の中に取り込んでいただく今後の活用というのが重要になってきますので、そのあたりについてはまた決算特別委員会のほうでやらせていただきたいと思います。  以上です。 ○下山芳男 議長 以上で田中みち子議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十九番高橋昭彦議員。    〔二十九番高橋昭彦議員登壇〕(拍手) ◆二十九番(高橋昭彦 議員) 質問通告に基づき順次質問してまいります。  最初に、認知症とともに生きる希望計画の進捗状況について質問をしてまいります。  平成三十年、四年前に、二〇二五年大介護時代に備える施策の一環として、認知症の条例化を提案をしてまいりました。認知症在宅生活サポートセンターや初期集中支援チーム、物忘れチェックとか、また地区高齢者見守りネットワークなど、区としての認知症への様々な事業や対応、これまでの施策への上乗せや法律の隙間を具体的に解決するためには、この条例化が必要なんだということを求めてきたわけです。  昨年、条例が制定されました。今年四月より認知症とともに生きる希望計画がスタートをいたしました。新たな認知症観の普及とか、希望計画の四つの重点テーマが世田谷区の隅々にまで行き渡り、安心安全の地域づくりが動き出すことを大いに期待するものであります。  まずお聞きしますが、この四つの重点テーマに基づくプロジェクト推進チームの今年度の計画の進捗状況をお聞かせください。  さて、ここでは私が従前より取り上げている認知症SOSネットワークについて質問をいたします。  平成二十五年、八年前になりますが、我が党で大牟田市での認知症の先進的な取組を視察し、提案してまいりました。大牟田市の地域ぐるみで認知症を包む認知症ケアコミュニティー推進事業を進め、中でも、高齢者SOSネットワークを構築し、地域ぐるみで声かけ、見守り、保護を実効性あるものとして警察、消防、電鉄、バス、タクシー、郵便局など、あらゆる団体が総動員で協力して、認知症高齢者の外出の安心を守っていました。  今般の希望計画に、SOSネットワークの取組が改めて書き込まれました。高齢者の外出の見守りは、二十三区内でも様々な実施が始まりました。例えば、文京区では、「ただいま!支援SOSメール」をつくり、区と警察が中心となり、区民の協力サポーター、また協力事業者が登録をして、日常生活や業務の中で気にかけ、早期発見、保護につなげています。  そこで質問しますが、世田谷区では高齢者見守りネットワークをはじめ、それぞれの部署、所管で様々な見守り事業があります。また、社協においても、せたがやはいかいSOSネットワークがあります。いろいろな所管で見守りを展開していますが、それぞれの取組が非常に弱く、中途半端に感じざるを得ません。高齢者や認知症に関係する方々が積極的に関わっているわけでもありません。条例、計画がスタートしたこのときに、認知症セーフティーネットの根幹として、本格的なSOSネットワークの構築を目指すべきと訴えますが、区の御決意を伺います。  次に、地域行政制度の条例について質問します。  先般、地域行政の推進に関する条例の検討状況についての報告がありました。目的と基本方針に、地区を重視したまちづくりを進める、まちづくりセンターの機能の充実、強化を主眼とすると明確にされた点は、まずは評価したいとは思います。  まちづくりセンターの職員が異動すると、これまで積み上げてきたことが大きく変わってしまうことが間々あります。まちづくりセンターと総合支所との関係も同様と感じます。職員個人の感覚に任せてやっていく部分が現実には大きいのではないかと思っています。人が代わっても変わらない、そういった連携やバックアップの機能のための地域行政制度の条例、計画になるべきと感じています。  今のまちづくりセンターの職員がやりたいことは何なのか。まちづくりセンターの仕事にやりがいを感じているのか。また、町を変えていく、変わっていく感覚がやりがいではないのかと僕は思います。何度も言っていますが、課題を見出す手法として、まちづくりセンターの若手職員が町に出ていくことは重要ではないでしょうか。  例えば、町会の役員会に顔を出し、町の人と一緒になってやっていくことで、若手が育つはずです。積極的に町場に打って出て、地区への働きかけがあってもいいのではないでしょうか。課題がその場で解決できなくても、まちづくりセンターに持ち帰って、解決に結びつける姿勢が見えるだけで、町の人はまちづくりセンターが変わったなと感じられると思います。  そこで質問をします。一点目は今申し上げた、若くしてまちづくりセンターに配置された職員を大きく生かすべきと思います。若手職員が積極的に町会等に出かけていって、地区の方々と関係を深め、一緒に活動することが将来への大きな財産になると思います。若手職員が地区に出向き、話をすることが、町の活性化にもつながるのではないでしょうか。区の考えをお聞きします。  二点目は、まちづくりセンターが地区の今年度のテーマを示してまちづくりに取り組むということであります。町会等の地区に出かけて感じた課題をテーマにしていくなど、職員のまちづくりセンターからの積極的な発信が必要であります。受動的な姿勢から能動的なまちづくりセンターに変わることで、町会をはじめ、地域の活性化につながると思います。区の見解を求めます。  次に、都営八幡山アパート建て替えについて。  平成二十九年九月の議会で、建て替えに伴う都有地の活用協議について質問をいたしました。この間、環八西側の粕谷側の一期工事が完了し、東側から多くの方々が転居をし、そして環八東側の八幡山三丁目の敷地南側部分が更地になりました。また、工事は予定より遅れてはいますけれども、二、三年後には竣工することが予想をされます。そうしますと、八幡山駅に近い貴重なまとまった敷地の建物の解体に移ります。  都有地について、都と区のこれまでの協議では、福祉インフラ整備事業により、高齢者施設や障害者施設、子ども施設を要望し、協議してきたとは聞いています。  区は今年七月に、世田谷区の将来人口を示しました。保育施設の需要が大きく変わりました。世田谷区として、これからの将来を見据えた福祉インフラについての規模と機能、メニューを明確に定める時期であると思います。都との協議に先立って、早期に区の方針を定めておくべきだと考えます。区の考えをお伺いいたします。  最後に、環八千歳台交差点について質問をいたします。  千歳台交差点の横断歩道整備については、七年前の平成二十六年に取り上げました。その後、継続して求めていますが、いまだ何も進んでいません。歩道橋はあるけれども横断歩道がない環八の交差点です。車椅子は渡れない。乳幼児のバギーも渡れない。単純に横断歩道を設置してほしいと、当初から地元町会や自治会も会長名で要望も提出してまいりました。七年前です。もういいかげんに解決をしてもらいたい。見解を求めます。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔岩本副区長登壇〕 ◎岩本 副区長 私からは、まちづくりセンターの若手職員育成に関して御答弁申し上げます。  まちづくりセンターは、町会・自治会をはじめ、地区で活動する多様な方々との顔の見える関係や、地域の担い手の交流と活動を支援するコーディネート機能や広報広聴機能などの充実強化が求められており、また、身近な困り事を受け止め、解決に向けてつなげていく力も必要となっています。そのような取組に向けて、まちづくりセンターの職員には、行政への最新の情報に触れる環境を整えるとともに、積極的に町に出て、町の方々との交流を持つ中で、地区の実情や課題を深く知り、共に考えることができる関係づくりを積み重ねていくことが重要であると考えます。いわば、区の職員が住民自治に参加する経験は、御指摘の若手職員にとって大変有意義なものであり、まちづくりセンターの在り方、仕事の進め方の検討と合わせ、若手職員の育成について検討してまいります。  以上でございます。 ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、認知症とともに生きる希望計画について、二点お答えいたします。  まず一点目は、今年度の計画の進捗状況についてです。  今年度は、五月に認知症施策評価委員会に係る部会を開催し、四つの重点テーマに対応したプロジェクト推進チームの位置づけ等の整理を行いました。八月には第一回認知症施策評価委員会を開催し、各プロジェクトの推進状況の報告とセーフティーネットについて検討する部会を設けることといたしました。  各プロジェクトの具体的な活動としましては、条例を知るための勉強会を二十八地区のうち、希望があった地区の三者連携会議等に出向いて実施しているほか、あんしんすこやかセンターや社会福祉協議会職員向けの研修を行い、認知症観の転換や地域づくりを進めております。また、認知症の御本人が出演された動画の作成、講演会での動画の上演等を行い、本人発信を推進しております。  今後につきましては、各プロジェクト推進チームが一体となり、各地区のアクションチーム結成に向けた支援や、条例のさらなる普及啓発のための関係機関等への働きかけ、本人発信の機会の充実等を引き続き推進してまいります。  次に、認知症のSOSネットワークについてお答えいたします。  認知症とともに生きる希望計画における四つのプロジェクトの推進に当たっては、地域の見守りネットワークの強化が重要であると認識しております。区では、地域の見守りとして、高齢者見守りステッカー事業のほか、地区高齢者見守りネットワークや事業者との協定による見守りなど、重層的な見守りに取り組んでおるところでございます。今後は、認知症の方のセーフティーネットについて検討する部会を設け、委員には認知症の御本人、評価委員会の委員のほかに、警察の方にも参加していただけるよう調整してまいります。  この部会では、お話の大牟田市や文京区の事例等も参考にしながら、社会福祉協議会のせたがやはいかいSOSネットワーク事業及び区の見守り事業に関する実績や成果、課題等について整理し、区と社会福祉協議会事業の双方での効果的な連携方法を検討し、ネットワーク強化に取り組みながら、誰もが安心して自分らしく暮らせるよう、地域づくりを進めてまいります。  以上です。 ◎舟波 地域行政部長 私からは、まちづくりセンターが地区のテーマを示してまちづくりに取り組むことについて御答弁申し上げます。  地区の課題は様々であり、地区の担い手不足や限られた財源の中で効果的なまちづくりを進める上では、区民と区が地区の実態と課題を共有し、同じ視点に立ち、連携して地域活動に取り組むことが重要であると考えます。地域行政の検討におきましては、地区の実態を把握する地区アセスの拡充や、区民や多様な活動団体が交流することができる機会を設けるなど、地区全体でまちづくりを進めるための方策を検討しております。  日常の困り事のほか、日頃の地区活動や交流の場などから把握された課題を基に、既存の会議体なども活用して重要課題を取り上げ、課題解決に向けた取組を地区ごとにまとめていく、このようなプロセスとまちづくりセンターの役割について具体的に検討を進めます。  また、地区の取組を着実に進める上では、総合支所による専門性の支援や、本庁所管との調整機能の強化も併せて行い、地区からの発想を重視した施策の実現に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎澁田 保健福祉政策部長 私からは、都営八幡山アパートの創出用地の活用についてお答えいたします。  都営八幡山アパートの建て替え事業でございますが、区は平成二十七年一月に東京都の地域開発要綱に基づき、福祉施設の整備を要望し、同年三月に別途協議する旨の回答を得ておりますが、創出用地の場所や規模、時期等が未定となっております。  一方、本年七月に区がお示ししました将来人口のとおり、年齢層別の人口の推計も変化しており、また、求められる福祉施設やその規模、機能等も変わってきております。区といたしましては、建て替え工事等の進捗状況に合わせまして、引き続き東京都との協議に向けた調整を進めてまいりますが、いつ協議が始まったとしても、区として必要な福祉施設をきちんと提案できるよう、区民ニーズや人口推計等を踏まえ、時期を失することなく検討してまいります。  以上でございます。 ◎青木 土木部長 私からは、環八千歳台交差点の横断歩道について御答弁申し上げます。  環八千歳台交差点のバリアフリー化につきましては、議員御指摘のとおり、これまでも継続して御質問をいただいており、区としても、移動の円滑化が必要な交差点であることを認識しております。  当該交差点のバリアフリー化検討に関するこれまでの経緯でございますけれども、平成二十九年度と平成三十年度に道路管理者である東京都において、横断歩道橋の撤去と合わせた歩車分離式の横断歩道の設置について検討がなされ、交通管理者である警視庁と調整を行った結果、交通渋滞が悪化するおそれがあることから、設置は見送られたと聞いております。  また、横断歩道橋へのエレベーターの設置については、設置場所の確保や車椅子の擦れ違いが可能な通路幅の歩道橋への架け替えが必要となるなど、多くの課題があり、具体的な検討までには至っておりません。  こうした状況の中、東京都は、横断歩道設置の動向を見据え、適切に対応することとしており、再度検討を行うに当たっては、バリアフリー化の手法について、地元の合意形成が必要であるとしております。  区といたしましては、当該交差点のバリアフリー化に向け、例えば、歩車分離式でない横断歩道の設置も可能性の一つとして、具体的な検討を進めていただけるよう、警視庁や東京都に対し積極的に働きかけてまいります。  以上でございます。 ◆二十九番(高橋昭彦 議員) 答弁いただきましたけれども、時間がありますから、少し聞きたいと思いますけれども、SOSネットワーク、これまで何回も言っているんですけれども、今回のこの認知症条例の中で、重点は地域づくりだというふうに示されたわけですね。大事なのは地域をどう変えるのかということなんだと、地域丸ごとそろってどう認知症に向かっていけるか。  二〇二五年大介護時代には、高齢者の五人に一人は認知症というふうに言われているわけです。本当に現実に町場の中で、外へ出てしまったら帰りが分からなくなっているという方々もいらっしゃるわけです。ゆっくりしている場合ではないんです。きちっと、ここは体系立ててやるべき。やっぱり本気度が伝わってこないよ、部長ね。絶対やってみせるというぐらいの思いがないと物事は進まない。今日の質問は全部そうだけれども、やってみせるっていうものが感じられないよ、みんな。  千歳台交差点、もう経過はどうでもいいんだよ。ああだこうだと言わない。もともと僕は最初から何も、歩車分離とか何も言っていませんよ。町会・自治会も言っていませんよ。横断歩道が欲しいと言ったの、渡れないから。そこをちゃんと受け止めなきゃいけないわけだし、七年たったら、実はもうこの車椅子のおばあちゃんはいませんよ。保育園でバギーで通う子も、もう小学校へ行っていますよ。そういうことをちょっともう一回考えて、答弁もう一回、二人ともお願いしたい。 ◎長岡 高齢福祉部長 再質問にお答えいたします。  本格的なSOSネットワークにつきましては、部会を立ち上げ、警察の方も入れて、しっかり検討していきたいと思います。  以上です。 ◎青木 土木部長 千歳台交差点でございますけれども、区といたしましては、実現の可能性も見極めまして、先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、歩車分離式でない横断歩道の設置も可能性の一つとして、具体的な検討を進めていただけるよう、しっかりと東京都と警視庁に対し働きかけを行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ◆二十九番(高橋昭彦 議員) 終わります。 ○下山芳男 議長 以上で高橋昭彦議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十六番和田ひでとし議員。    〔二十六番和田ひでとし議員登壇〕(拍手) ◆二十六番(和田ひでとし 議員) 通告に基づき質問してまいります。  世田谷区の総人口は、平成七年以降、二十六年間一貫して増加し続け、この間に約十四万人増加し、現在約九十二万人に達しました。これまでの想定を上回る早さで増加してきており、前回、新実施計画(後期)の時点での二〇一八年推計においても、二〇四二年までは一貫して増加傾向が続くと見込んでいました。しかし、昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響と見られる転入超過が減少傾向となり、令和二年五月から区の総人口は減少傾向で推移しています。そのため、区の将来人口推計は、次期基本計画の策定に向けて、来年、令和四年度のより詳細な新たな将来人口推計を行う前に、今回、コロナ禍を踏まえた補正を行いました。今後も超高齢社会の進展が避けられない中、生産年齢人口の維持、年少人口の増加を図るなど、課題が改めて浮き彫りとなってきました。  その中から、最初に高齢者施策と保育施策について質問をいたします。  まず、高齢者施策についてです。  人口推計は時々に修正が必要でありますが、高齢者人口については一貫して増加が続く見込みとなっており、間違いなくやってくる二〇二五年問題を真剣に捉えていかなければなりません。いつまでも介護のお世話にならずに、健康寿命を延ばし、これからの超高齢社会を乗り切るための介護予防施策は大変重要であります。  私はさきの第二回定例会一般質問において、今後の認知症予防、介護予防にどのように力を入れていくのか伺いました。区の答弁では、二〇二五年問題の解決に向けたコロナ後の取組について、オンラインによる介護予防事業を展開するとあり、既に一部でオンラインを活用した介護予防事業が始まっていると聞きました。確かに、様々な活動が制限されるコロナ禍では、オンラインによる介護予防事業は、感染予防の面でも、自宅にいながらできる一つの画期的な方法だと思います。  ちょうど昨日から試行的に始まったオンライン版まるごと介護予防講座は、申込みが電子申請にて受付とありました。さすがに電子申請での受付では、思うように参加者は集まらなかったようですが、せめて電話での受付や問合せがあればなと感じました。高齢者の皆さんにとって、いきなりオンラインでの対応はなかなかハードルが高いのが現状ではないでしょうか。
     そこで、せっかくの画期的な取組を無駄にしないためにも、オンラインによる介護予防事業の展開については、高齢者に寄り添った開催をもっと丁寧に進めるべきと考えます。区の見解を伺います。  次に、保育施策についてです。  区の人口推計では、就学前人口は短期的には減少が続き、その後、再び増加していくとされています。現時点では、保育待機児童はほぼ解消しておりますが、今後の保育施策について、どのような方針でいくのか、昨日、我が会派の石川政調会長の代表質問でも伺いましたが、区長は様々、今後の保育施策の目標を掲げております。しかし、これまで保育待機児童解消に向けて、ともに受皿として担ってきた認証保育所は、現在、経営が大変厳しい状況にあると伺いました。  そこで、認証保育所への支援について、区の見解を伺います。  次に、災害時の避難体制についてです。  いつ起きてもおかしくないと言われる首都直下型地震などに備えて、避難所体制の構築は喫緊の課題であります。大震災発災時の避難所体制については、平成七年一月の阪神淡路大震災以降、各地区で避難所の運営体制が構築、見直されてきました。しかし、既に二十六年が経過した今、危機管理体制をどこまで高め、共有できるかが課題となっています。これまでも、区内小中学校等を指定避難所として、地元住民主体の避難所運営委員会による体制が整備されてきましたが、この体制も地区によってはかなりの温度差があると言われ、地区ごとの情報、取組共有なども重要と考えます。  そこで、安全安心のまちづくりを掲げる世田谷区として、どのようにこの格差を解消していくのか、区の見解を伺います。  また、近年の気候変動によるといわれる、想定外のこれまで経験したことのない集中豪雨や台風の襲来は、毎年のように全国各地で頻発しており、世田谷区としても早急に体制を整えていかなければなりません。特に、令和元年台風十九号では、多摩川流域を中心に大きな被害を出し、大雨や強風に不安を感じて、近隣の学校等指定避難所への避難や問合せが実際にあったと聞いています。  そこで、大震災発災時と風水害予測時の避難所体制の違いについて、しっかりと区民に理解していただくことも重要であります。区の見解を伺います。  さらに、コロナ禍での避難所体制はこれまでとは違った体制が必要となります。自宅療養の感染者や濃厚接触者の受入れなども想定しておかなければなりません。区の見解を伺います。  そして、風水害予測時などには、区民にとっての一時避難所として、もっと身近な地区会館や区民センターなどの公共施設も視野に入れた避難所体制も必要ではないでしょうか。  今回、避難行動要支援者避難支援プランの素案についての報告がありました。特に、避難行動要支援者をはじめとする高齢者、障害者、妊産婦等について、さらに早急に体制を整えなければなりません。見解を伺います。  最後に、世田谷区と川場村との縁組協定が今年四十周年を迎えました。近年では、特に都市と農山村の交流に注目が集まっていますが、四十年という長きにわたって特別な交流を続け、緊密な連携に取り組んでいる事例は他に例を見ない取組と言われています。  しかし、コロナ禍での交流は、これまでのお互いが培ってきた事業の在り方を大きく見直していかなければなりません。五年生の移動教室も昨年はやむなく中止に追い込まれ、今年度も一泊二日に短縮をしての計画にもかかわらず、延期を余儀なくされている学校が多数あると聞いています。  現在もいまだコロナ禍ではありますが、四十年という節目の年でもあり、これまで特別な交流を続けてきた川場村との縁組協定をこれからも末永く続けていくために、新たな交流の在り方について伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎長岡 高齢福祉部長 私からは、コロナ禍における介護予防事業についてお答えいたします。  二〇二五年の後期高齢者の増加及びコロナ後も見据え、通常の対面での講座に加え、自宅でも気軽にできるストレッチなど、ズームにより学んでいただくオンライン版まるごと介護予防講座を、一部試行として、昨日九月十五日より実施しておるところでございます。この講座は全六回の連続講座で、第一回目から第二回目までの対面式の講座において、ズームの利用方法の説明を行った上で、第三回目から第五回目までは御自宅等でズームにより講座を行うプログラムとしております。御指摘のとおり、申込みを電話でなく、電子申請のみとしておりますが、この点も含め、今回の試行結果を踏まえまして、今後、より参加しやすい内容に改善してまいります。  具体的には、令和四年度のオンライン版まるごと介護予防講座につきましては、スマートフォンやタブレット、ズームなどの操作を分かりやすく説明する講座と連携するなど、高齢者の多様なニーズに寄り添いながら事業を展開し、講座への参加者が増加していくよう取り組んでまいります。  以上です。 ◎和田 保育部長 私からは、人口推計補正を踏まえた保育の施策について、認証保育所への支援について御答弁いたします。  認証保育所への支援につきましては、昨年度より実施してきました一歳児受入れ促進事業に加え、今年度より新たに認可保育園等の保育料の水準を踏まえた保育料補助制度の見直し、補助対象利用時間の拡大といった、認証保育所の利用を促進するための支援策を実施しております。  今年度実施いたしました利用者アンケートでは、認証保育所を選択した理由として、約二〇%の保護者が保育料補助制度による負担軽減を挙げており、今回の制度改正についても、補助が手厚くなり家計が助かる、保育料補助が改善されたといった肯定的な意見が寄せられております。また、補助対象利用時間の拡大により、一部の施設において短時間利用者が増えるなど、認証保育所の定員割れの改善につながってきております。  今後も、これらの施策の効果や認証保育所の欠員の状況を注視しながら、夜間利用、短時間長時間利用、就労要件のない利用など、認証保育所に求められるニーズ等を踏まえて必要な対応を検討し、取組を進めてまいります。  以上でございます。 ◎菅井 危機管理部長 私からは、災害時の避難体制について順次御答弁申し上げます。  初めに、避難所の運営と周知、自宅療養者等の受入れについて、併せて御答弁申し上げます。  指定避難所の運営委員会は、町会等が中心となっており、それぞれの町会等が抱える課題が、避難所運営委員会の取組にも影響しているものと推察されます。町会等の体制強化に向けた取組は、防災の観点からも重要な課題であると受け止めており、関係所管と連携し、これらの取組を進めてまいります。また、震災、洪水、土砂災害など、災害の種類に合わせ、避難しやすい場所を選び、避難所を開設することは、住民の避難を促す上で効果的であり、重要である一方、避難先が複雑化し、分かりにくくなるデメリットがございます。  避難所開設場所の工夫に当たりましては、地域住民の防災への関心を高め、地域の防災活動に積極的に参加していただくことで、避難先の認知度を高めるなどの取組が必要であると考えており、区といたしましても地域におけるこれらの取組を積極的に支援してまいります。  新型コロナウイルス感染症の自宅療養者等への対応につきましては、国のガイドラインに基づく避難所運営マニュアルの追補版を作成いたしまして、各避難所運営委員会にお配りしており、各避難所において、自宅療養者等のスペースを区画するなどの対応を取ることとしております。今日、明日に災害が発生した場合でも、避難所で受け入れる体制を取りつつ、一方で、運営に当たる皆様の負担の増大や避難された方の安全確保の観点からも、より確実で効果的な運営の工夫を急ぎ検討しているところでございます。これらの新たな対応につきましては、至急取りまとめの上、区議会にも御報告してまいります。  避難所の運営に当たりましては、これまでと異なる様々な課題がございますが、一つずつ解決に向けた取組を着実に進めてまいります。  次に、個別避難計画と身近な施設での避難所の開設についてです。  個別避難計画につきましては、多摩川洪水浸水想定区域内に住む避難行動要支援者を優先して作成を進めることとしております。昨年度のアンケート調査で把握した情報も活用し、速やかに計画作成できるよう、関係所管とともに工夫して準備作業に取り組んでおります。  水害時の避難所につきましては、令和元年台風第十九号を教訓とした風水害対策総点検の中で、区民の皆様や区議会の御意見もいただきながら、多くの方々が安全に避難できるよう、開設を計画したところであり、区職員が交代で運営に当たる体制を構築しております。また、この体制を基本としつつ、地域住民のお力も借りながら運営をすることとしており、地域の方々に御協力いただけるよう、避難所ごとに個別に調整しているところです。  今後、避難行動要支援者をはじめとする地域住民にとってより身近で避難しやすい場所に新設するなど、さらなる拡充を検討するとした場合、区の職員だけでは運営には限界があり、こうした地域の方々の御協力が不可欠となります。地域の実情に応じた運営について、地元の方々の御意見等を踏まえながら、総合支所をはじめとする関係所管と連携して検討してまいります。  以上です。 ◎片桐 生活文化政策部長 私からは、川場村縁組協定四十周年についてお答えいたします。  国の緊急事態宣言の発出や延期に伴いまして、区立小学校の移動教室をはじめ、川場村で開催している里山塾や農業塾などの交流事業も延期や中止せざるを得ない状況が続いております。昨年度策定しました、世田谷区民健康村第五期事業計画では、コロナ禍における新しい交流として、感染予防と社会経済活動を両立する新たな交流を位置づけたところです。  昨年度から開催している縁組協定四十周年記念イベントに関するワークショップでは、オンライン方式により活発な議論を重ねており、こうしたオンライン会議や動画配信による交流事業、SNSを活用した双方向の情報発信を含め、世田谷川場ふるさと公社と連携した取組を開始いたしました。区民の第二のふるさととしての川場村との交流は、村の自然環境の中で行う交流が基本であり、滞在中の感染防止策を講じ、参加者の安全安心を十分に確保した上で、交流事業を実施してまいります。  これからの五十周年に向け、区民が村へ愛着を持ち、区民と村民との交流やつながりを将来に引き継いでいくためにも、川場村との連携をさらに強化してまいります。  以上です。 ◆二十六番(和田ひでとし 議員) 災害時の避難体制についての再質問をします。  先ほど、もっと身近な地区会館や区民センターなども視野に入れた避難所体制も必要ではないかと申し上げました。特に、風水害の予測時の避難所については、より身近な場所があれば安心です。先ほどの答弁では、地域の実情に合わせた地元の協力が不可欠であると言われましたが、町会・自治会の活動状況は千差万別であります。どのように地元の協力を求めていくのか伺います。 ◎菅井 危機管理部長 私からは、水害時避難所のより身近な場所での開設につきまして、再質問に御答弁いたします。  浸水想定区域や土砂災害警戒区域の避難行動要支援者に対しましては、地区会館などの身近な施設や、水害時避難所への避難を個別に案内することとし、その避難所は区職員が開設、運営することとしております。これにとどまらず、さらに新たな避難所の開設を求める地域の声がありました場合は、総合支所をはじめ、関係所管と連携し、区職員の配置や運用体制を精査した上で、地域の方々と意見交換を行いながら地域との役割分担など、検討を進めていく必要があると考えてございます。  いずれにいたしましても、防災の観点からも町会等の体制強化は重要な課題であると考えており、関係機関と連携し、これらの取組を進めてまいります。  以上でございます。 ◆二十六番(和田ひでとし 議員) 取組が先行している地区では、町会や自治会の地元の力を借りて、避難所体制を進めていき、また、情報共有しながら、地区の温度差を縮めて、個別避難計画作成を早急に現実のものとしていただきたいと思います。  また、高齢者施策、介護予防事業についてですが、確かにオンライン化はこれからの時代には必要不可欠であります。先ほどの答弁では、今回の試行結果を踏まえて、今後より参加しやすい内容に改善してまいりますとありましたけれども、今回はあんしんすこやかセンターでも、急遽協力をされたというふうに伺っております。来年度以降、本格的にオンラインを取り入れた事業実施となっていくということですが、地元の力も借りながら、ネット環境が苦手な高齢者にもぜひ積極的に参加をいただいて、認知症予防、介護予防の取組の一助になることを願っております。  来年には何とかコロナが収束に向かって、人と人、顔と顔を合わせての皆さんが集まっての活動、そしてまた時にはオンラインを活用しながらの取組で、二〇二五年問題を乗り越え、健康寿命を延ばしていけるような事業、これを要望して私の質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で和田ひでとし議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後零時二十四分休憩    ──────────────────     午後一時十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  九番小泉たま子議員。    〔九番小泉たま子議員登壇〕(拍手) ◆九番(小泉たま子 議員) 通告に基づき質問します。  区としての基本姿勢を伺います。  今回のコロナ禍災害、自然災害などを踏まえ、今後、世田谷区は、区民の生命と財産を守る、地域最大のサービス産業であることを区民に表明すべきです。区は独占産業です。民間企業は自由競争の中で選択され、選ばれなかった企業は撤退していく、この切磋琢磨の中で、結果としてサービス向上が図られます。しかし、区はその選択にさらされていない。区民は区役所を選べません。地域社会の在り方に責任を持つ自治体は、他人に言われるのではない、他人をまねするのではなく、自らを厳しく律して、自らの創意工夫と責任で区民サービスの向上に努めなければなりません。その意気込み、決意が、果たして今の区政にあるのか、疑問です。お考えを伺います。  九月九日夕刻、総理記者会見が開かれました。質問通告の後であり、直接の質問とはいたしませんが、区とも大いに関係があることから、ここで申し述べます。  感染症対策について、総理が、厚労省をはじめ省庁間の縦割りがあって柔軟な対応が難しいと、一体誰が責任者なのかよく分からない、驚くような発言があったのです。さすがに記者も気がついて、どこに問題があるのかと質問しました。それに対して総理は、国の省庁の縦割りと対策本部の在り方を言われた後、国と自治体との壁がある、保健所の在り方に問題があった、保健所に対して厚労省から直接指揮できない、東京都からもできない、東京二十三区の保健所は二十三区の管轄になっているからと言われたのです。  世田谷区の保健所職員をはじめ、各区保健所の職員は、それこそ必死になって仕事に取り組んできたはずです。それぞれの地域の実情に応じてです。それを国のトップが、各自治体の保健所が国の指示を聞かないことが問題だと言わんばかりの言い方については、大いに疑問を持ちます。  そして、このことは世田谷区にも言えます。組織のトップと第一線現場は密接な連携関係にあるか、いざというときに一丸となって、果敢に問題解決に取り組める仕組みになっているかです。  今回、区長招集挨拶において、ワンストップサービスの実現を宣言されたことを評価します。挨拶で、まちづくりセンターにおいて、ワンストップサービスを実現し、職員のアドバイスによって広範囲の行政サービスへのアクセスが可能となるとされました。職員のアドバイスによってということは、区民が望むことであり、また、広範囲の行政サービスへアクセスが可能となるとのことですが、その実現に向けてどのような仕組み、手順を取っているのか、お伺いします。  さらに、DX改革の進展によって、定型的な反復事業が自動化され、窓口業務は丁寧な相談や案内という区民とのやり取りに比重が移っていくとされていますが、では、今後の最先端窓口の将来像、到達点をどのように考えているか、伺います。  今後の地域行政については、地区を重視すると言われます。その象徴としてのまちづくりセンターの充実を言われますが、地区にはそのほかに、児童館、保育園などの保育施設、特養やグループホームなどの高齢者施設、区民センター、地区会館などの集会施設が存在しています。今後は、まちづくりセンターという単体ではなく、地区拠点の充実を明言し、さらに、そこには地区の責任者の存在を明らかにするべきです。お考えを伺います。  さらに、今後の地域行政を根本とする行政の改革に当たっては、まず、災害対策、危機管理体制の確立があり、日常時においても、それらの体制が機能している、それが区民にも明らかになっている。このような取組をすべきです。区のお考えを伺います。  コロナ禍に対する区の姿勢について伺います。  現在のコロナ禍の中、各所管が自ら努力していることを評価します。特に、最前線の職員の方には感謝をいたします。しかし、今必要なことは、今後の区政運営をどのようにしていくか、どのようなビジョンを持って大都市世田谷を導いていくかということであるはずです。今の区はあまりにも対処療法行政にすぎません。  招集挨拶で、全ての政策、施策、事業について、コロナ禍を克服していく視点で見直すとされました。コロナ禍が区民の生活の全般にどのような影響を及ぼすか、これを全体として把握し、総合的対策を講じる体制の確立、そして明確なビジョンの提示、そして各所管との連携の在り方について具体的な姿を見せるべきです。お考えを伺います。  産業振興とその具体策について伺います。  産業振興基本条例の改正が提案されています。条例名を、世田谷区地域経済の持続可能な発展条例とすることに疑問です。地域経済の持続可能な発展については、区政全体で担うべきです。その中で事業者、区民、地域が産業という観点からどのように取り組むか、そして、行政の産業部門がどのように支援していくかを、今回の条例で明らかにすべきです。お考えを伺います。  全てを包み込むような条例にすると、個別の施策の具体的目標は何で、誰が責任者で、行政の役割は何であるかが分からなくなります。その典型が今回の旧池尻中跡地活用問題です。  条例改正案によれば、地域経済の持続可能な発展イメージに様々な具体的な施策が盛り込まれていますが、その中には一切、旧池尻中跡地活用は含まれていません。一方、今回示された世田谷ものづくり学校の事業評価、検証などの報告、そして、旧池尻中跡地活用に係るサウンディング型市場調査報告の両者とも、今回の条例改正との関連が全く見えません。  今回のサウンディング調査を担った民間事業者からの意見、提案の資料を見ても、条例との関係については全く言及がありません。当然のことです。このサウンディング調査の実施要綱を見ると、条例のことなど一切触れられていないのです。ですから、各事業者が条例について全く意識しないで提案しているのです。事業者の責任ではありません。区が示した基本コンセプトの第一が、校舎、体育館、校庭を一体感を持って区民に開かれた空間だからです。疑問です。  サウンディング事業者から、校庭と体育館の活用提案がありますが、これは区全体の参加と協働の観点からは、まず初めに、それぞれの専門である総合支所や生活文化政策部、そして、スポーツ振興部門などとの連携を考えるべきことです。これらのことから、産業振興基本条例の見直しと、旧池尻中跡地活用の全面見直しを求めます。お考えを伺います。  図書館問題について伺います。私は、所管の基本的姿勢に問題があると感じます。教育委員会は、図書館が区の基本計画において、知の拠点として位置づけられていることを明確に意識しているでしょうか。この間の区議会での論議を受け止めていますか。さらには、コロナ禍を超えるための地域行政の展開とDX改革の動きを理解しているかということです。区の基本計画で言う知の拠点づくりはどこに行ったのですか。  第三期行動計画策定に当たっての修正が、障害者、高齢者など、多様な利用者へのサービス充実の必要性だけになっていることが疑問です。図書館を取り巻く状況は大きく変化しています。相変わらず貸出業務などを主体とし、図書館カウンターの増設などを図書館行政の柱とすることは疑問です。  図書館カウンター機能は、地区のまちづくりセンターが担い、DX活用により、貸出相談などもできるはずです。抜本的な見直しと、それによるビジョンの再構築を行うべきです。お考えを伺います。  私は、このところの区政運営に疑問を持ちます。世田谷ゆかりの吉田松陰の言葉です。夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。ゆえに、夢なき者に成功なし。今の世田谷行政には全く夢が感じられません。とすると、吉田松陰の言葉によれば、成功がないのです。このようなことでよいのか、そのことを申し上げ、壇上からの質問を終わります。(拍手)    〔岩本副区長登壇〕 ◎岩本 副区長 私からは、区の危機管理体制が行政制度の基本である、区民にしっかり示すべきとの御指摘について御答弁申し上げます。  区民の生命と財産を守ることは区政の基本であり、現在の世田谷区政策方針にも位置づけ、最優先に取り組んでまいりました。しかしながら、近年の風水害の激甚化や特殊詐欺、新型コロナウイルス感染症拡大など、これまでにない様々な危機から区民を守るためには、危機発生時の迅速な対応や、平時から危機を想定した情報発信、予防や対策に大きな危機感を持って取り組まなければならないものと考えております。日頃からの防犯活動や水防組織など、世田谷区では地域行政制度を基礎に、地域や地区ごとのきめ細かな体制で臨んでおり、今後の地域行政の展開においても、区民の皆様に行政の責任をしっかり示し、理解いただけるよう取り組んでまいります。  一方で、災害対策や安全安心の取組を進める上で、地域コミュニティーを基本とした区民同士のつながりが不可欠です。まちづくりセンターが顔の見える関係づくりや、担い手の交流を支える取組など、コミュニティー醸成に向けてしっかり取り組むことで、安全安心を感じていただける地域づくりにつなげていきたいと考えております。  以上でございます。 ◎舟波 地域行政部長 私からは、地域行政に関しまして御答弁いたします。  まず、地区の拠点の充実、地区の責任者についてでございます。  地域行政に関する条例の検討では、まちづくりセンターが町会・自治会をはじめ、地区で活動する多様な方々の交流の機会を広げ、顔と顔の見える関係づくりや地区の担い手との交流と活動の促進を支えたいと考えております。また、地区の担い手の方々がこのような取組を地区課題の解決につなげ、経験を積み、まちづくりに携わる区民や活動団体の輪を広げることが、地区の充実につながるものと認識しております。  地区全体で課題解決を図るために、町会・自治会や商店街、身近なまちづくり協議会や区民センター運営協議会、さらには学校やPTA、児童館、図書館など、地区で活動する多様な主体や、区民一人一人が地区の状況に応じて、あわせて、密接に連携している町となることを目指しております。  顔と顔の見える関係の下に、地区の方々が町の将来像を共有し、主体的にまちづくりを進めていけるよう、まちづくりセンター所長は、まちづくりのコーディネート機能を持つまちづくりセンターの責任者として、人と人を結びつける中心となり、リーダーシップを発揮してまいります。  続きまして、まちづくりセンターのワンストップサービスの実現に向けた手順、DXが進む中での窓口の将来像について御答弁申し上げます。  区のDX推進方針では、区民の視点からの行政サービスの変革を掲げ、全ての区民にとって行政サービスの選択と利用のハードルを下げ、快適なサービス利用をデザインすることとしております。  地域行政の条例に関する検討状況では、まちづくりセンターにおける行政サービスの提供機能の充実強化に向け、行政手続や相談業務のデジタル化への対応と、その前提となる通信インフラの整備など、必要な措置をお示ししたところでございます。  DX推進方針の今後二年間の重点取組といたしまして、オンラインによる手続や相談への取組を打ち出しており、まちづくりセンターが本庁や総合支所とオンラインでつながり、区民が求める手続や相談ができる場所となることを目指し、そのためのデジタル環境の整備など、DX推進方針と地域行政の推進計画の整合を図って、進めてまいります。  また、DXが進む中での窓口の将来像についてでございますが、まちづくりセンターでは、福祉の相談窓口による潜在的、複合的な課題の発見と適切なサービスへ結びつけ、課題の解決力が一層充実した窓口、さらに、日常的な関係づくりが必要な防災訓練などの取組や、ICT環境下での手続の支援の場として、地区の区民の方から頼りにされる身近なコミュニティーの活動拠点、地区の行政拠点としての窓口を目指してまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、コロナ禍に対する区の姿勢と今後の明確なビジョンについて御答弁いたします。
     新型コロナウイルス感染症はその影響が長期にわたり、外出自粛や地域の様々な活動の中止や延期、施設や店舗の短縮営業が要請されるなど、生命や健康のみならず、地域経済や地域活動、学校教育など、様々な分野に甚大な影響を及ぼしております。  この間、区長を本部長とする新型コロナウイルス感染症対策本部において、地域を預かる各総合支所長や生活福祉や地域経済、保育、教育等を担当する各部長より、区民生活の実態や地域の経済、社会、子どもたちの状況の変化等について報告を受け、医療機関や企業経済等の専門家との意見交換も行うなど、総合的に状況を把握するとともに、総務部及び政策経営部が調整役を担いながら、各部における課題や対策を議論し、区として取組の方向を決めてまいりました。  引き続き、この長期化する難局から区民の生命と生活を守り抜くことを第一に、各部がその役割の下、主体となって感染拡大防止と区民や事業者の社会経済活動の維持発展に全力で取り組んでまいります。  また、コロナを乗り越えたその先の将来に希望の光を照らすためにも、誰もが尊重され、安心して生き生きと暮らすことができる、より成熟した世田谷となるよう、中長期的な施策を練り上げ、(仮称)未来つながるプランや次期基本計画に反映をしてまいります。  以上です。 ◎田中 経済産業部長 私からは二点、まず、産業条例の改正について御答弁いたします。  産業振興基本条例の改正素案では、地域経済の持続可能な発展を目的として、産業の基盤強化や起業促進、多様な働き方の実現など、四つの基本的方針を掲げ、その実現に向けた事業者、区民、区の役割を示すとともに、各主体の取組を促すための具体的施策等を指針や計画に位置づけて、将来にわたって地域経済が持続可能な発展を実現していくことを目指しています。  九月二十七日に開催する条例改正に関するシンポジウムでの区民意見や、十月に開催予定の五回目となる条例検討会議における議論を踏まえ、議会の意見もお伺いしながら、条例の改正に向けた準備を進めてまいります。  次に、旧池尻中学校跡地活用についてです。  令和三年二月にお示しした旧池尻中学校跡地活用の基本コンセプトでは、産業振興基本条例改正素案に掲げる目的や基本的方針等を踏まえて策定しており、目的実現に向けた具体的施策を集中的に実施する場となるとともに、校舎、校庭、体育館の一体的活用についても、区の支出を最小限にしながら、イノベーションによる産業基盤の強化、多くの区民が起業にチャレンジできる場となるよう検討を進めています。  また、日々の運営に区が適切に関与し、様々な関係者との連携を密にしながら、第三者による成果のチェックを定期的に受けることで、適宜運営方法を改善し、地域経済を取り巻く新たな中長期的課題の解決、未来の世田谷産業を担う子どもや既存産業への好影響を実現してまいります。引き続き、区民、議会、区内の事業者など、様々な意見を伺いながら検討を進めてまいります。  私からは以上です。 ◎内田 生涯学習部長 私からは、知の拠点である図書館についてお答えいたします。  魅力ある地域図書館は、地域地区の歴史を伝承するための拠点であり、また、人が集い、新しい学びを創造する場としての、にぎわいや居場所などの役割と、地区の文化の醸成を担う知の拠点として、地域とともに成長していく図書館だと考えます。  図書館サービスの面からは、区民が生涯を通じて学び、個々の知的欲求や関心に応えることができるように、地域の文化に関する郷土史など、地域の歴史や特性に応じた資料の収集の充実や、ICTを活用した情報発信などの強化を行ってまいります。また、まちづくりセンターや区民センターなどと協力し、地域で活動する団体や多世代の様々な利用者と連携した事業の実施などを通じて、その地区や地域に根差したコミュニティー形成のための特色ある図書館運営に取り組みます。  基本計画に位置づけられた知の拠点を再確認し、現在策定を進めている第二次世田谷区立図書館ビジョン第三期行動計画の案をお示しする段階で、素案では記載できなかった地区の知の拠点である地域図書館の存在意義を明確にしてまいります。  以上でございます。 ◆九番(小泉たま子 議員) あとは決算特別委員会に移します。以上で終わります。 ○下山芳男 議長 以上で小泉たま子議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十二番中山みずほ議員。    〔二十二番中山みずほ議員登壇〕(拍手) ◆二十二番(中山みずほ 議員) 質問を始めます。  区立公園の禁止看板と子ども計画との整合性について伺います。  区内の公園において、子どもの声やボール遊び等に対する苦情から、禁止看板が立てられるケースを多々耳にいたします。実際に私の子どもが遊んでいる公園でも目の当たりにしました。  子どもたちがいつも遊んでいる公園に突然禁止看板が立てられたと訴える保護者の方々のお話を七月に伺いました。看板にはボールの絵などがあり、その上にバッテンがされています。このことで子どもたちの遊びに変化があったと聞きました。この保護者たちの訴えは、単に看板撤去を求めるものではなく、公園の利用者でもある子どもたちの声を聞く場はないのか、区の子ども計画と矛盾していないかというものでした。  そもそも、世田谷区子ども計画、外遊びの機会と場の拡充にはこのように書かれています。子どもが生きる力を高めていけるよう、身近な場所に、誰でも利用可能なオープンスペースである公園緑地を配置することにより、自然と触れ合える場や外遊びの環境を整えます。つまり、子どもが生きる力を高めていけるよう、身近な場所での公園の必要性が示されているわけです。  しかし、関係する区民との合意がない禁止看板の設置は、子どもたちの外遊びの制限の原因となり得ます。また、区には外遊びプロジェクトもあるわけです。子ども・子育て応援都市宣言をした区として、この一方的な話をどう考えるでしょうか。  このことを機に、私も多くの区民の方の話を聞いてみたいと考え、公園の看板と子どもの遊ぶ権利をテーマに、八月二十日にオンライン集会を開催してみました。一週間ほどの呼びかけで七十名近い申込みがあり、関心の高さに大変驚きました。また、年代の幅も広く、様々な視点や立場からの意見交換ができました。  その中の意見の総意として、看板が立てられる前に、地域住民の間で公園の在り方の議論が全くできない状況を仕組みとして改善できないか。そして、当事者の間での対話のチャンス、特に子どもが意見表明できる機会を設けることはできないかという二点が挙げられました。  ここで伺います。現在、区内公園において、各種禁止看板を設置する際には、定性的な判断、定量的な判断などあり得ると思いますが、実際はどのようなプロセスがあるのでしょうか。また、区内公園の円滑な利活用には、住民と区とのコミュニケーションを深めることが重要になります。具体的にどのような手法、手段を用いて理解を深めていくのがよいと考えているのか伺います。  一方、現在、玉川野毛町公園拡張事業では、公園利用者や住民、民間事業者と公園計画について対話の場が設けられていると聞いています。この住民参加の仕組みは既存の公園にも導入することはできないのでしょうか。区の見解を伺います。  次に、ゼロカーボンシティー実現に向けた全庁横断的な環境政策について伺います。  七月十三日に開催された環境審議会は、ズームによるオンライン会議でした。しかし、傍聴者は好きな場所からオンラインにつながれるわけではなく、わざわざ審議会の会場横の会議室に集められ、一台のパソコンにより、傍聴者みんなで隣の庁議室のズーム中継を眺めるというものでした。私も参加していたのですが、庁議室での発言も壁を通してリアルに聞こえ、少し遅れて届くオンラインの音声が混じるなど、大変聞き取りづらい状態でした。次の十一月の審議会はどのように改善するのでしょうか、伺います。  区が、ゼロカーボンシティーを目指すと宣言されてから間もなく一年が経ちますが、それにより環境政策がどう庁内一丸となって、どうスピードアップされたのか、まだ具体的に見えてきません。さきの一般質問で私が求めました庁内横断的な組織をつくるべきという提案に対しては、まず気候危機対策会議という会議体が設けられたということで、一定の評価をいたします。期待もしております。  さて、区内のCO2排出削減へ向けた住宅に関する事業について伺います。  現在、新築の住宅では、東京都による東京ゼロエミ住宅導入促進事業が進められており、区としては啓発をしていくものと伺っています。既存の住宅では、区による環境配慮型住宅リノベーション事業があります。この事業は、区長の招集挨拶にもあったように、環境価値と事業機会を両立させる枠組みであり、ゼロカーボンシティーを目指す世田谷区としては、より一層進めるべき事業と考えます。さらに言えば、事業目標として、単に件数だけではなく、CO2排出量の見える化を踏まえた進め方が必要ではないかと考えます。その上で、この事業の現状と、より一層進めるための今後の方向性について、区の見解を伺います。  次に、区内の小中学校において進められているエネルギー効率に配慮したZEB、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルと言われる施設整備についてお伺いします。  先日、文部科学省より公開された新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方についてには、脱炭素社会の実現を目指した学校施設整備として、これまでのエコスクールの取組を深化し、広げていくとともに、年間のエネルギー消費量の収支をゼロにするとされています。ゼロカーボンシティーを目指す世田谷区においても、今後のエネルギー消費量の収支ゼロへ向けたロードマップの検討が必要と考えます。学校施設のZEB、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの推進に関する区の考え方及び現在のエコスクールの効果についてお伺いいたします。  最後に、保育や教育現場での子どもへのわいせつ行為防止について伺います。  現在、全国的に、保育園、学童クラブ、放課後デイ及び小中学校などにおいて、保育士、職員、教員からの性犯罪が報道されています。八月二十二日の読売新聞の独自取材記事では、学童クラブや放課後デイにおいて、二〇二〇年までの五年間で、利用者へのわいせつ行為が確認された職員は少なくとも四十四人、被害者となった子どもは六十九人に上ることが分かったとあります。いずれも、被害児童たちは、被告を信頼していたという立場を利用した卑劣な行為です。  また、八月二十四日の毎日新聞では、男性保育士が複数の園児にわいせつ行為を働き、それが園に知られ、自主退職したにもかかわらず、別の市の放課後デイに再就職をしていたということも発覚しております。  このようなことを受けて、日本版DBS、ディスクロージャー・アンド・バーリング・サービスと言われる法制度を通じて、性犯罪歴のある人を子どもと関わる職場に立ち入らせない仕組みづくりについての議論が盛んになっています。  本年六月四日には、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律が公布されました。この法律では、現職教員による性暴力行為の防止が示され、附帯決議として、教員以外の子どもに関するあらゆる職種についても検討を行うべきということが示されています。  この法律制定に見られるように、地方自治の実務レベルというよりは、まだ国政レベルでの議論です。しかし、法制化を待っているのではなく、自治体でも子どもの性被害防止に向けて、実施可能な対策の検討が必要と考えます。子どもに関わる所管に、それぞれ対応策を伺います。  まず、保育所、学童、児童館において、職員やスタッフによるわいせつ行為をどのように防止しているのかを、現状を伺います。  次に、区立幼稚園、小中学校においては、国の枠組みが示されました。子どもに対するわいせつ行為を防ぐために、現在取り組んでいることはどのようなものがあるでしょうか。また、教員等からのわいせつ行為をどのように防止するのか、発見した場合にはどのように東京都と連携していくのかを伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、公園の禁止看板、住民とのコミュニケーションと玉川野毛町公園での取組などについてお答えします。  まず、禁止看板についてです。  公園に関する苦情や要望は年間約二千三百件寄せられ、コロナ禍において、在宅や身近な地域で過ごす人が多くなったことから、増加傾向にあります。困り事の中には、ほかの利用者や近隣への迷惑行為、物的被害など、切実なものもあり、一部のマナーの悪い利用により看板を設置する事例は少なくありません。なお、看板設置の判断において、要望件数など定量的な基準はなく、それぞれの声の内容に応じて適宜判断してきております。  管理者が常時滞在していない公園においては、看板によりルールやマナーを示すことは必要である一方、看板だらけで景観を乱したり、苦情をいただく方の一方の視点にだけ立ってしまい、看板表示が原因で利用をちゅうちょしてしまう方がいる現状は改善すべきと考えております。  区は、子ども計画の基本コンセプトに、子ども主体を掲げ、外遊びの推進に取り組んでおり、みどりの基本計画においても、外遊びや自然体験の拠点となる公園づくりに努めております。  利用されてこその公共施設であることを重く受け止め、今後も様々な機会を捉え、近隣住民や公園利用者からの声を大事に、相互理解が深まるよう取り組んでまいります。  また、以上の観点から、子どもたちの公園利用に関する看板を新たに設置する際は、安易に制限につなげる表現を用いず、できることを示す、困り事を明確に伝えるなど、表示がルールを考えるきっかけとなるよう、引き続き改善に努めてまいります。  続いて、住民とのコミュニケーションと玉川野毛町公園での取組などです。  区はこれまで、ワークショップなど、様々な住民参加の機会を設け、公園整備を推進してきております。また、既存公園の改修に際しても、現地ヒアリングやアンケートなど、利用者の声を聞き、ニュースなどで広く伝えるなど、利用者の視点が共有できるよう努めてきております。  玉川野毛町公園拡張事業では、ワークショップなどによる検討を経て、基本計画を策定したところで、これから区民発意の取組を検討するパークらぼ、公園予定地を一般に開放し、実際に活動してみるオープンパークを定期的に実施し、検討、実践、検証のサイクルで設計を進めていく予定でございます。  開園して初めて利用されるケースが一般的である中、開園前から近隣住民や利用者が現地での実践を通して検討を進める試みであり、今後、ほかの公園整備でも展開できるか検討してまいりたいと考えているところでございます。これまでも、ねこじゃらし公園、北沢川緑道、ふれあいの水辺事業など、住民参加でつくられた公園があり、出来上がってからも地域の参加を得てきております。今後も区民の参加と協働を基に、共に公園の利用ルールを考え、つくり上げられるよう取り組んでまいります。  私からは以上です。 ◎清水 環境政策部長 私からは、ゼロカーボンシティー実現に向けた環境政策について、二点御答弁申し上げます。  まず一点目、今後の環境審議会の傍聴についてです。七月十三日に開催しました令和三年第一回環境審議会は、新型コロナウイルス感染予防対策として、ズームを使ったオンラインでの開催とし、その傍聴については、会議の円滑な進行と感染予防の観点から、傍聴用の会議室を設け、パソコン画面を通しての傍聴をしていただきました。  今後につきましては、ビデオ会議サービスによる円滑な審議進行や、回線結合に伴う情報セキュリティーの確保、会議出席者のプライバシー保護等の課題に配慮しつつ、傍聴者の利便性向上に向けたオンラインでの傍聴制度を検討し、改善してまいります。  続きまして、環境配慮型住宅リノベーション推進事業の現状と今後の方向性についてです。環境配慮型住宅リノベーション推進事業は、区民が断熱改修や再生可能エネルギー、省エネルギー機器類の設置等、環境に配慮した住宅改修を行う際に、工事経費の一部を助成する事業で、住宅からのCO2排出削減と住宅価値の維持向上を目的としております。  今年度より、新たに太陽光発電システムや家庭用燃料電池の設置を追加するなど、助成メニューを拡充しました。今年度の受付件数は二百九十七件となり、九月七日時点で当初予算に到達する見込みとなったため、環境対策や区内事業者の経済活動を守る取組として、第三次補正予算に御提案しております。  ゼロカーボンシティーの実現に向けて、世田谷区のCO2排出量の約五割を占める民生家庭部門の排出量を削減するため、住宅の省エネルギー化に向けた取組は不可欠です。今後は、本事業の活用により削減されるCO2排出量を数値化して、区民、事業者に分かりやすく周知し、引き続き既存住宅の省エネ性能の向上に取り組んでまいります。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは、学校施設における環境政策二点についてお答えいたします。  まず、ZEB、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの推進についてでございます。  学校施設のZEBは、これまでのLED照明や高効率空調の導入に加え、より一層の建築物の高断熱化や、直射日光を遮るためのひさしの設置など、消費するエネルギー量を大幅に削減する対応が求められます。  一方、エネルギー収支ゼロを目指すための再生可能エネルギーの創出には、大規模な太陽光発電設備などが必要となりますが、現在改築時に設置している施設設備は設置場所が限られることから、五キロワットから三十キロワット程度と、学校で消費する電力に対し、一定量の発電量にすぎません。学校施設のZEB化につきましては、建設コストの増加や、再生可能エネルギーの導入手法などの課題もあることから、今後の国の動向に注視するとともに、他自治体の先進事例も参考に、関係所管と連携し、できるだけ早期に実現に向けた取組を進めてまいります。  二つ目、エコスクールについて御答弁いたします。  教育委員会では、環境負荷の低減や自然とその共生に対応するとともに、子どもたちの環境教育に資するよう、省エネルギー化や自然エネルギーの活用、木材利用の促進など、環境を考慮した学校施設、いわゆるエコスクールの整備を推進しております。これまでに改築した区立小中学校十七校におきまして、国庫補助単価が加算措置される補助事業、エコスクール・プラスとしての認定を受け、整備を行ってまいりました。エコスクールとして整備した学校では、太陽光発電設備の設置とともに、発電量などが確認できるデジタルサイネージを設置するなど、環境問題を身近に感じられるよう工夫を行い、環境エネルギー教育の教材としても活用されております。  現在、改築計画が進んでいる学校につきましても、既にエコスクール・プラスの認定を受けており、今後も学校施設整備を通じた持続可能な発展のための教育を推進してまいります。  以上です。 ◎和田 保育部長 私からは、保育所における職員やスタッフによるわいせつ行為防止について御答弁いたします。  区では、保育の質の向上に取り組む上で、子どもの権利を守ることを第一に考え、保育を行っているところです。子どもへのわいせつ行為防止については、世田谷区保育の質ガイドラインにおいて、例えばおむつ交換や着替えなどの際、全裸で放置されることのないよう、他者の視線を遮る工夫をすることや、子どもを保育する際、少なくとも職員二名以上で行うなどを定めており、事故防止に努めているところです。  区では、保育施設の巡回支援相談や指導検査を通して、事故防止の観点で確認、指導等を行うとともに、子どもの人権や虐待防止をテーマとした職員研修を実施しております。今後はそうした機会に子どもへのわいせつ行為防止をテーマにした研修の実施など、事故防止の徹底を図ってまいります。  以上です。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、学童クラブ児童館における職員やスタッフによるわいせつ行為の防止について御答弁申し上げます。  新BOPの指導員等の採用時には履歴書、面接等を通して、適性などについて人物評価を実施しておりますが、過去のわいせつ行為による犯罪歴、解雇などの前歴を判断することは困難です。指導員等としての適性については採用後に具体的な児童との接し方、距離の取り方などを指導し、それぞれの実務を通して確認を行いながら、問題がないか判断しているところでございます。  また、児童館や新BOPでは、職員向けに児童虐待研修等を行い、虐待防止の重要さを十分に認識させ、児童に関わる職員としての責任と自覚を促してございます。職員のわいせつ行為の未然防止に向け、その兆候があれば迅速に対処するなど、子どもが安心して過ごせる場所を提供してまいります。  以上でございます。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、区立幼稚園、小中学校におけるわいせつ行為の防止についてお答え申し上げます。  わいせつ行為につきましては、子どもたちとの不適切な関係や行為、子どもたちを傷つけるような性的言動を厳しく禁止するように各学校に指示を行うとともに、校内におきましては、子どもたちに対して、密室において個別に指導したり、不必要な身体接触をしたりするなどのわいせつと認識される行為が行われないよう、東京都教育委員会の作成した服務に関するガイドラインを活用した研修を実施し、服務事故防止のさらなる徹底を図っているところでございます。  不適切な状況を把握した場合には、子どもたちの心身のケアを第一に考え、スクールカウンセラー等が対応し、必要に応じて東京都の教育相談窓口等と連携するとともに、わいせつ行為を行った者につきましては、状況確認の上、東京都の担当者へ報告する等、厳正に対処しているところでございます。  以上でございます。 ◆二十二番(中山みずほ 議員) 環境審議会についてなんですけれども、今の御答弁が本当に一年前の御答弁ではないかと思うような内容だったと思います。実際、ほかの所管では、審議会においてもオンラインでスムーズにやっていますし、もし担当の方ができないのであれば、できないと叫んでほしいんですね。ほかの所管に確認をすると。  今、区はDXを進めると言っておりますけれども、これこそが小さな一歩であって、DXというのはそのデジタル担当所管だけがやるものではないと思います。次の審議会を期待したいと思います。  あと、公園の看板についてなんですけれども、これは多分今出てきた課題ではなくて、古くからある課題だと思います。子ども条例、世田谷区にはすばらしい条例がありますけれども、第十一条に、区は子どもが参加する会議をつくるなどをしていろいろな意見を聞き、子どもが自主的に地域の社会に参加することができる仕組みをつくるよう努めてまいりますと明確に書かれています。これを踏まえて、今まで子ども所管で担当されていた中村副区長に今の状況をどうお考えか、伺います。 ◎中村 副区長 子どもの外遊びの再質問をいただきました。  季節を感じながら、屋外で子どもたちと思いっ切り体を動かす、仲間たちと思いっ切り体を動かす、いわゆる外遊びは子どもたちにとってとても大切な体験と考えています。そして、子どもたちにとって外遊びができる身近な場所は公園です。  私が子ども・若者部長だった当時も、子どもの外遊びの検討の際に、公園の禁止事項が議論になったと記憶しております。公園は規模や立地、成り立ちなど、それぞれ異なっていますし、老若男女幅広い方が利用する場で、感じ方や求めるものも様々です。世田谷区の公園の開設などに当たっては、丁寧な区民参加が行われていると思います。子どもの遊びに関するルールをつくるときは、子どもたちの思いを受け止める工夫をしてほしいと思っております。  公園の所管部とは、これまでも外遊びの検討を協力して行ってきました。子ども・若者部長には公園所管と相談するよう指示をしてまいります。  以上です。 ◆二十二番(中山みずほ 議員) 今の御答弁で、子ども・若者部長に相談を指示するということでしたので、早急に指示していただきたいと思います。今回の区民の方々のお話を聞いて、この問題、たかが看板の話ではないと感じています。参加と協働を目指す世田谷区として何か進めていただきたいと思います。  以上で私からの質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で中山みずほ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、四十四番中村公太朗議員。
       〔四十四番中村公太朗議員登壇〕(拍手) ◆四十四番(中村公太朗 議員) 世田谷区公共施設等総合管理計画の一部改定案が報告されました。そこには、健全財政で黒字が続いてきた世田谷区からは想像しづらい危機的な将来予測が示されています。  公共施設の整備費及び維持管理経費は、年間五百五十億円の財政目標から大きく乖離が生じる事態となっており、最新のシミュレーションにおいても、今後の一年間にかかる平均経費は約五百八十億円になっています。  世田谷区全体の財政状況も、これらが一因として、二年後の令和五年度には基金残高と区債残高が七百億円程度でほぼ同額に、令和二十八年度には基金残高が三百億円まで減少するのに対して、特別区債残高が千五百億円という大借金自治体へと進んでいきます。  さらに、コロナの収束時期も不透明な中、財政悪化のスピードが想定以上に速まる可能性も十分考えられます。加えて、将来人口推計では、少子高齢化の加速で社会保障関連経費の増大が進み、一方で生産年齢人口の減少による大幅な減収も見込まれる環境下、区はこの深刻な課題に対してどのように対処していくつもりなのでしょうか。  不断の行政経営改革に取り組むという頻繁に目に触れる目標は当たり前に重要ですが、具体性もなく、ただ漠然と経費削減に努めます、さらなる節約を進めていきますと言うだけでは到底確保できるわけがない規模の額ですから、将来世代にツケを残さない健全な世田谷区政の実現に向けて、具体的な取組を金額目標とともに明示をすべきです。  現在計画をされている、そして今後検討される様々な取組が幾らの削減効果をもたらし、財政見通しがそれによってどう改善をされるのか、しっかり可視化を進めることで、区民も当事者として理解が進み、危機感の共有とともに区民参加や区民協力につながるのではないでしょうか、区の回答を求めます。  関連して、公共施設の整備及び維持管理経費に話は戻りますけれども、先ほど触れたとおり、最新のシミュレーションでも年間にかかる経費は、現時点で想定を三十億円超えており、改訂案で掲げられた重点方針による取組、学校施設等の複合化や省インフラの実現など、これらの削減効果が既に見込まれた上でのこの三十億円の超過となっていますから、さらなるメニューの検討が急務です。こちらについても解決までの青写真、具体的な取組、目標抑制金額とタイムスケジュールを明示すべきですが、検討状況を伺います。  重点方針の中にある官民連携手法の導入については特に触れておきますが、記載をされているように、収益施設や収益事業の導入による施設の魅力向上、整備・維持管理経費の抑制には期待をしています。  上用賀のアートホールでも、収益事業での利用を可能にするとの方向性が示されましたが、もちろん既存の区民利用には影響が出ない範囲ということではありますが、機能の見直しや統廃合を進める中で、空いた施設やスペースへの積極的な民間活用を進めていかないと、大きく抱えてしまった施設総量の維持はとても難しく、下手をしたら近い将来に売却、売却の嵐ということになりかねません。区はどのような取組を進めていくのか、方針を伺います。  また、区では比較的大規模な公園用地を取得する予定や、農地を買い取ることによる農業公園の整備も計画をされているようです。それぞれの取組を個別に見れば、目的や方向性など評価できるものですし、一期一会の財産取得があるのも理解はしますが、これだけ将来に向けて確かな計画とマネジメントが重要な状況の中で、区全体として財産の保有をどのようにしていくのか、方針の再確認が必要であると考えます。区の見解を伺います。  さて、区から入札制度改革の素案が示されました。変更点は大きく言って、総合評価方式の拡大、失格基準価格の公表、評価基準価格の新設という三点です。その全てにおいて、運用次第では公契約における競争性が不当に損なわれ、不透明な税金、無駄な税金の拡大につながりかねないと危惧をします。指摘すべき点は多々ありますが、今回は三つに絞って質問します。  まず第一に、今回の改正における影響額はどうなのかということです。競争性を鈍化させることにより落札率が向上すれば、その分多くの税金が使われるということになります。  冒頭から述べてきたとおり、これから世田谷区は非常に厳しい財政状況へと突き進んでいきます。全庁を挙げて経費削減に取り組まなければいけない中で、公契約の発注というセクションにおいて、一体幾らの追加支出を想定しているのでしょうか。年間工事予算は大体二百億円程度ですから、落札率が一%上昇すれば約二億円、五%上昇で十億円の財源が必要となります。区の想定する影響額について区の答えを求めます。  二点目として、今回提示をされた変更の方針に至った経緯として、公契約適正化委員会からの答申がありますが、そこには、この答申が納税者である区民の理解を得られることを前提とした上で可能な限り反映されと記載されています。逆に言えば、納税者の理解が得られなければ、答申の中にある様々な提案について、入札制度改革に必ずしも反映されるべきではないとしたものです。  今回の素案が提示されるに当たって、貴重な財源が落札額の底上げに使われる可能性があることに対し、納税者である区民の理解が得られているのでしょうか。適正化委員会が言うとおり、制度変更の大前提だと思いますので、区民の理解が得られたとするエビデンスについて調査などの取組及び結果があるのかどうか、明確な答えを求めます。  三点目は、リスクとセキュリティーの問題です。これまでの入札では、失格基準価格に至るまでは入札価格が低いほど評価が高くなっていました。それに対して評価基準価格という非公表の線を新しく設定し、ここを価格評価の山の頂点として、前後それぞれ下降線をたどるという方式に転換をしていくということです。  つまり、入札参加において評価基準価格が幾らなのかという要素がぬきんでて重要になる制度改革であり、その価格は役所の任意によって定められるということになります。この数字が漏れることで公平公正な入札と契約は崩れ落ちるわけですが、これまで以上に官製談合の危険性が高まりかねない今回の変更について、そのリスクとセキュリティーに対してどのような新たな対策が実施をされるのか、説明を求めます。  最後になりますが、世田谷区の深刻な財政、その悪化を少しでも改善するために、税外収入のさらなる確保が必要不可欠です。  中でも区内の空いている土地のコインパーキングとしての活用は、イニシャルにかかる経費や流動性、需要を考えても非常に有効な手段の一つであるとして、これまで何度か提案と質問をしてきました。  区内には更地のまま放置され続ける区有地が相変わらず散見されます。以前の質疑で、区が土地開発公社から土地を取得する際に、国や都から補助金が入っていた場合、取得後に当該地で税外収入が発生すると、そのまま補助金返還として回さなければいけないルールになっているとの答弁を記憶していますが、公社や外郭団体における事業外収入が少しずつ増加をしている背景もあるようなので、改めて整理のために伺いたいと思います。  まず、土地開発公社が先行取得をした土地において、公社として活用して収入を上げることができるのか、それを区が借りて税外収入を上げることができるのか。  また、区が取得した後の区有地において、区が活用して税外収入を確保する際の制限はどこまであるのか、例えばトラストまちづくりなどに貸出しをして、当該団体が活用して事業外収入を上げることができるのか、またその制限があるのか、併せて伺います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、五点につきまして順次御答弁いたします。  初めに、区の財政見通しについてでございます。  公共施設整備などの多額の経費を要する大規模事業におきましては、世代間負担の均衡や財政負担の平準化のため、基金や起債の計画的な活用には一定の意義がございます。しかしながら、区債残高の増加は、義務的経費である公債費負担の増加につながり、いわゆる財政が硬直することで新たな施策に財源を投入しづらい状況になってくるものでございます。  こうした状況がございますので、今般の第三次補正予算におきましては、前年度決算収支を活用した基金への積み増しや本庁舎等整備事業における基金のさらなる活用と、特別区債の抑制を提案してございます。  また、財政状況に応じた公共工事の前倒し、先送りによる負担の平準化、あるいは決算見込みを踏まえた起債の取りやめ、基金の繰り入れ止めなど短期、中期的な財政見通しを踏まえた財政運営に取り組んでいく必要がございます。  限りある財源の効率的、効果的な活用を基本に、プライマリーバランスに留意した適切な特別区債の活用と、行政需要を見据えた基金残高の確保に努め、計画的な財政運営に取り組んでまいります。  次に、公共施設の整備・維持管理経費について御答弁いたします。さらなるメニューの検討をということで御質問いただきました。  今般お示しした公共施設等総合管理計画の一部改訂案におきましては、重点方針等の経費抑制の取組によりまして、年平均経費を約五百八十億円まで圧縮しておりますが、当初計画の五百五十億円と比較すると三十億円増加しており、コロナ禍における厳しい財政見通しを考慮すれば、さらなる経費抑制の取組が必要であると考えてございます。  今回、重点方針として、学校を中心とした複合化整備の推進をはじめとした三つの項目を掲げ、一定の効果額を計上しておりますが、今後さらに効果額の上積みができるよう、これらの取組をより具体化し進めてまいります。  また、従来より取り組んでいる学校の棟別改修や公共施設の複合化、多機能化などの方針につきましても、さらに徹底して実施してまいります。  公共施設等総合管理計画におきましては、次期基本計画の策定と併せ、令和六年度に向けた改定を予定しております。これまでの取組とともに新たな経費抑制に向けた取組手法についても検討し、より一層の公共施設整備及び維持管理経費の抑制に努めてまいります。  次に、官民連携手法の導入による取組を進めていくことについてでございます。  御指摘ございました上用賀アートホールにつきましては、他の区民会館と同様に収益事業での利用を可能とし、指定管理者の収益を上げることにより、区からの施設維持管理に係る委託料を圧縮するという手法を検討しているところです。規模、立地などによりますが、ある程度集客が見込まれる施設については、収益事業の導入は経費抑制に有効な手段でございます。  また、今回の重点方針に基づく取組として、至近にある利用率の低い区民利用施設を二か所統合する考えをお示ししております。これにより生じる跡地は民間活用を検討してございます。  また、公共施設においてもDXの考えを取り入れ、例えば自動受付によりカウンタースペースを廃止、規模の縮小も検討しておりますが、この統合、規模縮小により生じる余剰面積で民間サービスの誘致、貸付けにより税外収入を確保するなど、今後も官民連携をさらに進めてまいります。  こうした官民連携導入に当たりましては、区民利用とのバランスに配慮して、施設魅力向上、維持管理経費の抑制に取り組んでまいります。  続きまして、区全体としての財産保有と方針の再確認でございます。  今回の公共施設等総合管理計画の一部改定におきまして、年間経費は約五百八十億円程度としておりますが、この中には、建物の整備・維持管理経費のほか、道路、公園など都市基盤に係る整備保全の更新経費も約百八十億円程度を見込んでございます。公園用地の取得に関しましては、国、都の補助金といった特定財源のほか、クラウドファンディングなど税外収入を活用することで、約二百億円程度の経費の拡充が可能であると考えてございます。  財産の保有という観点で申しますと、建物等の施設総量としては、当初計画では抑制する方針としておりましたが、今回の改定では総量を維持することとしてございます。今後とも限られた財源の中、例えば財務諸表から分かる指標なども参考としながら、公共施設等総合管理計画に掲げる取組を着実に進めてまいります。  最後に、税外収入確保策について、区が保有する土地を外郭団体に貸し付けた場合の補助金の削減についてでございます。  御提案いただきました、区が国庫補助を活用して取得した道路予定地の貸付けにつきましては、補助金等の適正化に関する法律規定が適用されることから、国庫補助金の返納や国からの特例承認を受ける必要があるなど、活用に当たっては課題があると考えております。  こうした課題解決を仮に整理できた場合ですけれども、例えば外郭団体の自主事業として区有地を活用した収益事業を行うことであれば、外郭団体の自主財源の確保につながる可能性があると考えてございます。  また一方、区から外郭団体への補助金の減額につながるかということにつきましては、外郭団体が行う区の補助事業と、区有地を活用した収益事業の目的が合致していることが前提となりますので、直ちに区から団体への補助金の減額につながるものではないと考えてございます。  以上でございます。 ◎工藤 財務部長 私からは、入札制度改革について三点と、税外収入確保について一点を順次御答弁申し上げます。  まず初めに、影響額の見込みについてという御趣旨での質問です。  今回の入札制度改革は、公契約適正化委員会からの公契約条例の実効性の確保を求める答申や、低入札価格調査の増加などの現状を踏まえ、条例の趣旨を入札制度に具体的に反映させる観点から実施するものです。  この改革による入札価格への影響につきましては、予定価格の積算内訳や価格評価と価格以外の評価項目との配点比重などを考慮しながら試算を重ね、詳細な制度設計につなげてまいります。  来年度の試行実施におきましても、実際の入札価格の分布や落札率の推移などについて具体的な分析を行い、財政支出への影響も含め、新制度の目的が十分に達成されているか検証しながら取組を進めてまいります。  続きまして二点目です。区民理解を得ながら進めよという御質問でございます。  今回の入札制度改革につきましては、公契約条例の実効性の確保を図りながら、区民の皆様からいただいた貴重な税金を一層効果的に公共工事の執行に結びつけるためのものというふうに考えてございます。  こうした観点から、これまでの検討に当たりましても、公契約適正化委員会や入札監視委員会といった第三者機関での御審議をいただいた上で区議会に御報告し、御議論をいただいているところでございます。  今後の詳細な制度設計や実施準備におきましても、区議会への御報告や事業者への丁寧な説明はもちろんのこと、区ホームページでも広く検討状況の周知を図るなど、区民への適時適切な情報提供と理解促進に努めてまいります。  続きまして三点目、評価基準価格の漏えい対策についての御質問をいただきました。  入札事務の執行に当たっては、公表していない予定価格をはじめとして、最低制限価格、調査基準価格などの秘匿情報の漏えいがないよう細心の注意を払っているところです。  実務的には、入札事務に関わる職員以外の者が知り得ないようシステムの利用者を限定するなど、厳重な情報管理を徹底しております。  新たに設定する評価基準価格につきましては、価格評価の要となる秘匿情報であることから、従前の取扱いの再徹底に加え、入札事務に支障のない範囲で当該価格の算出時期を後ろ倒しにするなど、リスク回避体制の強化に努めてまいります。  私からの最後になりますけれども、税外収入確保の観点から、土地開発公社所有の土地活用を検討せよという御質問です。  土地開発公社は、公有地の拡大の推進に関する法律の下、区の用地取得計画に基づく公有地を先行取得しており、おおむね二年程度と、限られた期間で区に譲渡する仕組みを基本としております。  公社が先行取得した土地を区へ譲渡するまでの期間、公社もしくは区が借用して収益事業を行うことは可能でございます。しかしながら、その場合には固定資産税や都市計画税などの経費の負担が新たに発生することなどの課題もあり、税外収入確保が可能なビジネススキームとなるのか、実際の活用に当たっては調査研究が必要となります。まずは他自治体における公社保有地の活用に関しての情報を収集し、関係部署と連携して、コスト面などの条件が整うかどうか、民間事業者の意見なども聴取しながら検討を行ってまいります。  以上でございます。 ◎田中 道路・交通計画部長 私からは、区有地の道路用地を活用して税外収入を確保する際の制限についてお答えします。  道路事業により取得した道路予定地につきましては、暫定的整備等により、安全に歩ける歩道空間等として有効活用しております。また、下北沢駅周辺の道路予定地におきましては、まちのにぎわい創出の一助として、地元商店街と維持管理等に関する協定を締結し、地域の交流や憩いの場として活用を図っております。  こうした活用のほか、道路予定地が一定程度まとまった状態になった場合には、需要などを精査しながら、駐車場利用などによる税外収入の確保を検討していく必要があるものと認識しております。  お話の土地開発公社を活用して取得した道路用地を買戻しする場合は、国庫補助事業による補助金を活用して用地を取得しております。そのため、目的外使用や貸付け等をする場合には、補助金等適正化に関する法律の規定により国の承認を受けて行う必要があり、生じる収益は補助金等相当額を限度として国庫納付することなどの基準がございます。  以上です。 ◆四十四番(中村公太朗 議員) 入札制度改革についてですけれども、区民の理解を得ながら進めようなんてことは言っていなくて、区民の理解がなかったら進めちゃ駄目よと、それが答申に書かれているでしょうという話をしているんですよ。そして、そのエビデンス調査とかはやっているんですかと。多分ないんでしょうけれどもね、今の答弁を聞くと。  区長とか中村副区長、いいんですか、これで。区民の理解を得なさいと答申に書いてあるにもかかわらず、得ることを前提と書いた、その前提が達成されないまま進めていいんですかということだし、影響額も今出てきていないわけですよ。もちろん落札額ですから、実際に工事をしてみないと分からないわけですけれども、これだけ厳しい財政状況の中で、ある程度想定していかなければ、そこが思いっ切り上がったときに、じゃ、その補填をどうすんですかと、区民への直接的なサービスを削るんですかということになりかねませんということです。  時間がないので一点だけ指摘をしておきますけれども、昨日の代表質問でも、今日の一般質問でもありました。今回の改正にも書かれています。公契約条例と、この入札制度は全く別物です。そもそも公契約条例は条例ですから、守って当たり前なんですよ。入札制度の中に反映するんじゃなくて、入札参加資格で縛らないと。条例を守っているところ以外は参加させちゃ駄目なんですよ、そもそも。条例を反映させるために制度を変えるなんておかしいんですよ、これは。しっかりその点は整理をして、分けて考えて、ちゃんともう一度この素案、考え直した方がいいと思います。  以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で中村公太朗議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時十七分休憩    ──────────────────     午後二時三十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  六番上川あや議員。    〔六番上川あや議員登壇〕(拍手) ◆六番(上川あや 議員) 初めに、本来あった谷を埋め造成された住宅地、谷埋め盛土宅地の災害対策について伺います。この問題での質問は六回目となります。  この夏、熱海市で起きた大規模土石流の原因が、谷の最上流部を不適切に埋めた大規模盛土の崩落という人災であった可能性が高まったことで、今、盛土災害への関心が高まっています。  私がこの問題を初めて取り上げたのは二〇〇八年の六月です。当時より区は、住宅の耐震化率向上を減災対策の重点としていましたが、地盤そのものの脆弱性は見落としてきた嫌いがありました。  そこで、阪神・淡路大震災では、大阪―神戸間の斜面地に発生した地盤変動二百か所のうち実に半数以上が谷埋め盛土の地滑りであった事実を取り上げ、世田谷区内の地下空間にも、同じく巨大な集水構造である谷は、そこかしこに埋まり、谷の水位が高まれば、地震時に動く可能性があることを指摘しました。その際使ったパネルを改めて示します。  これは、世田谷区南部を含む谷埋め盛土の被害予測図です。斜面地災害研究の第一人者、京都大学の釜井俊孝教授からデータ提供を受け作成したもので、一九九七年に都が想定した神奈川県境直下での地震時に起こり得る地盤災害を予測したものです。  左手中央から右下に下りていくのが多摩川です。この黒くぽつんと見えるのが二子玉川の玉川高島屋です。ここが二子玉川になります。ここから横に伸びていくのが東急大井町線ですね。この黒ずんで見える市街地が自由が丘です。つまり、この自由が丘より西側、多摩川以北が世田谷区に該当します。  この白黒のマップの中で色分けをされている部分があるんですが、この色分けをされた部分が全て谷を埋めた造成宅地、谷埋め盛土です。この色分けしているうちで、ほとんどがこの朱色で示されていることが分かりますが、朱色の色は何かといいますと、地震時に変動する可能性が極めて高い谷埋め盛土を指しています。  この世田谷区の面積で言えば、四分の一弱に満たないところに、約二十五か所の極めてハイリスクの谷埋め盛土が内包されていることが、この図から分かります。  すると、区内全体になりますと、どれくらいの谷埋め盛土があるのかが気になるところですが、都が昨年八月改訂、公表した谷埋め盛土造成地のマップでは、たった十五か所しかありません。  しかも、それはおととし十一月、毎日新聞が朝刊一面で、都が戦前に造成された谷埋め盛土、都内区部三十五か所、世田谷区内の十か所の掲載を見送り、現地調査すら行っていない事実をすっぱ抜き、当区からも開示を求められ、ようやく十増やされた結果です。  加えて、都は昨年八月、同じ毎日新聞の取材に、既に判明していた谷埋め造成地以外にも、同様な手法で調べれば、さらに盛土が出てくる可能性があると認め、しかも都の公開盛土は面積三千平米以上の大規模に限られています。都の公表マップがいかにうのみにできないものかがお分かりいただけるのではないでしょうか。  このため私からは、かねてより都に漏れのない谷埋め盛土の精査と公表、防災区域の指定を求めるのみでなく、区による独自視点での点検、評価の実施と、宅地耐震化への具体的支援を求めてきました。  すると、この春、区は、都市整備常任委員会の主要事務事業の説明資料に新たな一言を加えました。その記述はたった二十三文字の次の一言です。  大規模盛土造成地を対象とする宅地耐震化に関する学識経験者の知見を活用する、これだけです。これでは区の対応は海のものとも山のものとも分かりません。  そこで伺います。区の担当者に伺うと、既に私が議会質問で何度もお名前を出してきた京都大学の釜井俊孝教授はじめ複数の学識経験者による検討組織を立ち上げる準備を始めているとのことですが、どのように専門家の知見を取り入れ、対策に生かすのか、そのステップの説明と併せ、予算の確保に向け区全体として取り組む意思があるのか、その本気度を問います。  次に、区にゆかりのある動植物、固有種の保護について、その1として成城みつ池のホタルを取り上げます。  区は昨年3月、生物多様性地域戦略としての生きものつながる世田谷プランを策定し、そこでは生物多様性には三つのレベルがあるとして、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性を紹介しています。今回取り上げるのはその三番目、動植物、固有種の遺伝的資源の保護、活用についてです。
     神明の森みつ池特別保護区は、二十三区でも二か所しかないゲンジボタルの自生地として知られます。また、二十三区で唯一の在来関東型DNAのホタルの自生地であるとも言われています。  しかし、同保護区の面積は、正方形に直せば、たった七十八メートル四方しかありません。二つある池の一方のホタルには、既に関西型の遺伝子が交じり、残る一方のより小さな池のほうにのみ、在来DNAのホタルが生息すると見られています。  かねてより私からは、孤立した小集団内での近親交配の連続が絶滅リスクを高めてしまう点、また、その繁殖期には、ホタル同士の出会いを邪魔しない光のコントロールが大切と考えられる点をお伝えし、その保護に細心の注意を求めてきましたが、残念ながら毎年行われている発生数の調査でも、その数は減少傾向にあります。  それでも、これまではホタルの権威とも言える専門家にスーパーバイズをいただき、地域の熱意ある方々の手で守られていることに心強さがありましたが、その専門家の方も昨年一月に亡くなり、以後は専門家の支援もないままです。  そこで今回の質問では、ぜひその後を継ぐ専門家の方を探し、希少な固有種の保護に取り組んでいただくよう求めます。区の見解を問います。  その2は、区の花、サギソウの幻の固有種についてです。  区の花であるサギソウ自体、既に自然界では絶滅危惧種となっていますが、今回取り上げるのは、大正時代、三軒茶屋で採取された世田谷の在来種、武蔵野と言われる爽やかな芳香を伴う固有種の存続が確認できなくなっていることについてです。  動画投稿サイト・ユーチューブに、かつて区が提供していたテレビ番組「風は世田谷」のバックナンバーがアップされているのは皆さんも御存じのことと思います。その今から三十五年前、一九八六年放送の「花はさぎ草」という番組で、この世田谷の固有種が紹介されているのですが、昨年来、その種が絶えていないか区の関係者に尋ねても、十年前まで育てていた方が見つかったというだけで、確認が取れません。  区立公園の鷺草園、またフラワーランドに植えられているサギソウも、今では全てが銀河や青葉といった園芸種なのだそうです。  しかし、ここに来て、世田谷トラストまちづくりより都立園芸高校の教員OBの方がお持ちかもしれないという話がもたらされました。  その方は既に同校を辞められていますが、確かにサギソウに関し多くの論文をお書きです。まだ連絡は取られていないそうですが、区にはぜひその種の存続をお確かめいただき、地域在来種の保護、活用に共に取り組んでいただきたいと考えます。  代官屋敷で毎年開かれるサギ草市などで公開し、生物多様性は地域ごとに異なること等の環境学習の一助にもなればと考えますが、いかがでしょうか。  また、農業生物資源の在来種を広く受け入れ、保護している農水省外郭団体であるジーンバンクにその種を預け、絶滅を回避する安全策を取るよう求めます。あわせて、区の見解を問います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎笠原 防災街づくり担当部長 私からは、谷埋め盛土に関する区の取組について御答弁申し上げます。  東京都は、谷埋め盛土等の大規模盛土造成地について、国のガイドラインに基づき、第一次スクリーニング調査結果を表示した大規模盛土造成地マップを令和二年八月に更新し、区内において十五か所を抽出した上で公表しています。  さらに東京都では、都内の市区町で統一的な調査を実施するため、地盤調査等を行うべき盛土造成地を抽出するための評価手法や現地踏査結果の宅地カルテの作成を含めた第二次スクリーニング調査の計画策定を進めています。  区においては今年度、独自に大規模盛土造成地十五か所について、区職員による目視調査を行っております。また、調査結果について、学識経験者を招いて勉強会形式で意見交換を行い、今後の進め方についても助言をいただいているところです。  東京都から第二次スクリーニング調査の計画内容が来年度提示される予定と聞いております。今後、区といたしましては、都の作成する評価手法や宅地カルテについて改めて検証する必要があると考えておりますので、学識経験者による会議体を独自に設け、御意見をいただきながら第二次スクリーニング調査を進めていきたいと考えております。  東京都からは、コロナ禍で進捗に影響が出ていると聞いてはおりますが、情報共有等の連携を密に取り、大規模盛土造成地の調査を着実に進め、必要な情報を周知するとともに、結果に応じた具体的な防災対策につなげてまいります。  私からは以上です。 ◎釘宮 みどり33推進担当部長 私からは、固有種の保護について、ホタルとサギソウについてお答えします。  まず、ホタルについてです。神明の森みつ池特別保護区は、区内でも特に豊かな自然が残されており、貴重な自然環境の保全に力を入れております。ホタルの保全につきましては、神明の森みつ池の管理保全と併せて、これまで専門家の御意見を伺いながら、区や世田谷トラストまちづくりが、区民の団体である成城みつ池を育てる会と連携して進めてまいりました。  具体的には、光害対策として、遮光シートの設置や街路灯へのルーバーの設置、また、ホタルの餌となるカワニナの繁殖のため、ホタル生息地上部の樹木の剪定などを行ってきております。  議員お話しのとおり、これまで御意見を伺ってまいりました専門家の方は、去年、残念ながらお亡くなりになっております。区といたしましては、ホタルの生息環境の改善に向けた試行錯誤を重ねるなど、今後も息の長い取組が必要と認識しており、御協力をいただける専門家を探すとともに、育てる会と連携し、より効果的な保全の取組に努めてまいります。  続いて、サギソウについてです。区ではこれまで区民にサギソウを身近に感じてもらうため、九品仏浄真寺の境内にある区立鷺草園での展示や、瀬田のフラワーランドでの栽培、サギソウの栽培に関する講習会の支援、代官屋敷で開催される「せたがやホタル祭りとサギ草市」の後援などを行ってきております。  議員お話しの武蔵野という品種は、かつて三軒茶屋に自生していたと言われる品種であり、これを守り伝えていくことは、世田谷の在りし日を次代に伝えていくために大切なことであると考えております。  一方で、園芸種でない在来種を継続的に栽培していくためには、専門的な知識や技術が必要になると考えられています。区といたしましては、引き続きこれまでの取組を続けるとともに、御指摘の武蔵野に関して、専門家や実際に栽培している愛好家などから情報を収集し、所在や流通、栽培の状況などについても確認し、今後の保全策や活用について検討してまいります。  続いて、ジーンバンクについてです。ジーンバンクは農林水産省が所管する国立研究開発法人である農業・食品産業技術総合研究機構が行っている事業であり、農業分野に関わる遺伝資源について、主として食料や農業上の利用に貢献するため、探索収集から特性評価、保存、配布など、情報公開までを行っております。  また、環境省新宿御苑管理事務所では、生息域内での存続が困難な状況の種について、生息域外における種子保存を行っております。  それぞれの機関において受入れの要件がございますため、今後詳細を確認し、可能であれば専門機関の活用についても検討してまいります。  以上です。 ◆六番(上川あや 議員) 御答弁ありがとうございます。それぞれ専門家の方に入っていただけるというお約束ですので、一旦安心をいたしております。  みつ池のほうですけれども、これまで全国ホタル研究会の名誉会長の方にアドバイスをいただいてきたと。その方が、みつ池の貴重な希少種のホタルの存続をかなり懸念されて、リスク分散を図るべきだというような御案内があったそうで、実際、等々力渓谷に一回トライアルで、そこに生育できるようにできないかということをやったそうですが、このリスク分散が中断しておりますが、新たな専門家の方に入っていただいて、ぜひリスクの回避、種の存続、子どもたちに、これからの次世代、見ていただけるように取り組んでいただければと思います。  以上です。終わります。 ○下山芳男 議長 以上で上川あや議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、三番そのべせいや議員。    〔三番そのべせいや議員登壇〕(拍手) ◆三番(そのべせいや 議員) 二〇〇六年に認定こども園制度が開始、二〇一〇年、民主党政権下で幼稚園、保育園を一体化するこども園が提唱され、今年改めて自民党からこども庁創設の議論の中で十年後の幼保一元化を目指す案が示されました。  最終的に内閣府の策定する経済財政運営と改革の基本方針二〇二一に幼保一元化は明記されませんでしたが、二〇一八年施行の幼稚園教育要領、保育所保育指針を見ても、三歳以上については共通化され、幼稚園と保育園の目指す方向は既に変わらず、また、今年七月の読売新聞の報道によると、文部科学省は、いわゆる小一プロブレム解消に向け、五歳児向けの共通教育プログラムをつくる方針を決めたとのことです。  幼稚園、保育園それぞれの利用動向を見ても、幼稚園は待機児童対策や経営戦略として預かり保育を拡充し、保育の必要のある子どもも、幼稚園に通うことは既に一般的になっています。  一方、保育園も保育に欠けるという表現を改めたように、かつて親代わり、養護に特化をした状態から、前述のように幼稚園との差が出ないよう教育機能が拡充し、幼稚園と保育園の三歳児クラス以降は同じ機能に収束していこうとしています。  まずは、世田谷区として幼児教育・保育推進ビジョンの策定や乳児教育支援センター機能の整備など、幼児教育を一体的に考えている中で、幼稚園、保育園、あるいは認定こども園に対して、管轄や形態の垣根を越えて同じ教育を目指す方針か、それとも本質的に異なる存在であると定義をし、あえて違いを残すのか伺います。  幼稚園、保育園、認定こども園で管轄する省庁が異なること、区が幼稚園教諭は教員として、保育士は福祉職として採用していることは周知の事実ですが、管轄や採用形態が異なる一方、待遇はどうでしょうか。  二〇一九年、内閣府の第四十六回子ども・子育て会議では、公立保育所の常勤保育士は平均勤続年数十一年、平均給与月額は三十・三万円、公立幼稚園教諭は十一・一年、三十七・八万円と、幼稚園教諭が月額七万五千円高いと明らかにされましたが、ここで世田谷区の区立幼稚園、区立保育園の幼稚園教諭、保育士の待遇がどうなっているか伺います。  幼稚園教諭と保育士を資格として比較をすると、両方の資格が必要な保育教諭を増やすための特例制度を見る限り、保育士が幼稚園教諭を取得する場合、また幼稚園教諭が保育士を取得する場合ともに、三年間、四千三百二十時間以上の実務経験と、大学での八単位の履修が要件となっており、差はありません。  一方で、恒常的に保育士は試験による門戸を開いており、保育士試験には幼稚園教諭の一部科目の免除が存在するのに対して、幼稚園教諭は必ず養成校を経なければならず、二年課程で二種、大学では一種、大学院では専修と免許にもランクが分かれています。  一方、特別区の幼稚園教諭の採用は専修、一種、二種の区別なく採用対象としていますが、学歴を専門性として給与を変えるという考え方もありますので、参考に幼稚園教諭の免許種別の世田谷区のこれまでの採用状況、また比較対象として保育士の学歴もあわせて伺います。  翻って、幼稚園教諭と保育士の一般的な違いを例示をすると、保育士の中には、幼稚園教諭とは異なり、ゼロ、一、二歳クラスの担当がいること、幼稚園教諭の配置基準は三、四、五歳全て三十五人以下の一学級に一人、一方、保育士の配置基準は、三歳二十人、四歳、五歳三十人に一人、実際に子どもと接する保育時間の法定標準は、幼稚園四時間、保育園八時間、幼稚園には夏休み等の長期休業があり、保育園には長期休業がないと、制度上は担当する人数上限が多いものの、子どもと接する時間が短く、それ以外の業務に時間が割ける幼稚園教諭、担当する人数上限が若干少ないものの、一年間通して長時間子どもと接する保育士と捉えています。  幼稚園のほうが圧倒的に教育効果が高い、あるいは労働条件が極めて過酷とは到底考えられない中、国の平均と同じく、幼稚園教諭の報酬が高いのであれば、その理由を、保育施設と比較したときの幼稚園の機能の優位性、保育士と比較した専門性や成果の違いをもって、実際に働いている職員、そして区民が理解できるように説明を求めます。  あわせて、同一労働同一賃金が叫ばれ、区としても既に会計年度任用職員の待遇の是正等を実施をしてきた中、幼稚園、保育園の歴史的な経緯や現状は過去のこととしても、未来に向かって幼稚園教諭、保育士の差を是正するのか、あるいは差があることを当然のこととして業務を分担していくのか、どちらを目指すか、見解を伺います。  また、これまで世田谷区として認定こども園の幼保連携園を運営をしていないため、議論対象とはなってきませんでしたが、幼稚園型、保育園型のどちらでもない幼保連携園を区として運営をする場合、ダブルライセンスである、先ほど申し上げました保育教諭という新たな職種での採用となりますが、仮にこの職種を区として採用する場合、どのような採用形態、待遇となるのか、先行して実施する特別区の事例等も参考にして、どのような対応が考えられるか、お答えください。  続いて、公衆電話の今後について伺います。  今年七月、総務省の情報通信審議会は、公衆電話の設置義務の基準を四分の一に緩和する答申をまとめました。従来、市街地では五百メートル四方に一か所、その他の地域では一キロメートル四方に一か所としてきた基準を、それぞれ二倍の距離に緩和をし、四分の三が廃止をされます。  今後、省令改正により設置基準が緩和されると、町なかの公衆電話のうち、設置義務のある第一種十・九万台が二・七万台となり、任意設置の第二種、二〇二一年現在三・七万台、合わせて従来の十四・六万台から六・四万台と半分以下に減ります。  事件、事故などの緊急時に公衆電話が有効という意見もある中で、実際にトラブルに遭遇した際の行動を考えると、大人だけでなく、子どもにも防犯のためのキッズケータイは普及をし、高齢者も九三%が携帯電話を保有しており、一般的には個人の手元に一台ずつ存在する携帯電話が緊急通報手段となる中、五百メートル先の公衆電話は役に立つのか、つまり町なかの公衆電話がなくなると本当に困るのか、地方自治体として意見を世田谷区に伺います。  また、十代、二十代の若い世代からは、既に公衆電話はおろか、就職するまで固定電話を触ったことがない、使い方が分からないという意見も伺います。そして、連絡手段は、電話番号にひもづく通話やメッセージから、SNSなどのアカウントにひもづくものへと変わっており、友人だけでなく、家族との連絡手段もLINEに置き換わっているという話もよく伺います。  たとえ目の前に公衆電話があったとしても、家族も含めた連絡したい人の電話番号を知らない、分からない人も、既に若い人を中心に増えており、災害時に公衆電話さえあれば連絡が取れるわけではないということも今後の課題です。  災害時の公衆電話の利点は、電話回線が通信制限となった際にも優先してつながることですが、既に音声通話すら、通話時間に応じて課金をされる電話よりも、通話時間を気にする必要がないインターネット回線を利用するメッセージアプリによる音声通話が普及をしていることを鑑みると、災害時対応としても、公衆電話に並んで電話で連絡することだけを想定するのではなく、モバイルデバイスを前提とし、携帯電話の基地局が破壊されても、また光通信が断線しても、インターネット通信に接続できる体制の構築が必要ではないでしょうか。  各携帯電話会社の移動基地局との迅速な連携体制、また地域BWAを災害時の通信インフラとして活用することができれば、安定的なインターネット通信の供給に有用と考えます。見解を伺います。  加えて、廃止される第一種公衆電話の跡地を、ただ何もない状況に戻すのではなく、別のことに活用できないでしょうか。自動販売機の設置等の既存の考え方にとどまらず、例えば一人用の喫煙所、シェアサイクルポート、電柱を地中化する際の変圧器、場所によっては電気自動車の充電スポットなど、次の時代に必要なもののために、ぜひ開放をいただきたいです。  今後、公有地の活用について事業者から提案があれば検討するということにとどまらず、今回の公衆電話廃止で空いた道路や公園のスペースの活用方法をテーマに提案が公募できないか、見解を伺います。  最後に、学校タブレット端末の規制について伺います。  学校におけるタブレット端末の活用が進められる一方、以前より六歳から十五歳まで一律に機能を制限するのではなく、本来であれば個人のモラルやスキル、家庭での状況によって、また、少なくとも年齢や小学生、中学生等の区分けごとに制限の内容に段階を設けるべきと提案をしてまいりました。  実際に埼玉県のさとえ学園小学校では、スキルやモラル、使い方に応じて一定の基準とテストをクリアした児童には、学習用iPadの用途を段階的に広げ、より自由に、本人に任せた利用ができる体制を整えているようですが、管理方法、MDM、モバイル・デバイス・マネジメントには、世田谷区と同じモビコネクトというシステムが利用されています。  複雑な操作は必要なく、各端末の管理用IDをモビコネクト内で事前にルールを設定したレベル別のフォルダに振り分けるだけで、当該レベルの設定がその端末に自動的に適用され、変更する際にも変更したいIDを別のフォルダに振り分けるだけで新たな設定が適用されます。  技術的ハードルや管理コストは既に問題でないことを鑑みると、現在の六歳から十五歳まで一律の運用でよいのか、それとも年齢や利用状況によってスクリーンタイムの活用で利用できる時間を一定程度制限をしたり、逆に一定のハードルをクリアした場合には、年齢に応じたアプリのインストール権限を委ねるなど、利用できる機能に段階を持たせる方がよいのか、改めて、有識者だけの検討ではなく、当事者の児童生徒、保護者、教員を含めて検討すべきと考えますが、見解を伺います。  以上、壇上での質問を終えます。(拍手) ◎粟井 教育政策部長 私からは、五点のお尋ねに対しまして回答申し上げます。  まず一点目でございます。幼稚園と保育園の目指す方向についてでございます。  幼稚園は、文部科学省が所管する学校教育法上の学校でございまして、保育所は、厚生労働省が所管する児童福祉法上の児童福祉施設となっております。  しかし、全国的に認定こども園への移行が進むなど、教育・保育を一体的に行う施設が増えております。また、平成三十年度施行の幼稚園教育要領、保育所保育指針等では、三歳以上の幼児に対する教育・保育の狙い及び内容の共通化が図られております。  区といたしましては、幼稚園教育要領等の内容を踏まえまして、区内の幼稚園、保育所等の施設ごとの特性や理念など、それぞれの違いやよさは生かしながら、施設の種別にかかわらず、共有すべき基本的な方針の作成などを通じて、乳幼児教育、保育施設全体の教育・保育の質の向上に向けて取り組んでまいります。  続きまして、幼稚園教諭の免許の状況、それから保育士の最終学歴についてお答え申し上げます。  議員お尋ねの区立幼稚園教諭の免許の状況といたしましては、本年九月現在、常勤と短時間再任用を合わせて四十九名のうち、四年制大卒等に授与される一種が八三・六七%、短大卒等に授与される二種は一六・三三%となっております。なお、区立幼稚園教諭には専修の免許保有者はおりません。  また、保育士の最終学歴につきましては、人事課によりますと、本年九月現在、九百三十七名のうち、短大卒が四〇・九八%、四年制大卒が四八・六七%、専門学校卒などが一〇・三五%とのことでございます。  三点目でございます。幼稚園教諭の待遇についてお答え申し上げます。  幼稚園教諭は、教育職員免許法により教育職員とされておりまして、幼稚園教育要領に沿って編成した教育課程に基づき教育活動を実施しております。  教育職員については、勤務時間の内外を問わず包括的に評価した処遇として、特別措置法の規定によりまして、給料の四%に相当する額が教職調整額として支給されております。  また、昭和四十九年に制定された特別措置法により、義務教育諸学校の教育職員について、人材確保の観点から、給与の優遇措置が規定されていることも幼稚園教諭の給与に影響しているところでございます。  区といたしましては、今後の認定こども園制度の動向も見定めながら、乳幼児教育、保育制度全体の見直しに合わせて、幼稚園教諭、保育士等の待遇についても検討してまいりたいと考えております。  四点目でございます。幼保連携型認定こども園の保育教諭の扱いでございます。  幼保連携型認定こども園の保育教諭につきましては、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律により、幼稚園教諭の免許状と保育士資格を併有することが必要とされているところでございますが、同法に規定された経過措置によりまして、令和六年度末までは、いずれか一方の免許状、資格のみでも保育教諭となることのできる特例が認められているところでございます。  区といたしましては、今後の国や都の動向を見定めるとともに、他の自治体の状況なども踏まえながら、経過措置が終了した後の保育教諭の職の在り方について検討してまいりたいと考えております。  最後、五点目になります。学習用タブレットの機能制限に関するお尋ねでございます。  学習用タブレット端末につきましては、児童生徒が学校や家庭で自ら主体的に活用できるよう、先進事例や学識経験者の意見等も踏まえ、使用制限をなるべく少なくする設定としているところでございます。  一方で、保護者を対象に開催したタブレット端末活用に関するオンラインセミナー等におきましても、タブレット端末の設定内容に関して保護者の皆様から様々な意見をいただいておりまして、学年ごとに使える機能を変えていくことも含め、何らかの使用制限を行うべきとの意見もございました。  タブレット端末の本格的な活用を始めてから半年近くが経過しているところでございまして、二学期からはオンライン授業も開始しているところでございます。これまでの利用状況や保護者等の意見も踏まえ、端末のさらなる利活用推進に向けた、よりよい運用の在り方について引き続き検討を重ねてまいりたいと思います。  以上でございます。 ◎池田 総務部長 幼稚園教諭、保育士の給与等について御答弁いたします。  区立幼稚園の教諭と区立保育園の保育士の初任給を同じ大卒で比較いたしますと、幼稚園教諭は十九万四千八百円、保育士が十六万九千六百円となっております。  区立幼稚園の教諭については、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法に基づき、超過勤務手当等を支給しないことに代えて、給料月額の四%に相当する教職調整額を加算する制度となっていることから、各種手当等を含めた実際の支給額の平均で比較しますと、幼稚園の主任教諭の平均が四二・六歳で三十七万一千九百二十四円、保育園の主任の平均が四十六・九歳で三十五万一千三十九円となっております。  以上でございます。 ◎菅井 危機管理部長 私からは、公衆電話の減少につきまして二点御答弁申し上げます。  最初に、事件、事故などの緊急時の公衆電話の利用についてです。  公衆電話につきましては、事件、事故などの緊急時にSOSを発信するツールの一つとして有用性があると認識してございます。公衆電話が減少する一方、お話の携帯電話の普及や、二十四時間営業のコンビニエンスストアなどの増加に加え、子どもの安全に関しまして、緊急避難場所として駆け込める、こどもをまもろう一一〇番の家が区内に約八千か所登録いただいているなど、緊急時に助けを求める手段や駆け込める場所が一定程度増えてきていると考えております。  区といたしましては、区民や事業者による買物、散歩、仕事などをしながら町を見守る、ながら見守り活動の推進などにより、今後も地域とつながりを強化し、助けを求める手段、場所の確保に努めてまいります。  次に、地域BWAの災害時の通信インフラとしての活用についてです。  大規模災害からの速やかな復旧復興に向け、自助共助を進めるためには、区民が相互に連携を取り合うことのできる環境が必要であることから、指定避難所でフリーWi―Fiと特設公衆電話の整備を行っております。また、これまでも区議会で御議論いただいておりますが、指定避難所での地域BWAの活用についても検討を行っているところでございます。
     地域BWA接続用の無線端末を指定避難所に常時保管し、有事の際だけ使用するのではなく、避難所を開設する施設における平常時からの地域BWAの特徴を生かした活用が必要であると考えており、現在、避難所施設への配置の費用対効果を高める手法について事業者と検討を行っており、今後早期の活用に向け、関係所管と連携し検討を急いでまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、公共用地の跡地活用として、第一種公衆電話の跡地利用についてでございます。  区有地における公衆電話につきましては、設置者であるNTT東日本からの設置申請を受けまして、区の許可により、区内公共施設には二十一か所、公園六十四か所、道路四十九か所に設置されております。設置規制の緩和が予定されている第一種公衆電話は、二十四時間利用ができるように、屋外の公道上または公道に面した場所に設置され、比較的人の目につきやすい場所にあることが多く、撤去に伴い一定の活用が見込める場所もあると考えられます。  今後、跡地活用に当たりましては、跡地の面積など場所ごとに条件が異なることから、施設所管との情報共有の上、活用の可能性を検討し、道路、公園の利用に資する本来用途を優先しつつ、民間企業からのリソースの活用に向け提案募集を図るなど、活用方法を検討してまいります。  以上でございます。 ◆三番(そのべせいや 議員) 幼稚園教諭と保育士の待遇、ただそろえてほしいと、そういう話ではなくて、昨年発覚をした区立保育園における保育士の虐待について、先日改めて懲戒処分も発表されたことも記憶に新しいですが、組織の中で自浄できなかったような問題があったことを考えると、保育士、幼稚園教諭、待遇を整理して人事交流が可能となると、より風通しがよくなる、また、お互いの常識が見直されることで、お互いのよい部分が生かされた幼児教育・保育が実施できる、そういったことも期待をしています。小手先で幼保の標準プログラム共通化をして満足するだけではなくて、区としても、根本から制度を見直すことも含めて、教育効果の向上を目指していただきたいと要望して、質問を終えます。 ○下山芳男 議長 以上でそのべせいや議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二番佐藤美樹議員。    〔二番佐藤美樹議員登壇〕(拍手) ◆二番(佐藤美樹 議員) まず、今回策定された世田谷区未来つながるプランについて伺います。  世田谷区未来つながるプランは、現在走っている基本計画の最後の二年――来年、再来年度を次の基本計画策定につなげるとして切り出したものです。コロナ禍の変化を踏まえ、また、変化の加速する中で、まずは近い未来の二年を描き、十年後に終わる基本計画につなげようとしたことは理解しますが、十年後の世田谷をどのようなビジョンで描き、つなげようとしているのか分からないものが交じっているように見受けられます。  その一つが、つながるプランに掲げられた六つの視点の一つであるグリーンリカバリーというものです。グリーンリカバリーについては、国も戦略等を打ち出していますが、ざっくり言うと、ゼロカーボンや気候変動対策といった環境政策とともに、雇用、投資などの経済効果を同時に達成させようとするものです。  六つの視点のほかの五つ、この後に伺う官民連携やDXを含め、ほかの五つについては、現在の政策の延長で描いていると思われますが、グリーンリカバリーについては乖離があり、ただキャッチーな言葉を据えただけにも映ります。  十年前には、スマホがここまで普及していなかったことを思えば、ある意味、十年後を見据えての戦略には、今ないもの、今はないサービスをも含めて考えるプロセスも必要だと考えますが、そのためには、役所の中の発想だけでは限界があります。  例えば、計画策定時の有識者枠に民間企業からも入ってもらうなど、今の区にはない発想、柔軟なアイデアを計画策定に生かしてはと考えますが、見解を伺います。  六つの視点の一つ、官民連携について伺います。  コロナ禍において、苦境を共に乗り切ろうと、様々な企業から区への貢献、連携の申出があったと聞いています。製薬会社による衛生物品の提供や、ワクチン会場への無料送迎などなどです。  特に今回の楽天による職域接種の区民枠の設置は、実績ベースで、二回目枠を含めの数ですが、約七万五千回と、区のワクチン接種計画に寄与しています。  こうしたコロナ禍でできた官民連携について、一過性のものにせず、協定などの形にして次につなげていくことを提案します。事楽天については、DX関連の政策でも何らかメリットが期待できます。コロナ禍を契機としてできた官民連携を次の連携に継続させていくことについて区の見解を伺います。  DXについて伺います。DXについては、今回はボトムアップ、すなわち各現場のアイデアをいかに吸い上げるかについて伺います。  先日、区の非常勤職員の方とDXについての雑談をしている際に、給与明細の話になりました。いまだに区は紙の給与明細なのだが、電子化しないのだろうかと。給与明細について他区はどうなのか見てみたところ、二十三区中、電子化されていないのは品川と当区のみ、ほか二十一区は既に電子化済みでした。  別に給与明細自体に言及するつもりはありませんが、区の各現場で業務に従事する職員の皆さんには、事コロナ禍において臨機応変な対応が増え、DXのアイデアになり得る素地があると見ています。それらを吸い上げ、DXの推進につなげていただきたいですが、区の見解を伺います。  次に、妊娠期からの切れ目のない支援について二点伺います。  先日、区内で、おでかけひろばなど子育て支援の現場に従事する方の話を聞く機会がありました。コロナ禍で地域におけるコミュニケーションが激減する中、どうすれば子育て世帯を孤立させないよう手を打てるかについて話題になったのが、妊婦のときから、おでかけひろばに来てもらえないかというものでした。  おでかけひろばは、主に乳幼児連れの親子の集う場でありますが、ここに妊娠期から来てもらうことで、出産後や乳幼児の子育てにおいて、支援が必要なのにどこにもつながっていないということを防げないかというものです。  おでかけひろばにいる親子連れは、妊婦さんたちからすれば少し先を行っている先輩たちになりますので、出産後に必要となる情報や地域の子育て支援を知る機会にもなります。それには妊娠期から来てもらうような動線をつくる具体的な仕掛けが必要です。  区は妊娠期からの切れ目のない支援、ネウボラの取組の一つとして、妊娠期面接を実施しています。この場を子育て支援の最初の入り口と捉え、おでかけひろばについても、産後だけでなく、妊婦のときに足を運んでもらえるような具体的な取組、例えば妊娠期面接シートに盛り込むなどの工夫を求めます。区の見解を問います。  地域での子育て世代の孤立を防ぐことに関連し、認可保育所の役割についても伺います。  二年連続、待機児童数がゼロになったこと、また、現在、認可保育所などの空き数の増加を受け、区は今後、認可保育所における子育て支援機能の拡充を打ち出しています。  保育の専門的機能を地域の子育て支援に活用していくことは、保育所保育指針においても求められており、地域交流事業や一時保育事業がこれに当たります。  区立認可保育所における一時保育は、現行、子ども家庭支援センターが利用調整をした家庭のみとなっていますが、今後拡充させていくのであれば、理由を問わず預けることのできるほっとステイのような利用枠を提案します。  理由を問わない一時保育に広げることにより、例えば保育士に子育て中の様々な悩みを相談できたり、アドバイスをもらえたりといった場にもなり得、さきに述べた子育て世代の地域での孤立という課題にも寄与します。  一時保育の利用枠拡大に併せ、予約方法についても伺います。  現行、区のホームページでも、子育て応援アプリにおいても、一時保育の予約のための連絡先としては電話番号の記載しかありません。最初のコンタクト手段として、メールアドレスなど電話以外も設けたほうが利用しやすさにつながると考えます。予約方法を含め、一時保育の拡充について見解を問います。  最後に、いじめ防止基本方針について二点伺います。  一昨日、メディア等で報じられた町田市立小学校六年生女児の自殺。タブレット内の書き込みや学校アンケートに記載があったのに対策が不十分だったなど、自殺に至る前になぜ手が打てなかったのか、心が痛みます。  今回、区が示した、いじめ防止基本方針では、いじめとなる手前、子どもたちの小さなトラブル、小さな芽の段階で、いかに早く認知し、対応するかというところに主軸が置かれており、その方向性には基本、賛成をしています。  しかし、そうした早い段階の認知や対策委員会等だけでなく、キャッチされたものを上げやすくする仕組みも必要と考え、以下二点提案します。  一つ目は、二学期の分散登校で、子どもたちにも使用が始まったタブレット内にあるチームズというアプリの活用です。チームズを教員間でのいじめについての問題提起、情報共有に用いてはと考えます。  二つ目は、いじめの認知について、教員だけでなく、子どもたち、あるいは保護者、あるいは地域からも広く声を吸い上げるための工夫です。例えば校長、副校長先生に直接声を届けられるような目安箱的なものの設置や、また、年一回の頻度で実施している学校関係者アンケートも情報源として活用してはと考えます。  学校関係者アンケートについては、現行、紙ベース、一応こちら、当区の小学校から現物をお借りしてきたんですが、こうした紙で何枚かにわたるアンケートになっています。こちらのものでは匿名性が、現在、担保されていません。  いじめについての意見を吸い上げるのであれば、グーグルフォームなど、電子化をし、自由記載欄に書きやすくすることが必要です。紙ベース、手書きでのアンケートは匿名性が担保されないだけでなく、大量の紙を仕分けする学校現場、記載する保護者と、誰にとっても負担なので、電子化を併せて求めます。区の見解を問います。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎加賀谷 政策経営部長 私から二点御答弁いたします。  初めに、未来つながるプランについて、グリーンリカバリーに関してでございます。  新型コロナウイルス感染症の拡大や気候変動により頻発化、激甚化する自然災害、温暖化の進行等、地球環境の悪化は世界共通の課題でございます。また、区におきまして、未来を担う年少人口の減少が見込まれ、地域での共助の力の衰退が懸念されるなど、持続可能な地域社会を維持する上で課題は山積してございます。  社会環境が大きく変化する中で策定する今回の実施計画ですが、その先にあるべき世田谷の将来像を描きながら、進むべき未来のための着実に取り組むものを示す計画であると捉えてございます。  グリーンリカバリーでございますが、コロナ禍からの復興に当たり、地球温暖化の防止や生物多様性の保全を実現し、新しい持続可能な社会を築く考え方でございます。  SDGsの目標年次である十年後を見据え、六つの視点で示しているカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー等の取組を進め、地域経済の発展と社会的課題の解決の両立を目指しているものでございます。そのためには、区内外の様々な知見や取組、世界の潮流等をしっかり捉えることが必要です。  次期基本計画の策定に当たりましては、専門家の知見に加え、官民連携による民間の発想も取り入れながら検討し、コロナ後の新たな世田谷を切り開いてまいります。  次に、官民連携による取組の中で、協定の形にするなど、さらなる連携をということでございます。  民間企業との連携としましては、この間、大塚製薬株式会社からの自宅療養者向け飲料水、栄養調整食品の提供、ウーバージャパン株式会社からの集団接種会場までの高齢者向け移動支援など、連携した取組が実施できたところでございます。こうした民間との連携協働は、今後の区政課題の解決においても必要不可欠だと認識してございます。  また、お話ありました楽天グループ株式会社による区民向けワクチン接種につきましては、同社が持つ資源を最大限に活用させていただくことで、区民要望に応える接種加速につながったものと考えております。  御案内のとおり、区内に本社を置き、様々な分野において最先端のグローバル企業である楽天グループですが、社会的課題を解決する上でも重要かつ革新的なパートナーであると認識しております。今回の取組を契機としまして、区が抱える様々な課題に対して、楽天グループが持つ強みを取り入れた効果的な官民連携の幅広い取組に向けて、可能性を検討してまいります。  引き続き幅広い民間との連携協力に向けて、最新の情報の周知と併せて庁内に働きかけを行い、協定締結の可能性も視野に連携実績を積み重ね、持続可能な信頼関係の構築に努めてまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 デジタル改革担当部長 デジタル技術を活用した職員の経験、アイデアを生かす取組について御答弁いたします。  コロナ禍により、各職場におきまして職員が創意工夫を凝らしながら、電子申請の拡充やオンライン会議の実施など、できるところから取り組んでいる状況にございます。  こうした経験の積み重ねによる成功もしくは失敗体験を含め、デジタル技術を活用した次の新たなアイデアを生み出す土壌となることが期待され、従来の業務の進め方を前提とせず、事務フロー等の抜本的な見直し等につなげていきたいと考えております。  一方、現状ですが、例えば事務用のパソコンからインターネット環境への接続に一定の制約があるなど、職員のアイデア等を即座に実現するには、解決しなければならない環境の課題もございます。まずは職員のアイデアや能力を最大限発揮できる情報基盤について、セキュリティーガイドライン等を踏まえた環境整備を進め、大胆な事務改善をデザインできる人材育成を図り、ますます多様化する区民ニーズの変化を的確に捉え、即時性を持って対応できる体制の構築を目指してまいります。  以上でございます。 ◎柳澤 子ども・若者部長 私からは、妊娠期から切れ目のない子育て支援のうち、妊娠期からおでかけひろばにつながっていただく取組について御答弁申し上げます。  おでかけひろばは、妊娠期の子育てに関する悩み事の相談支援などを実施し、子育て家庭の孤立を防ぐ役割もあり、妊娠期からおでかけひろばへ出向いていただくことで、その後の支援につながっていくと認識しております。  区ではこれまで、妊娠期面接での案内や、区の関係所管をはじめ、医師会、薬剤師会などへパンフレットの配布を依頼するなどして、妊娠期からの利用普及も含め、おでかけひろばの周知に努めてまいりました。  コロナ禍においては、感染対策を十分に行った上で、従来とは異なる運営を続けているところですが、長引く自粛要請により、子育て家庭や、これから子育てをする家庭が地域とつながる機会が減り、孤立感を感じる家庭があることは区としても認識しております。  今後は、新型コロナウイルスの感染拡大状況を見据えつつ、妊娠期面接プランシートを活用した周知や、せたがや子育て応援アプリを活用し、プッシュ通知により、妊娠期からおでかけひろばの利用を促す取組に加え、より妊婦さんの目に触れる周知方法を検討するなど、関係所管と連携しながら、妊娠期からのおでかけひろばの利用につながるよう努めてまいります。  以上でございます。 ◎和田 保育部長 私からは、一時保育の拡充について、理由を問わない一時預かり及び、これまで利用していない人が簡単にアクセスできる工夫について御答弁いたします。  現在、一時保育事業は、就労や通院、看護などの要件に該当する方を対象として実施していますが、このたびお示ししました今後の保育施策の取組方針において、保育施設による地域の子育て家庭への支援を拡充するため、一時保育事業の利用条件の緩和を進めていくこととしています。  今年度後半より、ひろば事業を活用した理由を問わない預かり、いわゆるほっとステイを、一部の区立保育園のひろば事業において実施することや、利用条件を緩和した一時保育について、モデル園を定め、試行的に実施していくことを検討しております。この試行を踏まえ、今後、私立保育園も含め取組を進めていきたいと考えております。  保育園が専門性やノウハウを生かしながら、地域の子育て支援を充実させていくために、一時保育事業の拡充を行いますが、誰もが利用しやすい事業となるよう、ホームページ等の掲載や問合せ方法についても、一時保育事業を行っている運営事業者の意見なども聞きながら検討してまいります。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、いじめ対策方針につきまして二点御答弁申し上げます。  まず一点目は、チームズを活用した、いじめの情報の共有についてでございます。  いじめの対応におきましては、教員が児童生徒のささいな変化を敏感に捉え、早期に対応していくことが重要であると考えております。また、各学校では、朝及び夕方の打合せであったり、生活指導部会等で、いじめを含めた子どもの情報を共有しており、適宜対応しているところでございます。  議員御指摘のとおり、教員間で、より迅速に情報共有を行うためにも、チームズを活用することは有効であると考えております。今後は、校務でもICT機器を積極的に活用することで、教員が一堂に集まる会議の場にこだわらず、効率よく教員間で児童生徒の様子を情報共有することで、いじめの早期発見、解決に努めてまいります。  もう一つのお尋ねでございます。児童生徒や保護者の声を聞くための目安箱的なものの設置についてのお尋ねでございます。  いじめの対策におきましては、校長、副校長を含めた学校全体でチームとして取り組むことが重要でございます。各学校におきましては、子どもたちが教員やスクールカウンセラー等に気軽に相談できるよう、学校だよりや教育相談だよりなどで周知しながら、児童生徒が問題を独りで抱え込まない環境づくりを進めているところでございます。  また、校長、副校長を含めた教員の中から、自分で話をしたい先生に相談することのできる相談週間を設けている学校もございます。  目安箱の設置や学校評価アンケートの電子化などによりまして、学校全体に加えて、保護者や地域からの声が届きやすい体制充実の検討を行ってまいります。  以上でございます。 ◆二番(佐藤美樹 議員) 一点、いじめ対策について、教育長に再質問させていただきます。  教育長は、校長など学校現場での経験をお持ちでいらっしゃいますので、私は先ほどいろいろ様々な提案をさせていただきましたけれども、そうした現場経験を踏まえて、今の子どもたちのいじめ対策について何が最も重要であると考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。 ◎渡部 教育長 再質問にお答えします。  私は、教育者として一番大切な視点は、いじめはあってはならないことを、子ども、教職員、保護者が強く意識することであり、子どもにとっては、加害者にも、傍観者にも、そして被害者にもならない、なってはいけないということを理解させることであり、さらには、教職員は、いじめは誰にでも、いつでも起こり得ることを認識し、常に子どもに寄り添い、学校全体で迅速に把握できる学校風土を醸成し、学校全体の感度を上げていくことが、最重要な視点であると考えます。多くの目で子どもを見守り、子どもの情報が共有され、様々な方法を試み、いじめを決して許さない学校となるよう、教育委員会を挙げて取り組んでまいります。  以上でございます。 ◆二番(佐藤美樹 議員) 以上で終わります。 ○下山芳男 議長 以上で佐藤美樹議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後三時二十七分休憩    ──────────────────     午後三時四十分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 この際、議事の都合により、本日の会議時間をあらかじめ延長いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 一般質問を続けます。  七番くりはら博之議員。
       〔七番くりはら博之議員登壇〕(拍手) ◆七番(くりはら博之 議員) 通告に従い、一般質問を行います。  私は、令和元年第二回定例会及び第三回定例会の一般質問において、区のNHKとの契約状況について、令和元年度及び平成三十年度の契約金額、衛星契約の妥当性についてお尋ねいたしました。  また、NHKの訪問員による強引な勧誘等の実態把握をしているか、今後の被害把握にどう努めていくか、被害防止に向けどのように取り組んでいくかもお聞きいたしました。  あれから二年が経過し、この間、NHKは令和元年度で約七千百十五億円、令和二年度で約六千九百七十四億円の受信料収入を得ております。  平成三十一年四月一日時点において、区が管理する施設等の受信機を対象としたNHKとの受信契約件数は、地上契約が六百二十六件、衛星契約が四十件であり、設置台数と同数となっている旨の答弁を賜りました。  また、令和元年度、平成三十年度ともに、NHKとの受信契約金額はおよそ七百二十万円である旨の答弁も賜りました。  そして、衛星契約四十件は、どの施設で、どのような目的で契約をしているのか、その衛星契約四十件について実際に見ているのかどうかを調査し、見ていないのであれば速やかに解約するべきで、早急な実態調査をされたいと質問をいたしました。  それに対して、区の衛星契約の主な部署をお答えいただきましたとともに、各部署に必要性を改めて検討することは大変重要であり、全庁に対して見直しに向けた調査を実施しており、真に必要かどうかを精査していく旨の答弁をいただきました。四十件あったNHKとの衛星契約はどのように見直されたのでしょうか。  ここで質問いたします。今年度の区のNHKとの契約状況についてお伺いいたします。地上契約数、衛星契約数、受信機台数をお答えください。あわせて、NHKとの契約金額もお伺いいたします。  世田谷区の消費生活相談では、平成三十一年・令和元年度で、NHKに関する相談は約四十件で、そのうち女性からの相談はおおむね半数、六十五歳以上の高齢者は約三割とお聞きいたしました。  また、区民の方が不安を感じたときは迷わず消費生活センターに相談していただくことができるよう、ホームページの事例集に訪問員に関するトラブルの事例を追加する旨の答弁を賜っております。  ここで伺いますが、NHK訪問員に対する苦情、強引な勧誘等の相談はどれくらい寄せられているのでしょうか。NHK訪問員の勧誘トラブルについて区の対応がどうなっているかをお尋ねいたします。  次に、NHKの訪問集金活動が弁護士法第七十二条に違反しているという立場から質問をいたします。  まず、昨年十一月六日に、私が所属しているNHKと裁判してる党(弁護士法七十二条違反で)に所属の浜田聡参議院議員が参議院に提出した質問主意書の本文を朗読いたします。  日本放送協会は、協会への放送受信料支払いなどの金銭債権の回収を、当事者でない委託業者に戸別訪問によって行わせている。NHKから国民を守る党のコールセンターや所属議員、関係者の下には、この委託業者が戸別訪問の際に、放送受信料の収納業務、いわゆる債権回収関連業務を行っているとの報告が多数寄せられている。こういった債権回収関連業務にもし制限がないとすると、無資格者が法律事務の取扱いをできることになり、いわゆる反社会的勢力が債権回収関連業務を受託することにもなりかねないため、債権回収関連業務を取り扱うことのできる者に制限をかける法律として弁護士法が存在すると承知している。その中でも、弁護士法第七十二条には、弁護士または弁護士法人以外の者は、報酬を得る目的で法律事務の取扱いや、周旋をすることをなりわいとすることができない旨の記載がある。弁護士法違反は犯罪であり、弁護士法違反においてなされた契約は無効となるだけでなく、弁護法違反を犯した者に二年以下の懲役または三百万円以下の罰金という重い罰則がある。弁護士でもなく弁護士法人でもない、協会の委託業者が戸別訪問をして債権回収関連業務を行うことが弁護士法第七十二条に抵触すると考えている。  以上が浜田参議院議員の質問ですが、この問題は、まず国会に任せ、私からは、悪質な訪問集金活動によって被害を受けている方の相談窓口である消費者ホットライン一八八、いややの周知徹底について伺います。  NHKの訪問集金活動だけでなく、最近は新型コロナウイルス感染症に便乗した詐欺や架空請求、お年寄りなど社会的弱者を狙った悪質な訪問販売、インターネットサイトでのトラブルなど、消費者が困惑する場面が多くあります。  それを受けて、国民生活センターが、誰もがアクセスしやすい相談窓口として開設しているもので、ダイヤルすると、最も身近な消費生活相談窓口を案内し、日曜、祝日には国民生活センターにつながることになっています。  この消費者ホットライン一八八、いややの区民への周知徹底について、区の対応をお聞きいたします。  以上で壇上からの質問を終わりにいたします。(拍手) ◎佐藤 庁舎整備担当部長 私からは、区のNHKとの受信契約の状況について御答弁いたします。  令和三年度のNHKとの契約件数につきましては、地上放送のみ受信できる地上契約が六百四十四件、衛星放送も受信できる衛星契約が二十六件であり、受信機台数は、これらの合計と同数の六百七十台でございます。  このうち衛星契約につきましては、受信目的を精査した結果、令和元年度の四十件に対し十四件の減となりました。この地上契約と比較して料金の高い衛星契約の減少等の影響により、令和三年度のNHKとの契約金額につきましては、令和元年度の約七百二十万円に対し約四十万円減の約六百八十万円となっております。  以上でございます。 ◎田中 経済産業部長 私からは、三点御答弁いたします。  まず、NHK関連の相談件数です。令和二年度の消費生活相談件数は七千三百三十件、そのうちNHKに関する相談は十九件でした。受信契約の考え方や解約に関する相談が多くを占め、コロナ禍でもあり、訪問員の勧誘方法等に関する相談は二件でした。今年度は、これまで一件です。  次に、相談者への対応についてです。契約や支払いについての根拠を説明するとともに、営業センターへの相談なども御案内しております。また、引き続き区のホームページには、訪問員の対応等について不安に感じたときには、消費生活センターに御相談くださいと御案内しております。今後も相談者に寄り添った丁寧な対応をしてまいります。  次に、一八八、いややの周知です。消費者ホットライン一八八、いややについては、区ホームページでの周知のほか、ポスターの掲示や消費生活センターだよりをはじめとした各種消費者向け啓発冊子、物品等を町会・自治会回覧や区施設、金融機関、スーパーマーケットなどで配布を行うことにより広く周知をしています。  また、高齢者の方へは、あんしんすこやかセンター、民生委員、福祉関係をはじめとした民間事業者などを構成員とした見守りネットワークである消費者安全確保地域協議会を通じ、相談先として御案内しております。小中学生には小冊子の配布、若年層にはリーフレットやチラシを活用して、大学、専門学校、児童館、図書館において周知をしています。  今後も区の消費生活センターの周知と併せ、消費者ホットライン一八八、いややの区民へのさらなる普及啓発を図ってまいります。  私からは以上です。 ◆七番(くりはら博之 議員) 御答弁ありがとうございました。まず、NHKの受信料契約についての状況は分かりました。また、消費者ホットライン一八八、いややのほうは、コロナ禍でも待ったなしの相談であるとのことです。コロナ禍の中、大変かと思いますが、世田谷区民のために、今後とも変わらぬ御支援をお願い申し上げ、私からの一般質問を終了いたします。 ○下山芳男 議長 以上でくりはら博之議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、二十一番いそだ久美子議員。    〔二十一番いそだ久美子議員登壇〕(拍手) ◆二十一番(いそだ久美子 議員) 通告に従い、質問いたします。  ワクチン接種予約に関し、システムと運用の改善について質問します。  高齢者より順次開始された新型コロナワクチン接種は、予約電話殺到の混乱から始まり、インターネット予約については、高齢者の代行をまちづくりセンターで行ったり、接種券が届いても予約が埋まっていて働く世代が打てないという声もありました。  八月以降は、狛江市などのワクチン提供をいただいたり、区が運用改善により予約枠を拡大し、ようやく高齢者以外の世代も順調に進みつつあります。  九月後半以降では、平日昼間、日曜日、駅から遠い接種会場などの枠は数十レベルで空いている例もあり、今後は区側が区民の事情に合わせ、受けやすい予約枠の設定、運用方法に改善していく必要があります。  例えば、接種が早く進んでいる事例とされた墨田区にお聞きしたところ、六月下旬からスカイツリー会場にて十八時から二十時で一日六百人に接種、これは二回目の予約が仕事の都合などで取れずにいる、いわゆる二回目難民の受皿になっています。区でも働く世代の都合に合わせ、遅い時間の接種枠を拡大できないでしょうか。  また、十二歳から十九歳の接種率が、本日見たところ、まだ一五%。例えば接種会場の地区会館などで平日昼間空いている場合は、近隣の小中高校生徒や保護者に積極的に広報してはいかがでしょうか。十代が接種しやすい配慮及び空き時間枠の消化策を伺います。  二回目予約、妊婦などの優先電話予約について、それぞれ電話がつながらないという声が多くありました。電話予約に時間を奪われることは労働生産性を下げ、妊婦がいらいらすれば胎教にも悪いです。電話かけは諦め、インターネットで普通に予約したという人も多く、これでは優先予約枠は機能していません。  江東区では、妊婦はインターネットで予約する方式ですが、今後見込まれる他の優先条件、例えば受験や就活を控えた学年の生徒、また、新たに重症化リスクが報告されるかもしれない特定疾患の方など、優先枠はインターネットで予約できるようにするのが望ましいですが、そのようなシステム改修は可能でしょうか。  先々三回目という話もありますが、初回の電話予約殺到の混乱から、高齢者にはあらかじめ日時、場所を指定してくれた方がよかったという御意見を多く頂戴しました。新潟県上越市などで実施例がありますので、調べてみて、三回目に導入を検討するのも一法かと思います。  これら年齢別接種の希望時間帯など市場動向については、LINEや接種後の十五分待機時間にアンケートをするなど、意見聴取して運用に反映させるべきと考えますが、そのような調査をしていますか、また検討していただけるか、お伺いします。  次は、保健センターの健診の受診率向上と機能拡大についてです。  保健センターが大幅にリニューアルし、最新設備を備え、駅からも近い健診施設となったにもかかわらず、健康度測定受診者は、令和元年に千三百三十七人だったのが、令和二年には五百二十一人と、落ち込みが激しくなっています。  日本対がん協会の発表によれば、がん検診に関しては、二〇二〇年のがん検診は前年比三〇%減、コロナ禍の影響もあるかもですが、一万人以上のがんの見逃しの可能性があると警鐘を鳴らしています。  当区は都心と違い、大規模病院が少ないので、そのレベルに匹敵する健診施設の必要があって造ったはずなのですが、ホームページは以前のままですし、多くの区民が新しい施設になったことを認識できていないのではと感じます。  民間の健診センターでは、メディアを使って検査設備の充実ぶり、施設の快適さなどをアピールしており、区も広報、周知活動をしないと、受診者獲得競争に勝てないことはもちろん、コロナ禍の受診控えから脱却できません。  以前、区は世田谷ライフとタイアップして、鉄道沿線別飲食店の特集を組んでいましたが、このように特定健診やがん検診ができる医療機関の紹介なども、これぐらい踏み込んだ広報宣伝が必要と考えます。現在どのような広報、周知活動を行っているか伺います。  保険診療による検査事業は、周辺医療機関と提携し、委託検査を受けていくことは、稼働率を上げるキーにもなります。令和二年度は、MRI、CTだけ見ても、事業計画達成率は六二%、伸び代が多くある状態ですが、現在どのようなアプローチ、医療機関との提携をしていますでしょうか。  例えば胸部CT検査は、コロナ疑い患者の診断に有効とされていますが、区の保健センターは、コロナ疑い患者の検査は、感染防止のため受けていないということです。人の命に関わることですし、時間で区切るなどして工夫はできないでしょうか。  健診施設は最初が肝心です。一度受診して、よい施設だと思えば、受診者はリピーターになり、健康管理の意識も高まります。また、高度医療機器は、導入した以上、フル稼働を目指さないと宝の持ち腐れになり、検査技師の習熟度向上にも関わってきます。さらなる広報活動、経営の強化を求めます。  最後に、旧池尻中学校跡地活用について質問いたします。  旧池尻中学校校舎を利用した、ものづくり学校については、本来目的である区内創業者支援については、十六年間で三十三事業者、成功したとは言い難い状況です。運営事業者が取材誘致に尽力したおかげで、ものづくり学校の知名度は急上昇したものの、その名称は、運営事業者が商標登録し、区が自由に使えなくなったことは以前指摘しました。  同事業者は、三条市と隠岐の島にもものづくり学校を展開し、隠岐の島に関しては、運営事業者の設定する賃貸料が高過ぎると町が判断し、契約解除して、二〇一七年より自治体直営に変更しています。  創業支援の難しさはもとより、民間事業者に公有の土地建物を活用させることの問題点を浮き彫りにしたこの事案、次は校舎に校庭、体育館を加えた拡大運営事業を企画しているということには驚いております。  次はKPIを設定し、評価委員会を置くということですが、費用構造、サウンディング調査を踏まえた事業内容は評価しないのでしょうか。評価委員会の概要とスタート時期をお伺いします。  校庭については、隣の池尻小の校庭を芝生化するに当たり、年間三か月を要する養生期には、旧池尻中の校庭で体育の授業を行うなど、補完措置によって芝と土の校庭が保たれてきました。  また、旧池尻中の校庭は、池尻小のクラブ活動などにも週に数日使用中で、保護者からも継続使用の要望が出ております。  第二回定例会にて、他会派からこの点について質問が出た際、代替地を検討するとの答弁でしたが、学校教育、子どもの運動の場として活用している場所を取り上げて民間活用する必要性があるんでしょうか。  代替地を用意するとして、子どもを移動させるリスクは生じますし、では、池尻小の校庭を芝から土に戻して使うとなれば、みどり33達成の観点からはマイナスとなります。  最低限、現在の授業やクラブ活動の時間枠を保った上で、隙間時間を民間活用に回すのが妥当と考えますが、区の見解を伺います。  体育館については、現在けやきネットで見られる時期は全て埋まっているほど利用率が高いほか、今後の優先課題として、この夏、三千人を超えた新型コロナ自宅療養者を収容する臨時医療施設や酸素ステーションへの転用が想定されます。そのようなときにすぐ区が使えるのでしょうか。一度民間に貸し出してしまうと、区のマネジメントが容易に効かなくなることは、私たちはものづくり学校の十六年間で学んだのではないでしょうか。  体育館については、現在の利用度の高さから見ても、緊急時の避難所や医療用転用の可能性を鑑みても、区の運営下に置くのが適切と考えます。区の見解を問います。  区民が使用中の校庭、体育館を全て民間活用できる前提でつくった企画案は、都度、見直しの必要が出てくるかもしれません。本事案に関しては、前回の反省を踏まえ、民間活用の必要性と成果を定期的に確認しつつ、慎重に進めていただくことを要望して、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎久末 住民接種担当部長 私からは、新型コロナワクチン接種に関して三点御答弁申し上げます。  初めに、遅い時間の接種枠の拡大と、十代が利用しやすい配慮についてです。  現在の接種状況を見ると、今月末には十二歳以上区民の約七割の方が二回接種を終えることができると推測しておりますが、本日九月十六日現在で見ると、二十代の約三〇%、十代の約一五%程度の方が二回接種を終えている状態で、他の世代と比べても接種率が低い状況です。  現在、区では、集団接種会場や医療機関で予約することができる枠が、週末や夜間も含め多く残っており、予約ができないといった状況ではありません。今後は、このような情報を、学生など十代の方がよく利用する図書館等の区の施設などでも積極的な広報に努め、接種率の向上と空き枠の解消を進めるほか、下北沢や三軒茶屋などの利便性がよく、若者や働く世代が集まる場所での利用しやすい夜間帯の設定を行うなど、若者が接種しやすい会場づくりに取り組んでまいります。  次に、妊婦等の優先枠のインターネット予約についてです。  現行の区の予約システムは、優先予約を受け付ける機能を備えておらず、例えば現在、保健医療福祉総合プラザうめとぴあで実施をしている障害者専用枠は、予約サイトの施設名の横に障害者専用という文言を表示することで、障害者の方を対象にした予約を受け付けております。  インターネット予約は、時間帯を問わず予約できるというメリットがある一方で、対象外の方が予約をする可能性もあり、全会場で実施している二回目専用予約や妊婦の優先予約については、予約枠の管理の面からも、コールセンターで受け付けております。  区の予約システムは、全国の多数の自治体も利用しているので、システム改修は、改善要望の多いものから実施されております。今後、御提案の趣旨を踏まえ、システム改修の要望も視野に入れながら、予約システムとコールセンター双方のメリットを生かした改善に取り組んでまいります。  最後に、区民からの意見の反映についてです。  各年代の希望に応じた接種枠の設定など、誰もが接種を受けやすい環境を整えることは、今後、接種の需要を掘り起こしていく上で重要であると考えております。  予約者が若年層に移るに従い、週末や遅い時間の予約枠が先行して埋まる傾向が見られるなど、現在も予約状況を基にした分析を行っており、今後の接種体制の検討材料としているところです。  今後、より一層接種のしやすい環境整備に向け、区民意見に基づく改善は有効であると考えており、日々寄せられる区民の声はもとより、御提案のウェブを通じた調査や、接種を受けた方から直接意見を聞くなど、多様な意見聴取の手法を検討し、きめ細かい運用の改善に生かしてまいります。  以上です。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、受診率向上に向けた保健センターの広報周知活動についてお答えいたします。  保健センターが移転した際には、「区のおしらせ せたがや」や新聞折り込みで、保健センターが配布している広報誌「げんき人」において特集を組み、その後も「げんき人」の年四回の発行の中で、保健センターの事業を案内する等の周知を行っております。  また、区の広報板のポスター掲示、エフエム世田谷で、うめとぴあ移転と事業の案内も実施をしております。  受診控えへの対応といたしましては、例えば、がん検診では、国保の特定健診等の受診票送付時に、医療機関で実施するものも含めたがん検診の案内を同封するとともに、胃・乳・子宮がん検診につきましては、受診対象者へ個別勧奨を実施しております。  これら広報紙や個別の受診勧奨に加え、議員御指摘のような新たな手法による保健センターのアピールも有用であると認識をしております。今後、より多くの区民の方々の受診に向けて、保健センターや関係所管と連携し、勧奨方法、周知方法やホームページ等について検討をしてまいります。  以上です。 ◎澁田 保健福祉政策部長 私からは、保健センターの健診事業の周知と稼働率の向上についてお答えいたします。  CTやMRIなどの高度医療機器を活用した検査や健診は、地域医療の後方支援機能として保健センターの重要な役割であると認識しております。稼働率向上に向けたアプローチといたしましては、医師会報に定期的な案内を掲載いただくとともに、保健センターの近隣になります、北沢地域になりますが、こちらのほうの医療機関に御利用をいただけるよう、導入した機器のPRをはじめとする施設利用に向けました営業活動を保健センターにおいて進めているところでございます。  また、新型コロナウイルス感染症が疑われる方に対するCT検査の実施についてでございますが、保健医療福祉総合プラザは、新型コロナウイルスのワクチン接種会場としても利用されておりまして、複合施設でもあることから、一般来所される方と検査を受けに来られる方との動線を分けることが現時点では難しいものと考えております。御指摘の点を踏まえまして保健センターとも協議し、各施設の運用時間を調整するなど、方策を検討してまいります。  以上でございます。 ◎田中 経済産業部長 私からは、旧池尻中関連三点、まず評価について御答弁いたします。  費用構造や事業提案の評価につきましては、今後実施予定の募集要項を定める際の重要な項目となります。この募集要項を定める際に、まず、第三者を交えた選定委員会により評価項目を定め、それに沿って選定を進めたいと考えております。また、運営開始後の事業評価に関しましては、事業者決定後に評価委員会によるKPI指標及びその他の評価項目を設定し、それに基づく評価を年一回程度開催したいと考えています。評価委員会の具体のメンバー構成や規模等は今後検討を進めてまいります。  次に、校庭についてです。  平成十六年の開校以来、今年で十七年目となる現在の世田谷ものづくり学校は、当時はまだ珍しかった廃校活用の先駆けとして大きな役割を果たした一方で、近年では、中で何をやっているか分からず、入りづらいとの声も上がっております。起業創業の裾野を広げ、地域産業の活性化につなげるには、あらゆる区民や事業者が気軽に訪れ、交流できる、地域に開かれた校庭、空間の整備が重要であると考えております。本年七月に実施したサウンディング型市場調査では、校庭と体育館を新たに活用することで、入居事業者や関係企業等との交流、事業連携、先端技術などの社会実証の場として有効性があるという意見も多くいただいております。御指摘の校庭の利用方法については、本年六月に実施した住民説明会や、体育館の利用実態や教育委員会との協議を通じ、課題として認識しております。過去の学校跡地活用事例等を参考に、地域活動団体の代替地の活用も含め、活動が継続できるよう、引き続き検討を進めてまいります。  次に、体育館についてです。  現在の池尻小学校第二体育館は、災害時の医療救護所に指定されており、その機能を維持させることは重要であると認識しております。体育館の具体の活用方法につきましては、今後も引き続き、区民、議会、区内事業者など様々な方の意見を踏まえ、検討を進めてまいります。お話の非常時の対応については、必要な体制を取れるよう、併せて検討を進めてまいります。  私からは以上です。
    ◆二十一番(いそだ久美子 議員) おのおの御答弁ありがとうございます。旧池尻中学校跡地活用の評価委員会について再質問いたします。  委員会報告でお聞きしたことと合わせますと、学識経験者らがメンバーで、年一回の開催となるようですが、本事業が地域との交流や子どもの教育の場を基本コンセプトとしているならば、一年に一遍会う有識者だけでなく、地元自治会・町会の方や、隣接地で関わりの深い池尻小PTAなども評価委員に入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎田中 経済産業部長 再質問にお答えします。  評価委員会というのは非常に重要な役割であると認識しております。御指摘の点も踏まえ、様々な角度で、どういった委員構成にするかどうかというのを検討を進めてまいります。  以上です。 ◆二十一番(いそだ久美子 議員) ありがとうございます。ぜひ検討を進めてください。  本日の全ての課題において言えることですが、区民の声をもっと施策に取り入れ、改善していくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上でいそだ久美子議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、四十六番桃野芳文議員。    〔四十六番桃野芳文議員登壇〕(拍手) ◆四十六番(桃野芳文 議員) 質問通告に基づき質問します。  ウイルスや細菌は人類誕生以前から存在しており、人類は誕生の瞬間から、それらとの闘いを始めたと言われます。例えば天然痘は、紀元前より、伝染力が強く死に至る疫病として恐れられていましたが、ワクチンの普及によりその発生数は減少、一九八〇年、WHOは天然痘の世界根絶宣言をしました。天然痘は人類が根絶した唯一の感染症と言われます。  我が国で天然痘と闘い、ワクチン、すなわち種痘の普及に生涯をささげた人物が文化六年、一八〇九年、福井に生まれた笠原良策です。吉村昭の小説、雪の花で描かれていますが、当時の人々は、種痘を妖術のように捉え、良策を迫害しました。良策は状況を打開しようと、藩の役人に対し、種痘は決していかがわしいものではない、子どもを持つ親に進んで種痘を受けるよう命じてほしいと求めますが、役人たちは、積極的な態度を取れば自身に何らか災いが降りかかるのではないかと恐れ、行動しません。人々は良策による療法を拒み、死者は出続けました。  やがて良策の決死の行動が種痘の普及につながっていくのですが、私は、このエピソードから当時の市井の人々を責める気持ちにはなりません。時代を考慮すれば、種痘、つまりワクチンを理解できず、怪しいものだと考えても不思議ではないでしょう。ゆえに公共部門、当時であれば藩と民との丁寧なコミュニケーションが必要であったのです。  さて、世田谷区において、コロナ対策に関する区と区民とのコミュニケーションは十分でしょうか。九月十六日時点、区のサイトで示されている区民のワクチン二回接種済み割合は五一・二%です。  一方、ワクチン接種が先行した国では、接種率が七割程度で頭打ちになる七割の壁が見られると報道されています。日本も、そして我が区も例外ではないでしょう。区は、さしたる理由なく接種しない方、接種は様子見という方と積極的にコミュニケーションを取るべきではないでしょうか。  具体的には、ワクチンを接種する場合、しない場合のメリットとデメリットについて、公的に裏打ちされた情報を伝え、理解を深めてもらうのです。  ワクチンは人口削減のための陰謀だ、などのデマも流布しています。誤った情報に基づく判断で接種しない方もいるでしょう。デマを打ち消すための情報発信に努めることも必要です。見解を伺います。  マスクについても同様です。厚労省は、素材別の効果の違いや、正しいつけ方を示していますが、こうした情報を基に、区民によりよいマスクの使い方を繰り返し発信し、また、区職員はその内容を実践すべきだと考えます。見解を伺います。  区は、ワクチン接種は強制ではないと強調していますが、厚労省が、強制ではないが、接種に御協力をしていただきたいという趣旨から努力義務としていることには触れていません。区も区民に対し、強制ではないが、接種に御協力をしていただきたいという趣旨の努力義務と呼びかけるべきだと考えます。見解を伺います。  次に、ワクチン接種体制の拡充についてです。  全国的に若年層のコロナワクチン接種率は低い傾向です。九月十六日時点、区のサイトで示されているワクチンを二回接種した割合は、六十五歳以上が八八・四%、二十代は三〇・四%、十二歳から十九歳は一五・四%です。  葛飾区、江戸川区、文京区、江東区などでは、若者向けの優先接種枠を設けています。足立区では、十六歳以上が予約なしで接種できる仕組みが始まります。  世田谷区はどうでしょうか。区長は八月二十九日のツイッターで、東京都が設置した若者向け、予約なしの接種会場が初日に混乱したことを痛烈に批判しています。いわく「実務に不慣れな東京都が『予約なし』と打ち上げたパフォーマンスが『小規模接種』で、大規模行列という結果となった。東京都は不得意なワクチン接種から徹底し、接種能力はあるがワクチンの足りない各区の現場にまかせるべきだろう。東京都は、生命を救う臨時仮設病床の設置に全力をあげるべきだ。」引用、以上です。「徹底し」は「撤退し」の誤りでしょう。  さておき、都の若者の接種促進という視点はよかったと思います。区長は、さきの招集挨拶で、二十代、三十代の感染は急上昇と述べる一方で、今後は若い世代に接種申込みをしていただける工夫を凝らしていこうと考えていますと、いつもどおり悠長な構えです。都に、現場に任せろと言いながら、若者の接種促進について、いまだ何もしていません。  他区では既に取組が始まっています。世田谷区立小中学校の通常登校も始まりました。子ども、若者が優先接種できる仕組みを急ぎ導入すべきです。見解を伺います。  接種予約について聞きます。区のネット予約を見ると、十月の日曜日に予約可能枠がありません。衆議院選の日程に配慮したそうですが、理由も、今後予約可能になるタイミングも示さず、単に予約不可としていれば、区民は、十月の週末は予約でいっぱいなのだと勘違いしてしまいます。周知方法を改めるべきです。見解を伺います。  次に、コロナから子どもを守る施策についてです。  教職員のワクチン接種状況を調査中と聞いています。所管に聞くと、集計中の数値で、ワクチン接種済みと接種予定を合わせ九割とのことでした。残り一割の教職員についてどう対応するのでしょうか。身体的な理由でワクチンを打てない、信条としてワクチンを打ちたくないなどの教職員に強制はできませんが、さしたる理由なく打たない教職員、誤った情報に基づき打たないと判断している教職員には、丁寧な語りかけが必要だと考えます。見解を伺います。  教職員のマスクについて聞きます。現在、区教委は保護者に、可能な限り不織布マスクの着用をお願いしますと働きかけていますが、教職員は率先垂範できているのか伺います。  昨年春より、区立小中学校の子どもたちは登校機会が減り、学校行事もままなりません。これからも感染の拡大、収束の波は繰り返す懸念があります。波が引いているタイミングが冬休み、春休みと重なった場合は、その期間に登校日を先取りするなど柔軟に対応すべきだと考えます。見解を伺います。  次に、医療的ケア児、医ケア児の支援についてです。  医ケア児は、日常生活や社会生活を営むため、恒常的に人工呼吸器による呼吸管理や喀たん吸引などの医療行為を受けることが不可欠な児童で、全国的に人数が増加傾向にあります。区の資料では、平成三十年四月時点の医療的ケアが必要なお子さんの人数を、未就学児九十七人、就学児五十九人としていますが、現在の状況をお答えください。  本年六月公布の医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が九月十八日に施行されます。法では、学校の設置者は、医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な支援を受けられるよう、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずる旨定めています。  一方、世田谷区では、医療的ケアの標準的な実施項目・内容の中に、人工呼吸器による呼吸管理を含めておらず、看護師の配置対象としていません。そして、該当の医ケア児が学校にいる間は、保護者の校内待機を求めています。これを改め、保護者の付添いなしに学校で学べる環境を整えるべきです。見解を伺います。  また、現在、医ケア児が分身ロボットOriHimeを遠隔操作して授業に参加したり、友達と交流したりする取組が区立校一校で行われていますが、医ケア児の学びを後押しするよい取組だと考えます。現時点のこの施策の評価と今後の拡充について見解を伺います。  以上、壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎久末 住民接種担当部長 私からは、新型コロナワクチン接種について順次御答弁申し上げます。  初めに、ワクチン接種に係るデマを打ち消す情報発信と接種に対する協力を仰ぐことについて御答弁いたします。  SNSなどを通じて拡散するデマが、若い世代の接種控えの一因になるなど、接種率向上の面からも、ワクチン接種に関する正確な情報発信が重要だと認識しております。  接種は本人の同意の下に行うものですが、今回の予防接種は、感染症の緊急の蔓延予防の観点から実施するものであり、予防接種法の努力義務が適用されています。  区は、これまでもホームページや「区のおしらせ」などを通じ、厚生労働省や専門機関等の正確な情報を活用しながら、ワクチンの効果や副反応といったメリット、デメリットの双方を周知してきました。  引き続きこうした情報提供を行いながら、今後は若い世代を中心とした、より一層の勧奨に向け接種を呼びかける積極的なPRに努めるなど、接種率向上に向けた周知に取り組んでまいります。  次に、若者が優先的に接種できる仕組みの導入についてです。  若者の接種状況ですが、本日現在、二回目の接種を終えている方は、三十代が三四%、二十代が約三〇%程度であり、高齢者の接種状況が九〇%を超えているなど、ほかの世代と比較すると低い状況になっております。  一方で、区では集団接種会場や医療機関で予約することができる枠が、週末や夜間を含め多く残っており、予約ができないといった状況ではありません。  現在は、「区のおしらせ」やホームページ、ツイッターなどで情報発信しておりますが、今後は、若者への情報発信をさらに工夫するとともに、下北沢や三軒茶屋などの若者が集まる場所で、利用しやすい夜の時間帯での設定を行うなど、若者が接種しやすい環境づくりに取り組んでまいります。  最後に、十月の日曜日の接種についてです。十月十日日曜日につきましては、予約受付を開始した時点では、衆議院議員選挙の予定が見通せなかったため、集団接種の予約枠を設定しない扱いとしておりましたが、現在は、選挙が実施されないことがおおむね判明したため、医療従事者や会場運営事業者に会場開設の依頼をしているところです。  御指摘の点を踏まえ、区民に誤解のないよう、こうした事情や、十月十日の予約枠設定の見通しなどを急ぎ区のホームページ等で分かりやすく周知してまいります。  以上でございます。 ◎辻 世田谷保健所長 私からは、マスクの正しい情報発信についてお答えいたします。  マスクの素材の違いによる効果の差は、様々な研究結果が発表されておりますが、保健所といたしましては、今年八月十二日の東京都モニタリング会議でも示された理化学研究所の資料が一つの目安になると考えております。  ここでは、マスクなしの状態と比較して、ウレタン、布マスク、不織布が呼吸の際にどれくらいの遮蔽効果があるかを示しており、庁内におきましても、区職員へマスクの適切な使い分けについて周知をしております。  マスクを使う人が、素材による機能の違いをしっかりと理解し、その場にふさわしい素材のマスクを正しく使うことは、感染予防の基本になりますので、区民に対しても、ツイッター等も活用して普及啓発に努めてまいります。  以上です。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、四点のお尋ねに対しましてお答え申し上げます。  まず一点目でございます。教職員のワクチン接種への働きかけについてでございます。  区立小中学校の教職員のワクチン接種状況につきましては、九月一日現在で集計中でございますが、約九割が二回接種済みの方、もしくは一回目の接種はしている方、今後接種をする予定の方となります。残りの一割の方は、回答は得られていない、もしくは接種ができない、接種の意向がないなどの理由が考えられるところでございます。  ワクチン接種は、身体的理由や様々な理由によって接種できない方や、接種を望まない方もいらっしゃいまして、その判断も尊重される必要はございます。今後は、接種を迷っておられる教職員等に対しまして、ワクチン接種のメリットとデメリットの双方を分かりやすく示して、自らの理解と意思で接種を受ける判断ができるよう、教職員健康管理ニュース等の媒体を活用いたしまして、各学校を通じてワクチン接種に関する情報提供と普及啓発に努めてまいりたいと思います。  二点目でございます。感染が下火になっているときに、冬休みや春休み等を登校日に設定するなどについてのお尋ねでございます。  世田谷区の学校は、区立学校管理運営規則によりまして、学期の開始日や長期休業の期間などが決められているところでございます。昨年度は、新型コロナウイルス感染症への対応のため、一斉の学校休業日が長かったことから、夏休み期間や土曜日の授業を区教育委員会で新たに設定し、授業時数の確保を行ったところです。  委員御指摘のとおり、今後の見通しが見えない中で、授業日を確実に確保するための方策を事前に準備しておくことは大切な視点でございますので、様々な場面を想定した上で、校長会とも相談しながら検討をしてまいりたいと思います。  三点目でございます。医療的なケアが必要な子どもの人数と、それから人工呼吸器を管理している医療的ケア児への支援についてのお尋ねでございます。  医療的ケアを必要とする子どもの人数につきましては、令和三年四月時点で、未就学児が百九人、就学児が、特別支援学校等に通う児童も含め七十一人の合計百八十人と把握しているところございます。  このうち、区立小中学校へ通う医療的ケアを必要とする児童につきましては、平成三十年度より看護師配置を開始しているところでございますが、人工呼吸器の管理につきましては、高度な医療的ケアであることから、保護者の方に校内での待機をお願いしているところでございます。教育委員会といたしましては、区立学校において保護者の付添いがなくても適切な医療的ケアを提供できるよう、関係所管や関係機関とも連携を図りながら早急に課題の整理を行い、必要な措置の実施に向けた検討を進めてまいります。  最後、四点目になります。ロボットOriHimeの評価と今後についてのお尋ねでございます。  現在、区立小学校一校におきまして、ロボットOriHimeを活用した研究事業を実施しているところでございまして、通常の授業での活用のほか、班活動や音楽等の実技を伴う授業など、学校生活における様々な場面で活用し、検証しているところでございます。特に子ども同士のコミュニケーションを要する場面では、ジェスチャーで意思を伝えることができるOriHimeが効果的に活用されており、医療的ケア児本人からは、自分の意見を伝えられるようになった、友達とコミュニケーションを取ることが増えたといった感想が上がっているところでございます。  本研究事業は、今年度末までの実施を予定しており、その後は、研究成果も踏まえ、ズーム等との役割分担や、OriHimeの活用がもたらす効果、有効に活用される場面を検証し、今後の支援について検討してまいります。  以上でございます。 ◎知久 教育総務部長 私からは、教職員の不織布マスクの着用についてお答えいたします。  学校でのマスクの着用につきましては、一般的なマスクの中でも最も効果があるとされている不織布マスクの着用を推奨し、保護者宛てに周知しているほか、教職員に対しても不織布マスクを推奨し、あわせて正しい着用方法を指導するよう、九月七日付で学校長宛てに通知をしたところです。  その後、幾つかの学校に教職員の不織布マスクの着用状況を確認したところでは、今回の通知を受けて、不織布マスクの着用を基本とすることを学校内で確認した、また、これまでも原則として不織布マスクを着用することとしていたなど、不織布マスクの適切な理解と教職員への対応を確認いたしました。  今後も機会を捉えまして、教職員の不織布マスクの着用や健康管理の徹底などについて周知し、学校での感染対策を徹底してまいります。  以上でございます。 ◆四十六番(桃野芳文 議員) 区民窓口の職員だとか教職員のマスクについては啓発しているという答弁でしたけれども、私はこれまで区民の方々から様々御意見をいただいています、教職員のマスクや区職員の窓口、不特定多数の人と接する職員のマスクについて。ですので、よりよい使い方が実践できるよう引き続き取組をお願いします。  あと、若者らのワクチン優先接種ですけれども、空いている予約枠があるから優先接種は必要ないといった答弁でした。そんなことを言ったら、今やっている妊婦の優先接種枠だって必要ないということになりますよ。接種したい人が自分の都合のよいタイミング、場所で接種できるから優先接種なんですよ。そして、接種率を高めるためにそれをやるべきだと言っています。  九月十五日に、これは読売新聞や日経新聞で報道されていましたけれども、文科省は、受験生には優先接種してほしいと、自治体にこれを要請しているんです。九月十四日には、地方公共団体における受験生に配慮したワクチン接種の取組事例についてという事務連絡も出していますよね。文科省はそう言っているにもかかわらず、なぜ若者の優先接種をやろうとしないのか、空いているから、そこで受けてくださいといった答弁になってしまうのか、教えてください。 ◎久末 住民接種担当部長 若者の優先接種について再質問いただきました。現在、確かに枠は空いておりまして、土曜日ですとか、日曜日も含めて、枠は空いております。そのような日程をお使いになっていただくことも一つと考えておりますが、今、若い働いている人たちも含めた行動を見ますと、やはり夜間という時間帯も利用が進んでいると思いますので、現在、夜間の接種については取り組む方向で検討しているところです。  以上です。 ◆四十六番(桃野芳文 議員) いや、だから、それは若者の優先枠じゃないじゃないですか。だって区長は、若者の接種を進めると言っているんですよ。優先枠の設置以外にほかに何があるのですか、何かプレゼントをあげるとか特典でもやるんですか。 ◎久末 住民接種担当部長 現在は、夜間の枠を使いながら、若者、そして働いている方たちの利用も含めて、特に若者だけの優先枠という設定ではないというふうに考えておりますが、今後も若者たちが数多く打ってくれるような形をつくりたいと思って、検討してまいりたいと思います。  以上です。 ○下山芳男 議長 以上で桃野芳文議員の質問は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時三十四分休憩    ──────────────────     午後四時四十五分開議 ○下山芳男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  一般質問を続けます。  四番青空こうじ議員。    〔四番青空こうじ議員登壇〕(拍手) ◆四番(青空こうじ 議員) 先日、二年ぶりに行われた全国学力テストの結果が公表されました。小学校六年生と中学校三年生を対象に実施されて、その成績上位は石川県、福井県、秋田県。東京都は、小学校六年生の算数が石川と並んで一位に入っていました。昨年は、新型コロナウイルスの関係で学校の一斉休校が実施されるなど、子どもたちの学習への影響が心配されていましたが、結果は例年と大きく変わらなかったそうです。子どもたちは、大変な状況においても、自分たちができることを精いっぱい頑張っているんだと感じました。  そんな頑張っている子どもたちがふだん通っている小学校の通学路の安全対策について伺います。  六月に千葉県八街市で下校中の小学校の列にトラックが突っ込み、児童五人が死傷するという大変痛ましい事故が発生しました。事故現場は見通しのよい直線道路で、スピードを出して走行する車が多く、また、擦れ違うには道幅が狭いために速度を落とす車や、道路脇の歩行者を避けながら運転する車が見受けられるなど、地元住民からは、事故がいつあってもおかしくない道路として知られていました。  そのため、地元の小学校のPTAなどから、ガードレールや歩道の設置を求め、要望書が平成二十年度から四年も続けて市に提出されていたそうです。地元の方々は、大分前から非常に強い危機感を持ち、行動を起こしていましたが、残念ながらその切実な思いは行政を動かすことには至らず、ついに今回の事故が発生することになってしまいました。  今回の事故は運転手による飲酒運転ということで、重大な過失があったようですが、みんなが危険だと認識していながら事故が防げなかったことは非常に残念でなりません。  登下校の児童が犠牲になった交通事故は、過去十年間で、私が記憶している中でも四件あって、そのうち二件は、残念ながら世田谷区で発生したものです。平成二十六年九月には、区内で下校中の小学生三人に軽自動車が突っ込み、一人が亡くなってしまいました。そして、平成二十八年度には、再び区内で下校中、道路を渡っていた小学生一人が路線バスと接触して亡くなってしまいました。  いずれの事故も、何とか未然に防ぐことはできなかったのか、何の罪もない未来ある子どもたちの命が突然奪われてしまうことに、やりきれない気持ちでいっぱいになります。  私は、毎朝七時二十分から下北沢小学校の近くの井の頭通りで、地元の町会の方、警備員の方と三人で子どもたちの登校を見守る活動を行っています。児童との挨拶や、たわいのない会話を楽しみに、その笑顔に元気をもらいながら、もう四年になりました。
     これまでもひやりとする場面はありましたが、幸い事故は発生していません。最近では自転車の交通マナーが悪くなっているように感じます。先日も、自転車が児童の間を縫うように通過し、ぶつかりそうになる場面がありました。事故はいつ発生してもおかしくない状態です。  重大な事故が起きるたびに、通学路の安全点検が全国で行われ、世田谷区でも学校、PTA、警察、道路管理者と連携し合同点検を実施してきましたが、点検の結果、必要な対策を講じることができた箇所もあれば、調整中や実施は困難として見送る箇所もあると聞いております。  安全対策の実施に当たっては、周辺の環境や交通状況、住民の合意、予算など様々な課題があると思いますが、新たな悲しみを生まないためには、事故を未然に防ぐ、そして発生させないという強い目的を持ち、日頃から継続的な取組が重要と考えます。  そこでお伺いしますが、区ではこれまで通学路の安全対策についてどのように取り組んできたのでしょうか。また、今回の八街の事故を受けて全ての区立小学校を対象とする通学路の合同点検を実施すると聞いておりますが、現在の状況と今後の予定についてお伺いします。  次に、児童生徒の健康について伺います。  七月に文部科学省から令和二年度学校保健統計調査の結果が公表されました。私は、その結果を見て大変心配していることがあります。それは、毎年子どもたちの視力が低下していることです。  裸眼での視力が一・〇に満たない小学生が三七・五%、そして五年前の平成二十七年度では三一・〇%で、六・五ポイントも増加しています。また、中学生は五八・三%で、半数以上の生徒が視力一・〇に満たず、五年前との比較では四・五ポイント増加しているとなっています。  小学生、中学生いずれも、令和元年度から令和二年度にかけて、割合が特に大きく増えています。また、年齢が上がるにつれて視力が低下する傾向にあることが分かりました。  私が小学校の頃は、眼鏡をかけている同級生は非常に少なく、私自身も視力を心配することは一切ありませんでした。当時は家で過ごすことはなく、外で遊び回ることが当たり前の時代でした。  しかしながら、当時と今とは生活の様式が全然変わっていて、昔は家にテレビが一台あれば十分で、家族全員でテレビを囲んで楽しんでいましたが、今の時代は、複数台テレビがあるのは当たり前で、テレビゲームをいつでも自由に遊べる環境です。  さらに、最近ではスマートフォンを持っている小学生が多くなり、加えて、教育委員会から一人に一台のタブレット端末が配られ、テレビよりも目と画面の距離がさらに近くなり、加えて、長時間の使用で、目にとっては過酷な環境にさらされる機会が多くなっていると思います。  目は脳の出張所と言われるほど大切なものです。脳に送られる情報の八〇%以上は目から入ると言われていて、目の機能が低下してしまうと、日常生活への影響は非常に大きいため、日頃から目の健康には十分注意する必要があります。  そこでお伺いしますが、区立小中学校に通う児童生徒の視力はどのような状況にあるのか、お伺いします。  最近、新型コロナウイルスの感染が急激に拡大する中、学校は二学期がスタートしました。世田谷区では三日から分散登校が行われ、十三日には通常授業とオンライン学習の選択制になっています。コロナの影響で思うように行動できない生活を送り、子どもたちは様々なストレスを感じているのではないでしょうか。  二学期が始まり、やっと友達と学校で会えるようになりました。分散登校やオンライン授業との選択制になって、必ずしもクラス全員と会える状況ではなく、子どもたちの心の健康への影響も心配されます。  そこでお伺いしますが、学校での児童生徒の様子はどのような状況になっているのか、現在の区立小中学校の様子をお伺いします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎知久 教育総務部長 私から、教育に関する御質問に順次お答えいたします。  まず、通学路の安全対策のこれまでの取組についてお答えいたします。  平成二十四年度に全国で登下校中の児童生徒が死傷する事故が相次いで発生し、国からの要請を踏まえ、区は学校、PTA、道路管理者、警察、教育委員会が連携した合同点検を実施し、以降も国からの要請がある場合には適切に対応しております。  平成二十六年度には、議員のお話にもありました区内での事故をきっかけに、警察等の関係機関との連携をより緊密に図るため、世田谷区通学路安全対策連絡会を設置いたしました。  さらに平成二十八年度には、世田谷区通学路交通安全プログラムを策定し、年に一回、各学校はPTAと通学路点検を行うとともに、教育委員会では、毎年十五校程度を対象に合同点検を実施することといたしました。  合同点検では、昨年度までの四年間で、小学校全六十一校での点検が一通り終了し、合計三百九十八か所で点検を行いました。その結果、検討した対策七百三件のうち七割弱に当たる四百六十五件については対策を実施しております。  主な対策といたしましては、路側帯のカラー舗装、ポストコーンや注意喚起看板の設置などがあり、検討中や実施を見送ったものについては、主に交通規制に係るものや、スペース上の問題で設置が困難なものでございます。  次に、八街市での事故を受け、合同点検の今後の予定等についてお答えいたします。  六月末に発生した八街市での事故を踏まえ、七月に国から通学路の合同点検を実施する要請がございました。国からの通知では、今回は全ての通学路に対する一斉の再点検を求めるものではなく、各自治体でこれまでに積み重ねてきた合同点検の蓄積を活用し、補完的な点検として実施を求めるものとなっております。  教育委員会では、国からの通知を踏まえて、学校とも調整した結果、毎年実施をしております学校とPTAとの安全点検をもって今回の点検に代える学校も含め、全六十一校で点検を実施することとし、現在、点検箇所を整理し、十月からの集中的な点検実施に向けて準備を進めております。  今後、教育委員会内で学校への応援体制を組みまして、合同点検をできる限り速やかに進め、今年中に必要な安全対策を検討し、来年一月以降、順次実施できるよう目指してまいります。  次に、児童生徒の視力の状況についてお答えいたします。  区立小中学校では、毎年四月から六月にかけて児童生徒の定期健康診断を実施しており、お尋ねの視力検査のほか、身体計測や聴力検査、学校医による内科健診などを行い、児童生徒の健康状態を把握し、病気の予防や健康増進につなげていくよう努めております。  児童生徒の視力の状況につきましては、令和二年度の定期健康診断の結果、裸眼視力が一・〇に満たない者は、小学校では三九・三%となっており、国の調査結果との比較では一・八ポイント多く、同じく中学校では六一・八%で三・五ポイント多くなっております。  また、国の調査結果と同様に、令和二年度の裸眼視力一・〇未満の者の割合の対前年度比較では、小学校で四・一ポイント、中学校で四・八ポイント増加しており、年齢が上がるにつれて割合が大きくなっております。  最後に、新学期以降の児童生徒の様子について御答弁いたします。  教育委員会では、七月以降、児童生徒の新型コロナウイルスの感染者数が大きく増加してきたことから、九月からの二学期を迎えるに当たり、八月二十七日から児童生徒全員の健康状況を把握し、学校再開に備えてまいりました。  その上で、九月一日と二日は午前授業とし、三日からは、学校での密集を避けるために分散登校を実施し、感染症対策の徹底と児童生徒の学習機会の確保に取り組んでまいりました。  学校再開後の児童生徒の様子につきましては、幾つかの学校に確認しましたところ、一部で登校を自粛する児童生徒がいるものの、多くの子どもたちは元気に登校し、いつもと変わらない様子であると聞いております。  児童生徒の感染者数は、一時期と比べて減少してきているものの、依然として多い状況であり、不織布マスクの推奨や換気、身体的距離の確保など基本的な感染対策をより徹底し、引き続き学校内で感染が広がらないよう努めてまいります。  以上でございます。 ◆四番(青空こうじ 議員) ありがとうございました。確かに子どもたちの健康を見ると、子どもたちは本当に元気よく登校しています。そして、子どもたちもそうなんですが、私がちょうどあそこの井の頭通りにいるときに、そこまで、ちょうど僕たちがいるところまで、子どもたちの父兄の方がちゃんと送り出しに来ているんですよね。それも、お母さんよりはお父さんが多いということを本当に喜んでおります。子どもたちも元気に頑張っております。  確かに、目の悪いのは本当に、これは、昔はテレビというと、テレビを見ないときは、ちゃんとカーテンみたいに閉めて、そんな時代でしたからね。今はスマートフォンとか、学校とか、みんな目があれなもので、なるべく給食のときには、ブルーベリーをあげるとか、よろしくお願いします。  以上で質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上で青空こうじ議員の質問は終わりました。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 次に、五番ひうち優子議員。    〔五番ひうち優子議員登壇〕(拍手) ◆五番(ひうち優子 議員) 本日は、まずワクチン接種体制について伺います。  今回のワクチン接種について、特に二十代から五十代の方から、ワクチンの予約が全く取れないというお問合せを多くいただきました。実際に私自身も、世田谷区の集団接種は全く取れない状況でありました。  一方で、新宿区では、二十から五十代の接種を優先的に行っており、かなり早かったのが印象的でした。自治体によって接種率が違う要因をどのように考えているのか、まずお伺いいたします。  次に、世田谷区では、楽天の職域接種枠や狛江市のワクチン枠をいただく、また、余剰ワクチンの接種抽せんをインターネットで公開しており、様々な形でワクチン接種を早く行う努力をしていただいておりますが、今後、区内事業者の職域枠や余剰ワクチンの接種抽せんのさらなる拡大など、さらに枠を増やすことが必要です。  また、医師会と連携をして、個別接種の拡大も必要と考えますが、早期のワクチン接種に向けた今後の体制について、区の見解をお伺いいたします。  また、先日、政府がワクチン三回目接種を年内に検討しているとの発表をしましたが、今回の経験を踏まえた今後の対応についてお伺いいたします。  次に、今年の第一回定例会で質問した抗原検査について、今般、小中学校で実施予定となりました。まず、そこに至った経緯についてお伺いいたします。  また、現在、日本では、成田空港の検疫所などで抗原検査を行っておりますが、今後のアフターコロナを見据えて、例えばコンサートや花火、成人式など、人数が集まる世田谷区内のイベントへの活用が考えられます。見解をお伺いいたします。  次に、ワクチンパスポートについて、区民の方から次のような御意見をいただきました。海外でワクチンを打ったが、日本でワクチンパスポートをもらえない。発行してほしい。また、ワクチンパスポートの申請書が市役所に到着してから七日から十日を要する、かつ郵送のみ。海外渡航に間に合わなくなるので、窓口での受付で即時発行やリードタイム短縮をしてほしいといったものであります。  ワクチンパスポートの発行については、まだ試行錯誤段階であると思いますが、できるだけ区民の方の利便性を考慮し、発行をしていただきたいと考えますが、現状と今後についてお伺いいたします。  次に、以前から何度か質問をしている豪雨対策について伺ってまいります。  近年のゲリラ豪雨、台風に対応し、今回の豪雨対策行動計画案が示されましたが、近年の豪雨に対して、改定作業中の豪雨対策行動計画では、どのような点が改定されるのか、まずお伺いいたします。  また、このテーマは以前からシリーズで質問している内容でありますので、改めて伺ってまいります。  まず、浸水対策には抜本的対策と流域対策があります。抜本的対策として河川の整備、下水道の整備が挙げられます。流域対策としては、雨水貯留浸透施設の整備として、雨水タンクや雨水浸透ますの設置などが挙げられます。  抜本的な対策のうち下水道の整備として、分流地域の雨水管の整備を進めることが必要であり、過去何度か質問いたしました。その後の進捗状況と今後についてお伺いいたします。  また、雨水貯留浸透施設などによる流域対策量、土のうステーションの設置数について、それぞれ増やしていただきたい旨の質問をしましたが、進捗状況と今後の予定についてお伺いいたします。  次に、令和元年の台風十九号で被害を受けた旧都立玉川高校付近にお住まいの方から、樋門を閉めたときに行き場を失った水が低い土地に集まってきて浸水した。雨水貯留浸透施設を整備するなど対策を講じてほしいとの御意見をいただいております。玉川野毛地区の豪雨対策をどのように行っていくのか、見解をお伺いいたします。  そして最後に、過去何度か質問している二子玉川の無堤防地域の堤防整備についても、進捗状況と今後についてお伺いをいたします。  次に、本のない図書館、図書館カウンターについて伺います。  前回、私が提案した全事業別の財務諸表を二十三区で初めて公表されたことを、まず評価いたします。そこで今回は、公表された事業別財務諸表に基づき、図書館事業における分析について伺ってまいります。  事業別の財務諸表を使って、費用対効果の詳細な分析が可能となりました。そこで、以前から提案をしている図書館カウンターの一冊当たりの貸出しコストは、他の一般的な図書館の平均と比べて安価であるとの結果が出ております。  具体的には、貸出し一点当たりの行政コストが、図書館平均七百五円に対して、二子玉川図書館カウンターが百二十五円、三軒茶屋図書館カウンターが百七十八円です。  本を借りるという観点では、一般的な図書館も図書館カウンターも便益は同じです。より安いコストで行政サービスが受けられる図書館カウンターの優位性は、新公会計制度からも明らかになったわけです。本を借りる以外の機能の充実を図る滞在型の図書館との役割分担を行いながら、今後も本のない図書館、図書館カウンターを拡充すべきと考えます。見解をお伺いいたします。  次に、区立中学校のカリキュラムについてお伺いいたします。  私は、小中高の三種類の教員免許を保有しており、そのときの経験が現在の私の原点になっております。本日は新カリキュラムの観点から質問してまいります。  中学校では、今年の中学三年生から新カリキュラムが全面適用となっており、さらに高等学校では、来年度から新カリキュラムが全面適用となります。  初等中等教育のカリキュラムの編成は、国の命運を決めると言っても過言ではありません。本日は、区立中学の数学における確率・統計分野の指導について取り上げます。  初等中等教育のカリキュラムは、戦後七年から十年周期で見直しを行われています。一九七八年告示のカリキュラムは、戦後初めて教科内容が削減されたもので、第一次ゆとり教育とも呼ばれております。  このカリキュラムでは、高等学校の集合と論理、順列・組合せ、確率・統計については確率・統計という選択科目でありました。確率・統計は、数学Ⅱの一部をなすものであり、共通一次や大学入試センター試験などでは、基礎解析、代数・幾何とともに三科目から二科目選択という位置づけでしたが、時間割との兼ね合いで、多くの学校は高校三年配当となったため、文系の大半は履修せず、さらに文系で出題した大学はわずか二校にとどまり、その結果、このカリキュラムで育った世代の十二年間は確率・統計に弱いと指摘をされております。  また、一部の教員養成系では、理系であっても確率・統計がされなかった大学もありました。この世代は、現在、教科主任や学年主任など、中学の教育現場での主力となっております。  また、社会の変化や産業界の要請もあり、確率・統計分野は非常に重視されており、現在では、数学Ⅰ・Aとして、高等学校でほぼ全員が履修するようになっております。  そうした中で、今回の新カリキュラムでは、高一配当の数学Aの必須単元であり、四分位数と箱ひげ図が中学二年に下りてきており、既に現在の中学二年、三年から実施をされております。四分位数と箱ひげ図、数理統計学に限らず、心理学や株式市場の価格変動チャートなど、経済分野などでも広く用いられております。  この単元は、当時の理系も履修していなかった内容であり、全国的に見れば、教育現場でも指導がうまくいっていなかったり割愛しているケースもあると伺っております。  そこで二点お伺いいたします。一点目、第一次ゆとり教育世代の教諭の一部は確率・統計分野を履修していない可能性があります。区の教育委員会としては、具体的な対策、教員の研修はどのように行っているのでしょうか。  二点目、特に箱ひげ図など、教員自身が履修していない難しい単元が高校から下りてきた場合については、都立高校や区立の、区内の私立高校との連携により、指導方法の研修を行うことが考えられますが、区の教育委員会としてどのような対策を取っているのでしょうか。以上二点をお伺いいたします。  次に、各駅ごとのコミュニティーのプラットフォームづくりについて伺います。  最近、三軒茶屋や三宿かいわいでのコミュニティーを求める声が私のところにあります。特に新型コロナウイルスで、人と人との分断がある現状であり、人と人とのつながりを求めていることを実感いたします。  そこで、例えば東急電鉄と連携をして、官民連携で各駅ごとの地域コミュニティーのプラットフォームを、三茶会や駒沢会といったアプリを通じて構築するといった地域コミュニティーのプラットフォームづくりを提案いたします。見解をお伺いいたします。  以上で壇上からの質問を終わります。(拍手) ◎久末 住民接種担当部長 私からは、新型コロナワクチンの接種について順次御答弁申し上げます。  初めに、自治体ごとに接種率が違う要因は何かということについてです。  新型コロナワクチンの接種率は、各自治体の接種の進捗状況を表す一つの指標であり、自治体ごとの接種体制や接種の進め方、また職域接種の進み具合等によるほか、国から供給されるワクチン量に自治体ごとにばらつきがあることも影響しています。  また、接種率は一般に国の接種記録システム、いわゆるVRSに登録された接種実績を基に算出されておりますが、接種を行った期間によっては、後から一括してVRSへの登録を行うなど、接種実績が接種率に反映されるまでに時間差が生じる場合もあります。こうした複合的な要因により、自治体ごとに接種率の違いが生まれるものと認識しております。  次に、個別接種の拡大など、今後の体制について御答弁いたします。  区では、集団接種会場と診療所などの個別接種会場の利点を組み合わせ、接種を進めてまいりましたが、七月下旬のワクチン供給減少や、高齢者接種が進んだことから、両医師会と協議を行い、接種体制の基軸を、効率的な接種が可能な集団接種に置くことといたしました。  診療所におきましては、引き続き在宅で医療を受ける方への訪問接種や、子どもへの接種、妊婦への接種など、個別での対応を望まれる方々への接種に御協力いただいている医療機関には、優先的にワクチンをお渡しし、協力をしていただいておりますが、今後の接種状況により、さらなる協力をいただく場合もございます。  また、区内事業者による職域接種の際に、併せて区民に向けた接種を行っていただける際は、区のホームページに掲載するなど、区民が接種を受けられやすいように進めてまいります。  次に、三回目の接種を想定した今回の経験を踏んだ今後の対応についてです。  新型コロナワクチンの三回目接種は、様々な報道がされておりますが、河野特命大臣の八月末の記者会見において、必要性や実施時期等については、今後、厚生労働省の審議会で議論され、判断されるものとの認識を示しております。  接種の時期、ワクチンの供給量やスピード、複数の種類の交差接種の可否、使用するワクチンの種類、職域接種や大規模接種会場の有無など、不明点も多くございますが、区としては、これまでの接種での接種券の配付、予約方法、会場運営、個別接種の進め方などの経験を生かし、課題については改善を図り、区民が接種を受けやすい最適な方法が取れるよう検討を進めてまいります。  最後に、ワクチンパスポートについてです。  新型コロナワクチン接種証明書は、国の予防接種法施行規則に基づき発行しており、現行の制度では、日本の法に基づく接種を証明するものであり、海外で接種した場合、証明書の発行はできませんが、現在、国において電子化や多様な活用方法等が検討されており、証明の対象に関しても、国の検討状況を注視してまいります。  また、証明書の申請は、世田谷区では郵送で受けておりますが、受付開始当初に申請が集中したため、発行まで時間を要し、申請された方々に御心配おかけいたしました。  現在は、職員の応援体制や事務の一部の委託などで、申請から証明書の送付までの期間を短縮し、書類に不備がなければ、三から四営業日程度で発行しております。  現在、国では接種証明書による行動制限の緩和などを検討しており、その内容によっては申請数の増加も想定をされております。電子化などの国の検討を注視しながら、現在の発行事務の一層のスピードアップを図ってまいります。
     以上です。 ◎有馬 保健福祉政策部次長 私からは、小学校等で抗原検査が実施となった経緯と、今後の区内イベントでの活用について答弁いたします。  抗原検査は、本年六月以降、国が高齢者施設や保育園等を対象に抗原簡易キットを配布しており、小中学校についても対象となりました。区では、本年七月下旬から随時検査の申込みが増加したため、検査体制を増強しましたが、九月より学校の活動が再開されることに伴い、さらなる検査体制の強化が必要不可欠と判断し、速やかに検査結果が判明する抗原定性検査を新たに導入いたしました。  今回導入した抗原定性検査は、小中学校等における随時検査の補完のほか、校外学習等の行事前に実施する運用も追加しております。議員お話しの区内イベントでの活用につきましては、大規模で一定人数以上、多くの来場者が想定されるイベントなどが考えられることから、関係所管からの相談がありましたら、活用方法を検討してまいります。  以上でございます。 ◎桐山 豪雨対策推進担当参事 私からは、豪雨対策につきまして四点お答えいたします。  初めに、改定作業中の世田谷区豪雨対策計画における改定点についてお答えします。  現在、改定作業を進めております世田谷区豪雨対策行動計画では、流域対策を強化する地区の名称をモデル地区から流域対策推進地区に変更するとともに、浸水被害の状況や東京都による河川や下水道整備等の状況を踏まえて、尾山台・奥沢地区と、玉川・野毛地区の二地区を流域対策推進地区として新たに追加し、豪雨対策を推進してまいります。  また、東京都が令和十九年度末の目標流域対策量を河川流域ごとに示したことを踏まえて、現在の行動計画で区内全域を対象としている目標流域対策量を、区内の河川流域ごとに設定して進捗管理することとしております。  次に、下水道分流地域の雨水管の整備の進捗と今後についてお答えいたします。  東京都で推進している下水道分流地域の雨水管の整備は、おおむね三十年後の整備の完了を目標にして取り組んでいると下水道局から聞いているところでございます。区といたしましても、雨水管整備の一部を東京都から受託しており、令和二年度においては、約八百六十メートルの雨水管を整備しております。今後も東京都と連携し、工事の一部を受託するなど、早期整備に向けて取り組んでまいります。  次に、雨水貯留浸透施設等による流域対策量と、土のうステーションの設置の取組状況と今後の予定についてお答えいたします。  流域対策量につきましては、世田谷区豪雨対策行動計画で掲げます令和三年度末の区内全域の目標対策量約五十一万五千立方メートルに対して、令和二年度末時点での対策実績としましては、約五十五万八千立方メートルとなっており、目標を達成できているところでございます。  しかしながら、近年、集中豪雨が全国的に頻発化、激甚化していることから、来年度から取り組む行動計画においては、区内の河川流域ごとに対策目標量を設定して、きめ細かく対応するなど、流域対策を一層推進していく考えでおります。  一方、土のうステーションの整備におきましては、令和元年東日本台風襲来以降、二十基を増設しておりまして、令和三年八月末時点で七十か所、七十四基に増強しており、今年度中にはさらに六基増設を予定しております。  区民の水災害の軽減・防止の自助の取組の支援としまして、今後も土のうステーションの整備、維持管理に努めてまいります。  最後に、玉川・野毛地区の豪雨対策をどのように行っていくのかについてお答えいたします。  令和元年東日本台風に伴う浸水被害の状況などから、区は東京都に対して浸水被害の軽減について、河川や下水道の早期整備を働きかけております。  これを受けて、東京都は、玉川・野毛地区を七十五ミリ降雨に対応する対策強化地区として新たに位置づけ、雨水管の増強や雨水貯留施設の整備など、下水道施設の整備強化を図り、豪雨対策を推進する検討に入っております。  区におきましても、下水道整備や流域対策の取組状況を踏まえて、改定作業中の世田谷区豪雨対策行動計画において、玉川・野毛地区を流域対策推進地区として新たに位置づけ、流域対策をより一層進めてまいります。  以上でございます。 ◎工藤 玉川総合支所長 私からは、二子玉川地区の堤防整備について御答弁いたします。  二子玉川の無堤防地域の堤防につきましては、二子橋上流の約九十メートルの区間につきまして、昨年十一月より、京浜河川事務所が第一期工事として整備に着手、計画高水位までの暫定堤防が本年七月末までに整備をされております。  残る堤防整備につきましては、第二期工事としまして、出水期が明ける本年の十一月頃からの工事着手に向け、現在準備作業を進めていると伺っております。区といたしましては、令和六年度末の完成に向けまして、引き続き国と連携し、取り組んでまいります。  以上です。 ◎内田 生涯学習部長 私からは、図書館カウンターの増設についてお答えいたします。  図書館カウンターは、平成二十七年度に二子玉川と三軒茶屋の二か所で運用を開始し、令和四年三月に下北沢への開設を予定しております。貸出し、返却等の機能に特化したことにより、図書等の購入経費や管理経費が不要となり、貸出し件数が多いが、他の図書館に比べ行政コストは低いという特徴を持ち、補完的な図書館サービスを行う施設としての役割を担っていると考えています。  今後の図書館カウンターの在り方等については、現在策定を進めている第二次世田谷区立図書館ビジョン第三期行動計画に記載を予定しておりますが、利用状況やコスト面などを検証しながら検討してまいります。  以上でございます。 ◎粟井 教育政策部長 私からは、区立中学校の新カリキュラムについてお答え申し上げます。  まず一点目でございますが、確率・統計分野の指導、教員の研修についてお答え申し上げます。  令和三年度より、区立中学校で実施されている新しい学習指導要領では、例えば数学において、四分位範囲や箱ひげ図が加わるなど、中学校へ移行された内容や新たに指導する内容などが各教科等で示されております。  教育委員会といたしましては、新しい学習指導要領の内容について、各種研修で改訂のポイントや指導と評価について指導助言を行ってまいりました。また、文部科学省や東京都教育委員会が主催する研修や、学習指導に関する新しい情報を学校に周知するなどして、教員一人一人が学習指導要領に沿った指導を行えるようにしているところでございます。  もう一つでございますが、高校との連携による指導方法の研修についてのお尋ねでございます。  現在、世田谷区では子どもの資質能力を育むために、他校種との連携が重要であるとの観点から、学び舎での取組を推進するとともに、幼稚園、保育園、小中学校の連携を深めるための内容について研修を行っております。  また、在職期間が十年以上の教員が対象の研修において、他校種の教員による授業参観を選択制で位置づけ、他校種間での指導方法等の理解を深められるように取り組んでまいりました。  今後はこれらの取組に加え、区内の大学や企業との産学連携を推進するとともに、他校種での指導方法の連携が深まるよう研究してまいります。  以上でございます。 ◎加賀谷 政策経営部長 私からは、官民連携による駅ごとの地域コミュニティーのプラットフォームづくりについて御答弁いたします。  鉄道会社が駅を中心としたエリアを対象に、人々をつなぐコミュニティーのプラットフォームを構築するアイデアにつきましては、駅周辺という共通の生活基盤を軸とした緩やかなコミュニティー形成による居心地のよいまちづくりという、区民、企業、区の三者のメリットに波及するものであると認識しております。  民間の地域SNSアプリは広く利用されておりますが、地域の核である鉄道駅、鉄道会社の利点を生かした取組が社会的貢献として広く認知され、企業価値の向上につながるものとして捉え、官民連携手法によるコミュニティーのプラットフォームにつきまして、関係所管部と連携共有をし、鉄道事業者の動向を踏まえまして働きかけをしてまいります。  以上でございます。 ◆五番(ひうち優子 議員) 御答弁いただきましてありがとうございました。  豪雨対策について、やはり今年も台風シーズンになってまいりましたので、しっかりと対策を行っていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。 ○下山芳男 議長 以上でひうち優子議員の質問は終わりました。  これで本日の一般質問は終了いたします。     ──────────────────── ○下山芳男 議長 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。  なお、明十七日は午前十時から本会議を開催いたしますので、御参集願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十六分散会...